25.通天閣の景色はごっつええ
通天閣へと来た2人…
そこで2人は…
25.通天閣の景色はごっつええ
「通天閣はきっと卓喜ぶと思うんだよね」
卓と海斗は、電車に乗り次の目的地へと向かっていた。
「どうしてよ?高い所好きだから?」
「まぁそうだね!一番上が展望スペースで大阪市内を一面見渡せるし、そろそろ日没だからきれいだと思うんだよね」
海斗の言葉に楽しみが急に増してきた卓は、胸を躍らせていた。
最寄駅で電車に降り、改札を抜け少し歩くと通天閣が見えてきた。
「でかいふぐが浮いてる!」
卓は店の看板のちょうちんのフグをみてはしゃいだ。
東京とはまた違った都会の様子に胸を躍らせながら海斗の後ろを歩いた。
「通天閣!でかいなぁ!これにのぼるの?楽しみだなぁ!」
大きいものをみるとテンションを上げていく卓は、まるで独り言のようにぺちゃくちゃとしゃべっている。
「相変わらず楽しそうだなぁ卓は」
「へっ…何が?だってこれすげぇじゃん。なんか日本じゃないみたいだよ!」
海斗は、卓の初めて触れるものや見るものを楽しむ純粋な姿を見て、改めて卓の良さを噛みしめていた。
でも…多分、卓はきっと…
その思いをかき消すように海斗は卓に話しかけた。
「ねぇ卓。通天閣が写るように写真撮ろうよ!」
「うん!良いよ!」
海斗が出したスマホで自撮り画面に変えた。
「撮るよー」
手慣れた手つきでカメラをセットし、2人の顔がぴたりとくっついて卓も海斗も飛び切りの笑顔の写真が撮れた。
通天閣に到着し、1F・2F・3Fとお店や庭苑を回り、エレベーターでさらに上へと昇っていく。
5Fに着くと黄金の展望台と呼ばれる柱から、全て金色の展望台へとたどり着いた。
「めっちゃ金色!眩しい!」
「あっほら!ビリケンさんいるよ!」
海斗は指を指して教えた。
「ビリケンさんって何?」
「あっ。そっか卓は知らないのか…ビリケンさんは幸運の神様で、特に足を触ったら御利益があるとされるんだってさ」
「えっ…それじゃあ触っとかないと!」
卓はビリケンさんの前に行った。
「俺も!」
海斗も卓に合わせてビリケンさんの前に立ち2人同時で足を触っていく。
「すべすべだねぇ」
「そりゃあみんなから触られてるからねぇ」
「くすぐったくないんかなぁ」
と卓は触りながら言うと
「今日の夜、卓の足を試しに触ってあげようか?」
と海斗は言うので卓はびっくりして目を丸くさせながら海斗をみつめた。
「ふふっ!冗談だよ!卓って面白いなぁ」
まぁ本当は足だけじゃなくて全身触れたいんだけど…
「海斗ったら本当にもう!」
卓はそう言いながらビリケンの足から手をどけた。
「今日一かわいかったなぁ。そのビクッてやつ」
「やめろよ…恥ずかしい」
海斗もビリケンの足から手をどけた。
2人は黄金の展望台を後にし、さらにその上の野外展望台へと昇った。
すでに辺りは暗くなり始めてきていたようだった。
「うひょー!めっちゃ良い景色」
心地よい風がなびいて体を包んでいく。
「本当良い景色だなぁ…」
海斗は手すりを捕まりながら歩いている。
「そっか高いとこ苦手だっけ?無理しない方が良いよ」
「だ・大丈夫!」
海斗はそう言いながら卓の後ろを歩いた。
通天閣はライトアップされ色鮮やかに光り輝いていて大阪の景色を見渡すことが出来た。
「ねぇあっちになんか飛び出ている場所あるよ」
卓はスタスタと歩いているが海斗はゆっくりと歩いている。
「海斗…手!」
卓は戻ってきてそう言うと海斗の手を握った。
「卓…」
こんなんほれてまうやろーっ!
海斗の心の中で叫んでいた。
そんな気持ちの爆発を顔には出さず卓の手を握りながら、突き出した方へと歩いて行く。
「うひょー!こえー!」
楽しそうな卓に、がっしりとしがみつく海斗。
「無理しなくても良いのに」
「いや!行く!卓と一緒なら大丈夫!」
そう言いながらも卓の腕にしがみつく海斗。
卓は、海斗と一緒に先端の方へと歩いて行く。
床は網上になっており、見下ろすともちろん大阪の景色が広がっており、その性質からまるで空に放りだされたような景色を堪能できた。
「大丈夫…?」
海斗のドキドキが卓にまで伝わってきた。
「うぉっ…こえぇ…」
しがみつきながら歩く海斗。
海斗って意外と可愛いとこあるんだなぁ…
卓は、海斗の必死にしがみついて歩くその姿をみながら海斗の方を見つめて声をかけた。
「海斗…下じゃなくて前を見て…」
卓の言葉に、海斗は目線をゆっくりと前へと向けた。
「ゆっくり深呼吸して…」
卓と一緒に海斗は深呼吸をした。
心臓の音は緩やかになり海斗はゆっくりと卓の顔をみつめた。
「どう?怖いの収まった」
海斗は腰が引けていて、卓より身長が低い状態で、初めて卓の顔を覗いた。
覗き込んだ卓の瞳は優しそうな目で卓を覗いていた。
こんな格好良い卓もいたんだ…
「これ以上ここにいたら…」
「ん?」
「何でもない…戻ろう!」
「あぁーうん。そうだね」
卓は引き返して戻ると海斗も一緒に引き返した。
次回、海斗へ誕プレを渡す!?




