22.大阪はごっつええとこ
海斗と一緒に最初に訪れた場所とは…?
22.大阪はごっつええとこ
新大阪駅。新幹線の駅の改札口に海斗はソワソワと待っていた。
卓、ちゃんと無事にこれた?大丈夫?
乗れたのは連絡来たけど、降りる所間違えてない?
まるで何年かぶりのわが子が帰ってくるようなソワソワっぷりを見せている海斗。
すると、スーツケースを引きずりながら小柄な男がてくてくと歩いてきた。
「卓ー!」
「海斗ー!いたいた!」
卓は急いで海斗のもとへと行くため改札から出た。
「どうだった?初めてのおつかいは?」
と海斗はにやにやと笑いながら言うので
「初めてのおつかいちゃうわーっ」
と卓は、関東なまりの大阪弁を使った。
「おっ。早速大阪に染まっとるやん」
海斗は卓がこっちに来てくれた嬉しさが止まらず
ついついニヤけてしまう。
「なんだよ。そんなにニヤニヤして。あっそうだ!誕生日おめでとう!プレゼントはあとで渡すね」
卓はあっさりいつもの口調に戻り
「えっ。すごい楽しみなんだけど」
と海斗も一緒に元のしゃべり方に戻っていった。
「それじゃあ今日の目的地に向かいますか!迷子にならないように」
海斗の言葉に少しムッとしながらも、卓は海斗の後を追って歩き始めた。
うわっ!大阪って全部エスカレーター右寄り。
みんなっほとんど関西弁。すごい!
キョロキョロと辺りを見回す卓の姿を横目に
海斗はその姿をみて嬉しくて笑みをこぼす。
電車で移動するため2人は京都線に乗換え、大阪駅へと向かった。
大阪駅からは別の電車にのり10分ほど経った場所の駅に降りた。
「ねぇ。そろそろどこ行くか教えてよ。」
「んー?俺んち」
「海斗んち!?」
「うん?だってその大荷物持って街中歩けないだろ?」
「まぁそうだけど…ん?ってことは今日泊まるのは…」
「俺んちだよ。大阪に来てホテルなんて泊めないよ。それとも嫌だった?」
「ううん。ワクワクする。海斗の家かぁー」
どんな家なんだろ…
男の人の家?
それともめっちゃオタク部屋?
インテリ系の家?
卓は海斗の家のイメージを膨らませながら歩いていった。
「着いた。ここのマンションだよ!」
ここは…
めっちゃ高そうなマンション!
いや何階建て?ってかめっちゃオシャレ!
オートロック式の入り口&めっちゃ広いロビー!
照明が黄色…なんかいい感じの雰囲気…
ってかここホテル?エレベーターが3台…
凄すぎる…
海斗が住んでいるマンションの凄さに興奮気味の卓。
海斗と卓はエレベーターで5階まで上がり、ある玄関の前でたどり着いた。
「さぁてここが我が家でございます」
オートロックのカギを専用の鍵のようなもので解除してがちゃりと扉を開いた。
「おじゃましまーす」
玄関を開くと、目の前には廊下が広がり、左側にはトイレとバスルームが、右側には寝室があった。
寝室には高価そうなベットが一台あり、ベッドの上には卓が選んだソクミミが置かれていた。
そして廊下を進んだ奥にある扉を開くと広いリビングがあり、
ソファーにはソクミミのぬいぐるみの数々が並べられている。
ソファーの向こうに見える巨大なテレビの前にも
ソクミミのフィギュアが丁寧に並べられていた。
「いやイケメンすぎる部屋か!」
と思わずツッコミを入れてしまったのだった。
11月に戻り、とある喫茶店。
卓は遼に海斗の家を話をしていた。
「いやぁめちゃくちゃ綺麗な家に住んでたよ」
卓は遼との会話に弾んでいる時、
マスターは空になったコップにそっとコーヒーを注ぎ始めた。
「あ、ありがとうございます」
卓は会釈をして言うとマスターは表情一つ変えず
「いえ。お話し中失礼いたしました。
どうぞごゆっくりとくつろいで下さいませ」
と再びカウンターへと戻っていった。
「結構金持ってるんだなぁ」
「うん。なんかねぇ会社で借りてる部屋らしいよ」
「へぇ道理でそんな良い場所に住めると思った。会社も儲かってるんだなぁ」
と遼はビックリした様子で聞いている。
「ね!俺もびっくりしたよ。しかもさ寝室の机には大きめなパソコンとモニター3台くらいあってさぁ」
「俺らとは住む世界が違うって感じだよなぁー。鎌倉の時もあの旅館一人で泊まろうと思ってたんだから」
「本当にね。でもそんな感じ微塵も出さないのが海斗のいい所だよなぁ。ねぇ?遼の家は?どうなのよ?」
卓は遼の家がどうしても気になり聞くと、
「俺んちはね。普通」
「えっ~?今度行っても良い?」
「ダメ!」
「ちぇっ」
卓は残念そうに応えた。
次回、2人の大阪初デートの場所とは…




