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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Kamakura.
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20.鎌倉大仏

ついに鎌倉旅行編終了!

少しボリュームがありますがご容赦ください。

20.鎌倉大仏

長谷駅に到着した3人は鎌倉大仏まで歩き始めた。

一番道を知っている遼を先頭に道を歩いていく。

「このまままっすぐ歩いていけば鎌倉大仏にたどり着けるよ。大体10分くらいかな?」

遼の言葉通り10分ほどでたどり着き、目の前には巨大な大仏が3人を見下ろしていた。


「でかーーい!」

卓は、巨大な大仏に目を輝かせていた。

大きいものや高いものが好きという子供のような性格の卓。

「本当にでかいなぁ!これなら待ち合わせ場所に最適だなぁ!卓!」

と笑って言う海斗に、卓は少し間をおいて

「駅から遠いわ!」

と真顔で応えた。

それをみた遼が卓の回答に微笑みながら

「卓は真っすぐで純粋な所良いよなぁ。うん…本当良いと思う」

その遼の言葉に卓は嬉しくなって、笑みが零れ落ちていく。


俺にはその笑顔を絶対見せてくれないよなぁ…

でも、その笑顔を、俺が…

海斗は、心の中にある想いを、固く誓いをたてるように拳をぎゅっと握った。


「わりぃ…俺ちょっとトイレ行ってくる!2人で見てて」

そう言うと海斗は2人を残して小走りで出かけていった。


海斗がトイレに行くと行ってから、2人は鎌倉大仏の周りをぐるりと回り始めた。


遼はスマホを取り出して大仏の写真を撮っている。

その横顔を卓は見つめながら、胸の中にある想いが生まれた。


写真…一緒に撮りたい…


今までどこか出かけても写真を2人で撮ることがなかった。

でも今2人の思い出として写真が欲しい…遼との2人のツーショット…


あれ?でも大仏…入れたら3ショットになるのか…

いやいや、大仏はノーカウントでしょ!

大仏は、人間じゃなくて建造物なんだから…

よしっ!言うぞ!2人で一緒に写真を…ってあれ?


気が付くと遼の姿がいない…

どこいったんだ?あいつ?

卓は大仏の周りを探していると、大仏の草履を見ている遼を発見した。


「いた!遼。どこいったのかと思った」

遼は草履を写真を撮りながら、卓の方を向いた。

「おぅわりぃわりぃあまりに真剣に大仏見てたから…」

と遼は笑いながら言った。

いや、確かに大仏とにらめっこしてたけど…

まぁいいや。よし言うぞ!

「ねぇ遼、一緒にここで写真撮らない?」

「えっ…草履背景で写真を撮るの?」

と遼は笑いながら言った。

「いや…ちがっ…これは…」

やべっ…そうだよ。

このタイミングは草履を背景に写真を撮ることになるわけで…それはなんか違うよなぁ。

「まぁ草履でも良ければ一緒に撮るか!」

「と・・・撮る!写真撮る!」

卓はそう言うと、カメラをインカメラに変えて腕を伸ばした。

「自撮りとかやったことないからなぁちゃんと映ってる?」

卓は、そう言いながらカメラを向けて合わせている。

「こういうのって下からじゃだめなんだよね?」

「でもそしたら草履みえなくないか」

草履なんか良いんだよ。遼と一緒に撮れればそれで!

「これで良いのかなぁ…」

「おぉ!ここ完璧じゃね?」

遼の顔が近づいてくる。

うぉ!ちょっと待って…近い近い近い…

「早く撮りなよ…」

「あっ…うん…」

卓はシャッターを押した。

初めて撮った二人の写真は、卓が照れて目がまんまるくなった顔と

真顔な遼のなんとも不器用で愛おしい写真となった。

「おっ!良い写真じゃん」

「あ…あとで送るね…」

と卓は、スマホを見ながら2人で初めて撮った写真を噛みしめながら見つめていた。

「お待たせー!」

2人で自撮りをし終えたちょうどその頃、海斗は戻ってきた。

3人で改めて大仏をもう一度周り、鎌倉大仏を後にした。


「あのさっ。寄りたい店があるんだけど」

遼は大仏の帰り際に2人に提案した。

「良いよっ!どこ行くの?」

「この通りの店なんだよね」

3人は来た道を戻るように歩いていくと、とある雑貨屋さんで立ち止まった。

「ここの店!」

そこは大仏の場所から歩いて数分のこじんまりしたお店だ。

おしゃれなレトロ調で洋風な佇まいをしていて、

窓際には犬のぬいぐるみや貝殻で出来たカーテンが飾られている。

「ずいぶんお洒落な店だね」

と遼は店の様子を見ながら言う。

「そうそう。さっき歩きながら見つけたんだよね」

と海斗はそう言うと、深緑色の扉をがちゃりと開けた。

カロンコロンと、千葉にあるとある喫茶店と同じような音が鳴っている。

「いらっしゃい。あーさっきの人…もう出来てるよ!」

エプロンを身に着けた30代から40代くらいの女性が

ハキハキとした声で海斗を見て言った。

「さっきの人って?」

2人は目が点になりながら海斗に聞いた。

「あー…実はトイレに行ったついでにここに来てさ、ちょっと頼んだんだよ」

ここはハンドメイドのお店で、店の机にはガラスで作られた箸置きや置物、貝殻のネックレスやピアスなどが並べられていた。

「おまたせしました。こちらですね」

店員の女性が持ってきたのはガラス細工で作られた赤色と黄色の二つの立方体のストラップだった。

筆記体でそれぞれtakuとryoと彫られていた。

「うわぁっ!これすごい!おしゃれ!」

「えっ!どうしたの?これ?」

2人の驚いてる顔を見て、海斗は嬉しそうに微笑んだ。

「これは2人に出会えたお礼!ここのお店で買ったものだったら名前を彫ってもらえるんだ。世界に1つだけだから大切にしてね!」

と海斗は赤色のガラスにtakuと彫られた方を卓に、黄色のガラスにryoと彫られた方を遼に渡した。

「うわぁ!サンキューな!海斗」

遼はそう言いながらスマホにくっつけた。

「海斗!ありがとう!」

卓もそう言いながらスマホにくっつけた。

「なんか…悪いなぁ。海斗にも何かしてあげなくちゃ!」

と卓は、そう言いながら必死にお店の中を物色し始めた。

「良いんだよっ!俺のは別に2人へのお礼なんだから。良い出会いが出来て俺はそれだけで満足だから」

そう言いながらお店を後にしようとする海斗。

「じゃあ、ありがとうございました」

海斗はそそくさと扉の外へ出た。

「あっ!本当に良いの?待ってよ海斗!」

「おい海斗!」

2人は急いで後を追った。


「ねぇ。海斗なんか悪いよ…俺たちにも何かさせてよ」

外に出てから卓は海斗に顔を近づけていった。

卓の言葉にうーんと悩んだ海斗は、

「じゃあ、今日のお昼おごってよ」

と海斗は言ったが卓はまだ渋っていた。

「でも…」

「良いの!良いの!」

「分かった。じゃあ俺たちで最高のお昼をごちそうするよ。食べたいものなんでも言ってよ」

見かねた遼が海斗に提案した。

「じゃあ戻って鎌倉駅の近くに美味しそうなお店があったから、そこでご飯にしようよ」

海斗の言葉に卓も納得することにした。


3人はお店を後にして駅へと向かった。

「卓…」

海斗は歩きながら、卓に聞こえるほどの大きさで話しかけた。

「ん?なに?」

「それ…2人おそろいのストラップだよ」

と海斗は遼に聞こえないように耳元でそっとささやいた。

「あっ!」


そうか!海斗は俺のために…

ペア嫌がるって言っていたのを覚えてたのか…

海斗って…

やっぱすげぇ良い奴だなぁ!


「ありがとう…海斗」

卓の言葉に海斗はにっこりと微笑んで遼のところへと駆け寄っていく。

「それ大切に持ってろよ!」

と海斗は、遼に言いながら肩を組んだ。




そして楽しい時間はあっという間に流れ…

食事をして鎌倉駅の周りのお店を一通りして気づけば夕方になっていた。

3人は鎌倉から電車で移動した。

途中、海斗は新幹線に乗るために横浜で乗換のため降車した。

そう、惜別の時が来てしまったのだ。

「二日間楽しかったよ!」

「じゃあまた、会おうな!」

「海斗!またねぇ!」

卓と海斗はそのまま同じ電車に乗り千葉へと帰っていった。


「海斗めっちゃ良いやつだったな。このストッラプもすごいお洒落だし。なんかお礼しないとな」

遼はそう言いながらストラップを見つめた。

「本当だよ」

海斗にはなんてお礼を言ったら良いか。

卓は自分の心の奥底にある本当の気持ちをひっぱり出してくれた海斗に感謝の気持ちでいっぱいになっていた。








「俺って嫌な奴だなぁ…」

海斗は帰りの電車のなかボソっとつぶやいた。


カバンからそっと取り出したのは青い立方体のガラス細工で出来たストラップ。

筆記体でKaitoと彫られている。

そのストラップを明かりに向かって照らした。

反射してキラキラと輝く青色のストラップを見つめながら今日という日を噛みしめる海斗であった。


次回、誰かの誕生日のお祝いに…!

新シーズン開始!!

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