11.江ノ島シーキャンドル
海斗は究極の○○○○○!?
11.江ノ島シーキャンドル
3人はお金を払って門をくぐると、そこは庭園が広がり綺麗な花々が植えられていた。
「うわぁ!めっちゃ綺麗!」
はしゃぐ卓を微笑みながらみつめる海斗。
「めっちゃ可愛いなぁ」
「ん?」
卓は聞き取れなくて聞き返すと
「ん?卓は可愛いなぁって!」
「またそんな恥ずかしいことを…」
「だって本音なんだもん!ねっ遼?」
「あ…うん。そうだなっ」
遼の適当な返事でも嬉しくなった卓は、少し照れながら
「遼までそんなことを…」
卓は遼の顔を見れなくなり下を向いた。
「ほら、先行くよっ」
遼も急に恥ずかしくなり、先へと進んでいく。
「2人はめっちゃ仲いいなぁ」
と遼と卓には聞こえない程の小さな声で海斗は呟いた。
色鮮やかな花畑を後にして展望台付近まで行くと、目の前には広大な海と反対側には今まで登ってきた参道が一望出来る丘にたどり着いた。
空へと続く聳え立つ高い展望台の袂まで進むと
「うわぁ!高い!!登ろう!登ろう!」
と卓は一気にテンションが上がっていく。
どうやら卓は高い所が大好きでのようだった。
「煙となんとかは高い所が好きっていうよね」
遼は、ぼそっと言うと
「それ、俺がバカって言いたいの?」
「あれ?聞こえてた?」
「聞こえてたよ!でもバカと煙は俺の親戚みたいなもんだからなぁ」
親戚って…卓の言葉に海斗はツボに入った。
あぁめっちゃカワイイ。考えてることがカワイイ。
けれどそれを真顔で何も考えていないように接する海斗であった。
展望デッキまでは、エレベーターで行くことが出来たので3人は、エレベーターに乗り展望デッキへと上がっていった。
展望デッキからは江ノ島が一望でき、輝く晴天と海と山と鎌倉の街が広がっていた。
「うわぁ!めっちゃ綺麗!たかーい!」
子どものようにはしゃぐ卓。
「すげぇーなぁ」
遼は、卓の後ろを歩く。
「良い景色だなぁー」
海斗も一緒に歩いていく。
「うぉ!高ーい!落ちたら死ぬなぁー」
卓は、下を覗きながら景色をみた。
「独特な景色を楽しみ方だな」
遼は、卓を見ながら言った。
「高い所にいたら下を覗いちゃうよね?」
と卓は2人に聞くと
「怖くて無理」
「俺も…」
「2人とももしかして高所恐怖症?」
卓の言葉に、渋い顔をしながら
「そこまでじゃないけど高い所はあんま得意じゃない」
「俺も、遼君と同じだな」
「あっ!そうなの?じゃあもう降りる?」
「大丈夫そこまでじゃないから!ちょっと苦手なだけだから」
と遼は言いながら景色を見た。
「下を見なきゃいい景色だもんな」
遼は景色を眺めながら写真を撮った。
「そうだ!せっかくだから3人で写真撮ろうよ!」
海斗はそう言うと、スマホを自撮りにした。
えっ…遼は写真撮られるの大丈夫なのか…と心配になる卓。
俺とはこういう所に旅行に来ても一度も、本当に一度も写真なんか撮ったことない。
「良いねっ!写真、撮ろう!撮ろう!」
と遼が卓に顔を近づけた。卓は近づく遼の顔にドキドキと胸が高鳴った。
あっ…遼は写真大丈夫だったのか…
そうか…大丈夫だったのか…
卓の心にモヤモヤが立ち込めた。
海斗が俺の知らない遼を出したのか…
俺は、遼の親友のはずなのに…
卓はその不穏な気持ちに必死に蓋をして表情を笑顔に変えた。
「それじゃあ撮るよー!ハイチーズ」
これが3人で撮った初めての写真だった。
「良く撮れてるね!あとで送るよ!遼君の連絡先も教えてよ」
海斗は、遼に言うと
「あっ!そういえば、まだ連絡交換してなかったな」
海斗と遼はスマホを出して連絡先を交換しているその姿を見て、さらにモヤモヤとする卓。
この気持ちは違う。思っちゃいけない気持ちだ…
2人が仲良くなったのは嬉しいことじゃないか。
連絡先まで交換してるのに…なのに…この気持ち、、、。
卓の心には2文字の言葉が頭をよぎった。
それを隠すかのように卓は首を振った。
「良かったな。二人とも仲良くなって」
卓は笑みをこぼした。
「元々仲良しだよなぁ!」
と海斗は、遼は肩を組んだ。
「そうだな!卓が言ってたの良く分かったわ。海斗は究極の人ったらしだなぁ。初めて会った気がしないよ!」
「おっ!嬉しいこと言ってくれるねぇ」
海斗は、遼の顔を見ながら言った。
その姿に、卓の気持ちが溢れ出す。
だめだ…この気持ちは…
この気持ちはダメなんだ!
心から声が零れ落ちそうになったその瞬間、
「そろそろ下降りるかぁ!二人はどうする?」
海斗は遼と卓に声をかけた。
「俺も降りようっかな。卓も降りるか?」
遼の言葉に
「俺は…もうちょいいるから先に行ってて!」
と応えた。
2人が展望台から降りて行った後、
卓は心の中にいるいろんな思いを消し去るように
ふーっと息を吐いた。
次回、江ノ島の洞窟へ




