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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Our love story.
105/108

98. 電話

98. 電話

あれ?遼から電話だ・・・。

夕飯を食べお風呂に入り一段落ついた頃

遼から海斗への着信だった。

卓とのシェアハウスを終了してから2年間、

あの家にまだ住んでいた。

海斗は今の会社で順調にキャリアアップしていた。


遼からの急な電話に少し違和感を覚えながら電話に出た。

「もしもし、久しぶり…俺だけど」

「オレオレ詐欺かよ・・・どうしたんだ遼?急に」

「今、日本に帰っててさ・・・」

「へぇー俺には海外出向の話なんて一つもしてこなかったけどねぇー」

少し嫌味ったらしくいう海斗。

「その時は卓に言えば、海斗に伝わると思ってたからさ」

「まぁ一緒に住んでたからな・・・それで何か話したいことがあったから電話したんだろ」

「俺さ、卓の事好きなんだよ」

「うん知ってた。それで?」

「昨日会って告白した」

「ほぉー!それは良かったですね。

2人めでたくお付き合いましたっていう報告ですか?」

「いや、そんなんじゃねぇよ。付き合ってないし。

俺の気持ちを伝えただけ・・・俺また3日後にフィリピンに戻るんだよ。

その時までに卓が答えを出すってさ」

「ふーん。その場の流れですぐに答え出してもらえばそのまま付き合えたんじゃないの?」

「そんな簡単な話じゃねぇよ。

お前の事をずっと待たせてるからって卓が言ってたぞ。

海斗も卓の事好きなんだろ?」

「・・・どうだろうねぇ・・・2年も前の話だしな」

「それなら良いんだけどさ。

一応俺の恋のライバル?みたいなもんだろ・・・

お前もちゃんと伝えろよ」

「ライバル・・・勘違いすんな・・・

俺はその土俵にすら立ててねぇよ・・・」

「そうやって諦めるなら勝手にしろよ。

とにかくちゃんと伝えたからな。

後は海斗がどうするか自分で決めろよ」

「・・・ったく・・・大きなお世話だよ」

「・・・海斗。自分の気持ちに嘘つくなよ」

「お前にだけは言われたくないね!」

海斗はそう言うと電話を切った。


なんだよあいつ・・・くそぉ・・・


海斗はそう言うと携帯をベットに放り投げた。



海斗から電話だ。

今度は海斗から卓への着信だった。

久しぶりの海斗からの電話に心臓がうるさく高鳴った。

「もしもし・・・」

卓はおそるおそる電話に出た。

「久しぶりだね・・・卓・・・元気にしてた?」

「うん・・・まぁ元気にしてたよ」

「小説家として頑張ってるみたいじゃないの?本も読んだよ」

「あぁ・・・勝手に海斗の事を本にしちゃってごめんね」

「小説家だったら実体験なんてよくある話だろ?

別に俺は構わないよ。まぁ、前置きは置いといて本題に入るとしよう。

卓、遼に告白されたんだって。遼から聞いたよ・・・」

「・・・あぁぁ、告白されたよ」

「なんですぐに即答しないんだよ。

折角両想いになれたのにそのチャンス無駄にする気か」

「だって・・・海斗が・・・」

「俺の事なんてどうだっていいんだよ!

俺はお前が幸せになればそれで良いんだよ!」

海斗の必死な叫びが卓に響いた。

「頼むよ・・・お前が遼と一緒になってくれなきゃ・・・俺の気持ちが報われないだろ…」

海斗の声が震えているのが分かった。

「海斗・・・でも俺は」

「3人仲良くなんて言うんじゃねぇぞ!

そんなの元から無理だったんだよ!

それは卓・・・お前のワガママだ。

もういいんだよ俺の事はほっといて2人仲良く幸せになってくれればそれで良いんだ・・・」

「・・・・・・・・・・」

言葉を濁す卓に海斗は続けてしゃべり始める。

「分かったらもう電話もしてくるなよ。

これから俺と卓はもう赤の他人だ。

言っただろ・・・遼と付き合うことになったら俺は卓と離れるって・・・

遅かれ早かれこうなる運命だったんだ。じゃあな」

その言葉を最後に海斗の電話が切れた。


卓は海斗の思いに何一つ応えることが出来なかった。

海斗を苦しめてたのは俺だったのかな・・・。

卓の心がうるさく騒めいていた。



この日、春先だというのに寒波が訪れていた。

空気は透き通り、夜空には星が瞬いていた。

卓・遼・海斗の3人はそれぞれ別の場所で同じ夜空を見上げた。

冷たい風が3人の心に吹きすさんでいく。


それぞれの思いを胸に3人は3日後の遼の出発の日を迎えることになった。


次回、3日後成田空港

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