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少数派の恋愛事情~Minority Love~  作者: take
Chapter of Our love story.
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95.リサ

95.リサ

”今日ちょっと会わない?(つら)かしなよ”

この日は休日だというのに珍しくリサから連絡が来ていた。


面かしなって・・・ヤンキーじゃないんだから。

俺はリサに”予定空いてるから大丈夫だよ”と返した。


その日の午後、家の近くにある公園で落ち合った。

私服のリサを初めて見たが、

スタイルが良いのはさることながら

半袖短パンという大胆な服装にドキッとした。


これはもしかして・・・デート?

などと浮かれる俺にリサは

「デートじゃねぇよ」

と念を押されてしまった。

「分かってるよ!それよりなんだよ急に会おうだなんて」

俺は勘違いしていた自分が恥ずかしくなって少し早口でしゃべってしまった。

「ちょっと聞きたいことがあってさ。そのお守りってタクって人とお揃いでしょ」

リサの突然の言葉に思わず

「何でそれを・・・」

「まぁ私がそのことを知ってるのは大した問題じゃない。

ちなみにその人の名前は石田卓って名前であってる?」

リサの言葉に核心に変わった。


俺と卓との間の事を知っている?


「そうだけど・・・でもなんでそれを」

「その感じだと・・・やっぱりあれは本当だったんだね。

リョウ・・・君はタクに告白されたんでしょ」

「あぁ・・・そうだよ。

でもそれはリサに関係ないだろ。

これは俺と卓との問題だ。」

「関係ないけど、ほっとけない。

リョウはタクの事を考えてる時、もの凄く寂しいそうだし。

それにまだあんた、自分の気持ち言ってないでしょ」

「俺の気持ち・・・

俺の気持ちならちゃんと伝えた。

お前の気持ちには応えられないって」

「それがリョウの本当の気持ちならね・・・

リョウの本当の気持ちはそこじゃないだろ」

「俺の気持ちがリサに分かるわけないだろ!

俺は女性が好きで男性は恋愛対象じゃない!

勝手に俺の気持ちを妄想するなよ!」

「妄想?

そうかもしれない・・・。

でもあんたも同じ。

自分で自分の気持ちに蓋をして勝手に解釈してる。

女が好き?

それは股間がそう思ってるだけで、

あんたの心はどう思ってるのか聞いてるんだ」


俺の心・・・俺はあの時・・・


「俺はあの時、卓に告白されて戸惑った。

俺は女性が好きで・・・

でも卓は俺が、、、男性が好きで・・・

だからその気持ちには応えられない。

でも俺の本当の気持ちは・・・

そういう感情を抜きにして俺が卓に抱く感情・・・」


卓は俺にとってどんな存在なんだ・・・

ぐるぐると回る感情に苦しく感じた。


「私がなんでタクのことを知っているか。

教えてあげるよ・・・」

頭の中が整理しきれない俺に、リサが渡したのは一冊の本だった。


「この作者は石田卓という男。

題名は初恋。

この物語は彼の経験をもとにしているんじゃないかと(ちまた)ではそこそこ噂されてる。

作者は否定しているけどね。

ただこの物語に出てくるそのお守りがリョウ・・・あんたが持っているのと瓜二つなんだよ。

そしてあんたがそれを見ている時の表情はとても寂しそうだった。

だからそうじゃないかとカマかけてみたんだ。

勝手な事だったら悪かったよ」

「そうかそれで・・・」


俺は全ての辻褄が合った。

俺に小説書いてるのを見せられないって言ってたのも、こういうことだったのか。


「あいつちゃんと本を出してるじゃん」

久しぶりに触れた卓のぬくもりに自然と涙が零れた。

「あれ?おかしいな・・・なんで」


涙が止まらない・・・

くそぉなんで・・・


「私も5歳の時に日本からアメリカに急に来たんだけど、

人と違う事が凄い怖かった。

急な違う世界に1人だけだと感じて怖くて苦しくて逃げたくなった。

でもね、気づいた。

同じ人なんて1人もいないってことを。

アメリカは自由の国。

それこそ色んな人を見てきたし、世界のいろんな人とも出会った。

もちろんゲイの友達もレズの友達もいる。

だけど全員同じ事が一つだけある。

皆それぞれの人生を必死に生きてるってこと。」


”普通の人生じゃなくてリョウの人生を生きなよ”

リサの言葉が胸の奥へと突き刺さる。


俺の人生・・・

俺は普通の人生を過ごしたかった。

普通の人生、、、?

普通に生まれて、

20歳位で就職して、

25歳~30歳の間で結婚して、

子どもは2人から3人。

一軒家を買ってローンを払いながら子供と親を養って

そして50歳位で孫が出来て、

最後は子供たちや女房に看取られながら死ぬ・・・

そんな人生を何人の人が歩むのだろうか。

俺は普通に生きたいと願いすぎて、

普通に生きることが当たり前だと思って、

自分の本当の気持ちから目を背けていたのか。


「この本はね、多分だけどタクがあんたに宛てた最後の手紙だと思う。

真意は分からないけど、私にはそう感じられた。

だからこそ名前をあえて本名にした。

リョウに気付いてもらうために。

この本を読んであんたは本当の気持ちと向き合った方が良い。

それを伝えたくて今日会おうって言ったの。

あんたがいう大きなお世話だったらごめんね。

でも、こうでもしないとリョウは自分と向き合う事しないと思ったから」


リサはおせっかいだし、

図々しいし、人の心にずけずけと入ってくるし、うざい時の方が多い。

でも今回ばかりは・・・


「ありがとうな。リサ。この本借りとくわ」

次回、遼の心

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