9.江ノ島
鎌倉旅行始まりました。
お楽しみに!!
9.江ノ島
鎌倉駅から江ノ島に行くには、江ノ島電鉄に乗り電車で30分ほどかかる。
3人は、江ノ島に着いてから昼飯を食べることにして、江ノ島電鉄に乗ることにした。
「お盆休みだけど比較的空いてるね」
卓は、つり革に捕まりながら言った。
「平日はもっと空いてたし、今日はそれなりに混んでるよ。」
遼は相槌を打ちながら言った。
「俺、東京に住んでたけど、あんまり観光とかしてこなかったからさ。遼がいてくれて助かったよ」
海斗は、遼の顔をみながらそう言うと、少しうつむきながらおぅっとだけ返事した。
「遼…くんは、鎌倉には良く来るの?」
「まぁ。暇している時とかに何回しか来た事は無いけど、落ち着くから」
遼と海斗との会話であまり打ち解けてない感じが漂っていた。
それを察した卓は、何か盛り上がる会話を探した。
「そ、そういえば!海斗は今日はソクミミの服で来なかったんだね」
海斗の服は、明るい色のTシャツに、ジーパンにスニーカーを履いていた。
「まぁね。あれは、原宿だから着てっただけだから」
あれ?まずったかな…
海斗の反応に卓は地雷を踏んだのかと感じた。
「あっ…そうなんだ…」
卓と遼と海斗の3人の気まずい雰囲気は電車の中に流れていた。
気まずい時間はしばらく続き、特に改善される様子もなく、江ノ島駅へと到着した。
「ここが江ノ島かー!」
卓は降り立った駅で体をぐいっと伸ばしながら言った。
「まだだよ。ここから江ノ島まで歩くんだから」
遼はそう言いながら卓の体をポンと叩きながら前を歩いた。
卓は、一瞬ドキッとしたが、すぐに遼の後を追いかけた。
海斗はその光景を見ながら、2人の後ろを歩いた。
8月の中旬ということもあり、炎天下の中3人は暑さに耐えながら江ノ島まで歩いていく。
江ノ島までの道のりは売店が立ち並び、その中にアイスが売っているお店もあった。
「ねぇ暑いから、アイス買っていかない?」
海斗は、アイス屋さんを目の前にして言うと
「それいいな。俺も買おうかな?」
遼はそう言いながら海斗に賛同した。
これは!2人が仲良くなれるチャンスかも!
「よしっ!食べよう!俺も暑くて死にそう!」
3人は、お店に入り3人とも異なる種類のアイスを買った。
お店を出てアイスを買い食べながら歩き始めた。
「んっ!これめっちゃ!うまいよ!」
卓は、アイスを食べながら微笑んだ。
「俺にも一口ちょうだーい!」
海斗はそう言うと、アイスを一口もらって食べた。
「んっ!そっちもうまいね!俺のもどう?」
「あっ!頂戴!」
卓は、そう言うと、海斗から一口もらって食べた。
「遼君も一口どう?」
海斗はそう言ってアイスを差し出した。
あっ…まずい…
卓は、そう思ったが、遅かった。
「俺は要らないや」
遼は、そう言うと自分のアイスを食べ始めた。
あー…遼はそういう所結構神経質なんだよなぁ…
海斗、気悪くしてないと良いけど
卓は海斗と遼の仲をすごく心配していたが、
「そっか!そっちのは美味しい?」
「うん!うまいよ!」
と海斗と遼は、普通に会話をしていて、ほっとした卓であった。
3人は、アイスを食べながら、しばらく歩くと、江ノ島まで続く長い橋へと差し掛かった。
「この橋の先が、江ノ島だよ」
遼はそう言いながら、江ノ島の方を指を指した。
海の上を架ける長い橋を目の前に卓は興奮した。
「おーっ!すげっー!ワクワクしてきた!」
まるで子供のようにはしゃぐ卓の姿。
「卓って、なんでも楽しそうにしてくれるから本当一緒にいてて飽きないよなぁ」
遼は、卓の顔見て言うと、卓は顔をうつむかせて
「えっ…そうかなぁ…」
と照れながら言った。
「俺も一緒にいてて楽しいよ」
と海斗は、卓の肩を叩いて前を歩いた。
「さぁ行こう。卓!遼君!」
海斗はそう言いながら、二人の顔を見つめた。
卓と遼は、海斗の方へ歩き3人は江ノ島に向けて歩き始めた。
江ノ島弁天橋
江ノ島と本土を結ぶ橋。
橋の途中では絵を売っている画家がいた。
広がる海の背景に一つ一つの作品がより美しく見えている。
「ところで江ノ島って何があるの?」
卓は遼に聞くと、
「神社と展望台とあと洞窟かな?」
「洞窟!?行ってみたい!」
卓は、遼の言葉の洞窟に食いついた。
「洞窟は島の反対側なんだよなぁ。船使っていく?それとも歩く?」
弁天橋の袂には船の停留所がありそれに乗れば、島の反対側までいけるらしいのだ。
「いや、折角だから島の中歩きたい」
「卓ならそう言うと思った。エレベーター待てない人間だからなぁ」
海斗は、卓を見ながらそう言った。
「なんだよそれ」
卓は海斗にぐいぐいと肘で軽く押されながら言うと
「卓は、楽な方よりも大変な方を選ぶからそういう所良いなぁって思って」
「そう言えば、卓はゲームでもいつもわざわざ難しいモード選ぶよなぁ」
遼は、歩きながら妙に納得したように頷いている。
「えっ?だって難しい方が燃えるじゃん」
「それは卓だけだな。人間は楽な方に行きたがるのにわざわざ大変な道を選ぶんだから」
遼の言葉に、海斗は一瞬心がざわついた。
「まぁその道しか選ぶことしか出来ないってパターンもあるけどね」
海斗は、少し悪戯っぽい微笑みで返した。
「そういうパターンもあるんだなぁ。まぁ俺らは大変な道を行くと言うことで!」
遼の言葉に3人は江ノ島へと足を進めた。
次回!江ノ島についに到着!




