10月18日 練習試合(黄河大学戦)
試合前のロッカールーム。俺は、低い天井を見つめながら息を吐いた。ここで、結果を出せば一気にレギュラーへのチャンスが開ける。ただ、ここでダメだと再び、レギュラー落ちが確定する。俺にとっては、運命の一戦だった。目標は、春翔に伝えたられた1ゴール1アシスト。どうやったら、この目標を達成できるだろうか?足元にはまだ、少し固い靴底の痛みが混ざっているような感覚だ。以前のように、地面を蹴るたびに小さな火花が起こったしまえば、もうそれで終わる。やれることはすべてやったけど、それでも不安は拭えない。怪我をしてから、90分フルに出たことがないことも心配だ。俺は、どれだけ走れるだろうか?もし、途中で脚の違和感を感じたらどうすればいい?試合前ということもあり、いろんな考えと感情が入り乱れている。もし、再び怪我となれば、もうここに立つことはできない。だったら、後悔しないためにも全力でやる以外方法はないんじゃないだろうか?
まずは、自分でゴールをとり、己の自信を取り戻しチームを鼓舞させる。それしかない。強く思いを抱きながら、どうゴールをとるか考える。大屋と久保にどれくらいマークがつくかによるだろうな。向こうにつけば、俺のマークも甘くなる。ただ、大屋も久保も我が道をいくタイプではある。ボールをつなぐサッカーとは少しかけ離れるだろう。となると、ボールを要求できるのは春翔か外山か早崎くらい。ペナルティエリアに入りすぎると、密集するからあえて、ロングを狙うのもありなのかもしれないと頭によぎった。ゴールから距離が空けば、アシストにもつながるし悪くはない。問題はどこで動くかが大事になってくる。俺の頭の中には、試合のプランや戦術を入れ込んでいた。「おい!大丈夫か?」声の先には、満面の笑みを浮かべた湊人が立っていたのだった。
【城南大学】 【黄河大学】
大屋江 FM 佐藤都志
柴山春翔 FM 鈴木大輔
久保英人 MF 伊藤翔太
喜早旭 MF 山本陽斗
外山広野 MF 小林悠斗
早崎充希 MF 加藤怜央
坂和日白 MF 松本晃平
田上京也 DF 中村瑛人
畑川尚弥 DF 渡辺拓海
中釜慎也 DF 高橋海人
金子侑 GW 佐藤健太




