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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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70/80

10月9日 橋渡し

 明日に迫った練習試合。今日は、明日のベンチメンバー入り組とベンチ外組で練習が分けられた。俺は、ベンチメンバー組とともにアップをこなし、戦術について監督から指示が出されていた。監督としては、これまでの高いディフェンスのラインを行うサッカーから、カウンターアタックとポゼッションサッカーの2つを合わした戦術も行いたいみたいだ。

 問題は、戦術に合わしたサッカーができるかということだ。チームというより、どうしても個が目立ってしまうことが多い。攻撃陣は、俺が俺がと言わんばかりにパスを要求する。しかし、パスなんて出し手によって出す場所は大きく変わる。外山は、まだキャプテンだからいいが、大屋、春翔、久保と錚々たるメンバーがボールを要求する。そりゃあ、後ろのヤツも迷うよな。FW陣とMF陣が連携すれば、もっとスムーズにボールが流れるのにな。おそらく、監督は2列目と4列目の橋渡しとして俺を期待しているのだ。

 橋渡しはするけど、もっとアイツらがチームを機能させることを意識しないと根本的な解決にはならないのだ。一歩、守備陣は、攻撃陣と真逆で言われたことを言われた奴らしかいない。だから、攻撃陣に翻弄されて点をとられてしまうことが多い。攻撃的なサッカーをしたいと言われラインを上げるが、頭を使わずにサッカーをしてしまうからすぐにカウンターをくらう。なんとなく、点の取られ方が目に見えているのだ。まず、俺がやらなければならいのは、外山の指示した戦術をチーム内に浸透させることだ。

 それは、簡単なことではない。レギュラーではない俺がやるなんて。昨年はレギュラーだったかもしれないが、そんなものは過去の栄光。みんな死に物狂いでレギュラーの座を狙っているんだ。今の湊人の練習を見ていると、特にそう思う。あのギラつきは、入学してからずっと同じ。もし、湊人が入ればさらに個性豊かなチームになる。監督もそれを期待してのメンバー選出だ。他にも湊人と同じレベルの選手もいるのに。

 監督の説明が終わり、俺たちは休憩に入った。そういえば、あと1年半で監督が辞めてしまうという噂がここ最近流れていることを思い出した。大学の部活なんて、結果が出なかったら辞めるというのは仕方がないけど、俺はどこか寂しい気持ちになっていた。監督が辞める頃に、ちょうど俺たちも引退していることになる。関係ないと言えば関係ないけど、俺たちが辞めても監督でいてほしい。それが素直な気持ちだった。

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