10月4日 誓い
トレーニングが終わっても、俺の練習は終わらない。ボールを蹴りながら、春翔から聞いていた作戦を入念に頭に叩き込んでいた。ここから、レギュラーに割って入るなら、チームを勝たせるくらいじゃないと無理だ。けど、今の俺にそんなことができるのか。何ができるだろうか?もっとチーム事情をよく知らないとダメだ。なんとなく見てるだけだと。俺がどんな役割でチームを変えられるのだろうか?現状のチーム状況。
攻撃陣は、大屋、久保、春翔 と揃っている。そこに、湊人が控えている。そして、中盤には、外山、真田、佐江、山下、山田、鹿目、佐藤、坂和がいる。そして、俺もここに加わらなければならない。守備陣には、田上、山本、畑川、古谷、中釜、多田、橋本、不和。ここにGWの金本、園山たちが。メンバーだけ見れば悪くない。なのに勝てない。雰囲気もよくない。
春翔「なんかあったのか?」
俺 「いや、なんでもないよ」
俺のモヤモヤした気持ちを理解している。なんか、悟られたくないな。コイツには。
春翔「浮かない顔してるから、なんかあるんだろ?」
俺 「そんなことねぇよ」
とりあえず否定しておく。
春翔「そんなに試合に出たいか?」
俺 「当たり前だ」
これから大会があるんだ。今が一番出たい時期だ。
春翔「だったら、監督にアピールしろ」
俺 「わかってるよ」
どうやって、アピールすればいいんだよ。
春翔「明日、紅白戦をやる」
俺 「そうなの?聞いてないぞ」
まさか、こんなチャンスがくるとはな。このチャンス確実にいかしたい。
春翔「当たり前だ。今、決めたんだから」
俺 「勝手に決めんなよ」
相変わらず、コイツは自分勝手だ。
春翔「ハハハハ。そこでアピールだ」
俺 「まぁ、出してくれるかはわからないけどな」
おそらく、俺が出れる時間は決まっている。
春翔「お前が言うんだよ」
俺 「わかってるよ」
なんとしてでも、限られた時間で結果を出す。
春翔「おそらく、10分くらいだろうな」
俺 「俺もそう思う」
春翔「そこですべてを決めろ」
俺 「わかってる。作戦もたたき込んだ。やれる」
自信しかない。このためだけに、戻ってきたんだ。
春翔「期待してるぞ」
俺 「ああ。任せとけ」
春翔「明日が楽しみになってきた」
絶対明日活躍すると、俺は心に誓ったのだった。




