10月3日 カラオケ
まさか、今日も朝比奈と一緒とは想像がつかなかった。練習が休みだった今日、俺は理人に呼び出されて、カラオケに来ていた。気分転換にいいかと思ったけど、これじゃあ、またサッカー部にいるのと変わりなかった。
俺 「なんで、今日もお前がいるんだよ?」
朝比奈「それは、コッチのセリフでしょ」
すぐさまツッコむのがなんだか面白かった。
俺 「は?」
朝比奈「私は、理人に呼ばれたのよ」
理人とは、俺と同じ学科の友だちだった。まさか、理人と朝比奈が知り合いとはな。俺は、そこに驚いてしまった。
俺 「理人がお前を呼ぶか?」
朝比奈「呼んだよ」
俺 「嘘っぽいな」
俺は、朝比奈のことが信じきれなかった。まさか、そんなの呼ぶとは考えられない。けど、そこまでして言うんだから本当なのかもしれない。
朝比奈「なんで、そうなるのよ」
俺 「当たり前だろ」
普通そうなる。誰がやってもそうだと思う。
朝比奈「後から、麻紀子も来るよ」
俺 「へぇー。アイツも来るんだ」
麻紀子も同じ学部の女の子で、よく俺たちはご飯に行く仲だった。
朝比奈「そうよ。私はアンタが来るなんて聞いてなかったよ」
俺 「それは、よかったじゃない」
ここは、ギャフンと言うしかない。
朝比奈「そう?なんでよ?」
俺 「俺に会えるなんてなかなかないよ」
真顔で伝えた。
朝比奈「それ、自分で言う?ハハハハ」
そこには、いつもの笑顔があった。
俺 「俺は、みんなから好かれてるからね」
朝比奈「へぇー。好かれてるんだ」
俺 「当たり前だ」
俺には、1日でも早くグラウンドに戻る。その使命があった。そのためには、一刻も早く怪我を治さなければならないのだ。
朝比奈「早く、何歌うか決めようよ」
俺 「そうだな。タブレットとってよ」
朝比奈「はーい」
普段、マネージャーをしていない時には見ない指輪が見えたのだった。朝比奈も一人の女性。そう見てしまう瞬間で、なんだかもどかしい気持ちになっていた。別に、朝比奈が好きなわけじゃないけど、一人の女性として見ると恥ずかしい。
俺 「これにしよう」
朝比奈「なになに?」
俺 「よっしゃー!!歌うぞ」
まだ、理人や麻紀子が来ていないのに、俺は既にノリノリでテンションも上がっていた。




