10月1日 朝比奈麻央
監督、外山たちからはジムでのトレーニングが認められた。正直、自分のやっていることがどのくらい合っているかはわからない。それでも、同じようにやり続けるよりかはいいんじゃないかと思った。ジムの冷たい空気が、俺の体を涼しくしてくれる。俺は、スチール製のバーの重みを感じながら、 渾身の力を込めてベンチプレスを上げる。トレーナーの水木と朝比奈は、大きな声を出しながら俺の方を見ていた。サッカー部のマネージャーは、全員で6人いる。グラウンドにいてもやることがなかったのか、朝比奈は、こっちに来ていた。よく見ると、朝比奈は可愛い。コイツ、彼女いるのか?サッカーのことを考えないと、そんなとを考えてしまう。
朝比奈「はい、もう一本」
俺 「できるか、そんなに」
朝比奈の笑い声が室内に響き渡った。
朝比奈「もっと、頑張らないとレギュラーにはなれないぞ?」
俺 「うるせぇよ」
触っていたバーから、手を離し、俺はタオルで汗をぬぐった。
朝比奈「そんなに練習したいの?」
俺 「当たり前だよ」
どこか納得いかなそうな表情を浮かべていた。
朝比奈「でも、怪我してるし仕方ないじゃない」
俺 「もう、治ってるんだよ。俺はやれる」
朝比奈「そんなのわからないでしょ」
なんでこんなに言われるのかわからない。マネージャーなら、もっと共感してくれるものじゃないのか?
俺 「朝比奈!」
朝比奈「なに?」
バーをタオルで拭く朝比奈を呼んだ。
俺 「俺、絶対戻るから」
朝比奈「どこに?」
コイツは何を考えているのかわからない。
俺 「レギュラーだよ」
朝比奈「戻るれかなー?」
完全に俺のことをなめている。俺は、再びバーをもち俺は、上げる準備をしていた。持った感じだと、だいぶしんだい。筋肉が悲鳴を上げている。「まだまだいけるよ!!」と朝比奈が大きな声で叫んでいる。俺の頭上には、軽快なロックのミュージックがながれている。俺は、大きく息を吸い込み、バーをゆっくりと上げ、ふたたび胸の方へおろす。今にでも、腕から腕が落ちそうだ。本当に腕が痛い。
俺 「絶対に俺は勝つ」
朝比奈「へぇー。そうなれたらいいね」
俺 「見とけ、俺の姿勢」
朝比奈の鼓舞する声を聞くと、私に力を与えてくれたのだった。俺は、ベンチからよろめき起き上がり、汗をぬぐっていた。




