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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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9月30日 トレーニングセンター

 もう17時というのに、ピッチの中で、俺は孤独にボールを蹴っていた。 俺もかつては、あそこにいたはず。チームの中心選手としていたはずなのに、今は、こんな隅に追いやられてサッカーをするなんて。やっぱり、思い通りいかないな。俺と同じく別メニュー調整をしていた1年の岸田はため息をつきながら、筋力トレーニングをしていた。そんな岸田を見かね3年の湊人がやってきた。「怪我の具合はどうだ?」。岸田は、ゆっくりとトレーニングをやめ、話し出した。「あまり良くないですね。復帰には、時間がかかると思います」。

 「焦るな。怪我は、ちゃんと治さないとあとあと困るぞ?旭みたいに」。おい!!俺は、思わずツッコんでしまった。アイツは、俺のことをなめてんのかよ。でも、湊人の言う通りだ。ここで、ちゃんと治さないと。もう、引退するまでピッチにもどってこれないかもしれない。そう考えると、時間がかかるというのは当たり前だ。早期の復帰が難しくなった今、ピッチに戻った時、これまで以上の状態で戻るのがベストだ。俺は、そうなるように、できる限りのことをしようと思った。

 それにしても、ここにいたら俺はボールを蹴りたくなる。だったら、ここにいない方がいいんじゃないかと考えた。俺は、大学にあるトレーニングセンターで肉体改造をするのはどうかと思いついた。ここにいる後輩たちも巻き込んで。大会は、11月くらいから本格的に始まる。もし、そこに間に合うならそこにでればいいし、そこが間に合わなければ来年の大会を目指せばいい。さっきの湊人の話を聞いてパッと閃いた。あそこのトレーニングセンターには、専用のパーソナルトレーナーもいた気がする。上手くいけば、本当に肉体改造も行える。

 これまで、別メニュー調整をしたけど、それだけでは飽きてしまう。ただ、みんなの練習を見つめるだけになってしまう。あそこなら、トレーナーが自分の怪我と俺の能力に合わせたメニューを提案してくれる。俺は、マネージャーの朝比奈に、トレーニングセンターに連絡してくれるように頼んだ。電話をしてる感じだと許可も出そうだ。朝比奈の電話が終わるのを待ちながら、春翔や外山の動きからチーム状況を考えていた。怪我の箇所にはあまり負荷をかけないように、トレーニング。それが、1番の理想だ。そのためには、バランス感覚や可動域を広げるようなメニューが必要だと勝手に考えていると、朝比奈の電話が終了したのだった。

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