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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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9月29日 6区

 監督は、俺が来たことに驚いたみたいだ。別メニュー調整している俺が急に来たら、そう思うのも理解できる。


 監督「どうした?」

 俺 「そろそろ全体練習に参加させてください」


 監督は、どう思うのだろうか?顔色を伺った。


 監督「もう、足は大丈夫なのか?」

 俺 「たぶん、いけると思います」


 自信をもってという感じではなかったけど、やりたい思いが勝っていた。


 監督「俺としては、万全の状態で帰ってきて欲しいというのが本音だ」

 俺 「はい」


 監督の言うことは理解できる。しかし、調整は十分に行なった。


 監督「全体練習に入れば、けずられることもある。それでも、大丈夫なのか?」

 俺 「‥‥」


 それはわかる。けど、次怪我をしたら、本当に選手生命を奪ってしまっても仕方がなかった。


 監督「もう、お前も怪我はしたくないだろう」

 俺 「はい」


 それはその通りだ。


 監督「だったら焦るな」

 俺 「でも、、、、、、」


 なんとか言いかえした。


 監督「今、無理してまた悪化しても仕方がない」

 

 それはそうだけど。


 ー9月24日ー

  

 タスキをもらった湊人の爆走が始まった。わずか5分で2位との差がほとんどなくなってしまう。どんだけ速いんだよ。俺たちは、興奮しながら、見つめていた。俺たちの中でも、ここからいくんじゃないかという流れになっていた。1位と2位の差もそこまでない。後半バテたとしても、おもしろくさせてくれるんじゃないかと思っている。しかし、今走る1位のランナーは、陸上部らしい。それが、やっかいだ。

 俺は、ペットボトルを持ちながら、次、湊人が通る地点へと向かう。このままいけば、何かが起こる。俺は、そう確信した。そのまま、いけー!!!ちょうど後ろから先ほどまで走っていた宇内が叫んでいたことがわかった。どうせなら、1位とりたい。そりゃあ、そうだろ。ここまでやったんなら、本気で勝ちに行くしかない。そう思うのは自然なことだろう。一方、4位以下のチームは、もう諦めムードで話をしながらレース自体も見ていなかった。たしかに、あまりの差があり逆転することはほぼありえなかった。湊人は、だんだん1位のランナーと距離を近づける。ひょっとしたら、最後のグラウンド1周で逆転もありえる展開になってきた。俺は、食い入るように見つめていた。湊人がもう間もなく、俺の前を通りグラウンドに入っていく。

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