表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/75

8月6日 北條傑

 今日は、昼からカフェにいた。今日も、本当であれば、今頃サッカーの練習をしていた。しかし、サッカーをやめたことでグラウンドに行かなくてよくなった。悲しいようで悔しい気持ちだった。自分の中でも、辞めてどう思うかが想像できなかった。

 辞めた今でさえ、自分の気持ちを表現できていなかった。そんな俺は、同じ高校だった、北條傑をカフェに呼び出していた。傑は、少し急いだ様子でカフェに着いた様だった。


 私 「久しぶり」

 北條「久しぶりー」


 傑は、右手を挙げながら答えた。


 私 「元気?」

 北條「おう。そっちは、元気ない?」

 私 「まぁな‥‥」


 傑は、何かを察するように、俺の方を静かに見つめた。


 私 「実は、サッカーやめることにしてん」

 北條「そうなんや。俺と一緒やな」


 傑は、微動だにしなかった。傑も、怪我で陸上を諦めた過去があったからだろう。


 私 「そうやな。傑は、陸上辞めた時、どうやった?」

 北條「俺?そんな大したことないよ。だって、傑は大学までやってるやん」

 私 「でも、傑も高校もスポーツ推薦で入ってるやん」

 北條「それは、そうやけど。旭とは、レベルが違うよ」

 私 「そんなことないって」

 北條「あるよ」

 私 「でも、急に部活いかなくなると狂うやろ?」

 北條「今までやってきたのがなくなるのはね‥‥」


 傑は、少し真面目そうに話をしてくれた。


 私 「つらい?」

 北條「なんか喪失感は、あるかな」

 私 「そっかぁ‥‥」

 北條「やめて後悔は、ないの?」

 私 「うーん。今のところは、ないけど」


 まだ、自分の気持ちをよく理解できていなかった。


 北條「じゃあ、いいんじゃない」

 私 「まぁな」

 北條「大学は、続けるの?」

 私 「うん。学費払ってもらってるしな」


 部活は、やめるが大学は続けることにしていた。スポーツ推薦で入った俺は、大学で勉強はほとんどしてこなかった。


 北條「やね」

 私 「傑は、どうなん?」

 北條「まぁ、ボチボチかな。バイトに明け暮れてる感じ」

 私 「バイトかぁ」

 北條「傑もバイトしてみたら?」

 私 「それそもそうやな」


 傑と話しているとたくさんのヒントをもらえる気がしていた。


 北條「なんかしてると、喪失感もなくなると思うし」

 私 「確かに。傑は、何のバイト?」

 北條「俺は、配達やな」

 私 「しんどくないの?」

 北條「しんどいよ。でも、給料いいし。やめられないよ」

 私 「そうなんや。これから、どうしようか考えてみるわ」


 私たちは、1時間ほど、カフェで話をして、解散した。今でも、私の中で、サッカーをやめたという感覚はなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ