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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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9月27日 4区

 この前走ったせいか、いつもより体が動く気がした。こういう時は、体が重いのが通常なのに。俺は、いつものように別メニューをしながら、トレーニングを行っていた。そろそろ大会に向けて、本格的にチームが動く頃。問題は、誰を中心としてチーム作りをするのか。個々で能力の高い選手たちは集まっている。しかし、思うようにチームとしては機能していない。やはり、戦術の問題とチームに一体感がないことが課題。前者の戦術に関しては、いずれ浸透していくか気にしていない。だが、一体感がないことに関しては、すぐになんとかはならない。みんながそれぞれ別の方向を目指している感じだ。


 ー9月24日ー


 俺たち駅伝は、ちょうど3区から4区の後半戦に差し掛かろうとしていた。走るのが苦手だった槙は、先頭を走っていたが、すぐさま抜かされ先頭集団から大きく引き離されてしまっていた。彼らが走っているところは、灼熱の太陽がアスファルトを焦がしており、容赦なく照りつづけている。ラストスパートとして槙は、歯を食いしばって懸命に足を動かしている。4区を走る上木がスタンバイをしている。今は、5位。ここから、追い上げはあるか。

 順位が下がっていくたびに、湊人の表情は曇っていく。今くらいだと、まだ逆転はありえるけど、これ以上離されるといくら湊人とはいえ逆転は難しいだろう。俺も祈るように上木の走りを見つめていた。走り終えた槙は、死にそうだ。先ほど走り終えた林がペットボトルが入った水を渡す。槙が遅れた分を取り返そうと上木は、序盤からペースを上げる。上木の後ろにいた選手と一緒に4位のランナーの背後にじわりじわりと迫っている。「そのまま、抜け!!」。「いけー!!」。次走者の宇内は、大きな声を出していた。

 上木は、4位のランナーを抜き、後ろにいたランナーと一緒に4位に上がった。次の3位を目指して懸命に走っている。俺は、3位のランナーに視線を向ける。少し距離があるな。すぐに抜かすことは難しいけど。なんとか抜いてほしい。俺は、そう思っていた。上木の足取りは軽く、徐々にではあるが3位4近づいているような気がした。後ろを見ると、湊人がジョグを始めている。本気だな、アイツは。上木が走り終えると、残りは宇内と湊人のみ。この2区間で逆転をするしかない。上木が必死にペースを上げようとしているのを見た湊人は、「自分のペースでいけ!!」と声をかけた。

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