9月16日 お前を活かす
俺は、全体練習から帰ってきた春翔を見ていた。今日も別メニュー調整で、俺はサッカーをしていたのだった。スッと息を吐き、これからどうしようかと考えていた。このままじゃあ、ダメだ。もっと頑張らないと。けど、がむしゃらにやってしまうとまた怪我をしてしまう。あんな思いは、もう二度としたくない。帰ってくる春翔と俺は、今凄い差があるのだろう。でも、そんなことはない。そう思うようにしていた。
春翔「あとで、練習しようぜ」
俺 「おっけー」
全体練習が終わった春翔が声をかけてきた。春翔の額には、大量の汗が。タオルを渡すと、汗をぬぐった。
春翔「いつくらいから、やれそう?」
全体練習のことか。新しいフォーメーションを試すにしても人がいなければ、練習できない。前、春翔が言っていたフォーメーションが機能するには、全体練習がとても必要だった。
俺 「全体練習は、まだ入らないだろうな」
春翔「そうか。まぁ、今は、ゆっくり完治させる方が先だな」
どこか残念そうだった。春翔の期待に応えられなかったのは申し訳なかったけど今は仕方がない。
俺 「でも、そんなちんたらしてたら、サッカー人生終わってしまうぞ」
せめて、やる気があるということは、春翔に示したかった。
春翔「お前も大学の先でやる予定あるのか?」
くいついてきた。もっとコイツの期待に応えたい。そんな思いが溢れていた。
俺 「さぁな。でも、そうなれたらいいと思う」
春翔「俺と一緒に上でやろうぜ」
即答できない自分がムカついた。
俺 「ムカつくな。上でやれる前提かよ」
春翔「当たり前だろ?昔のお前なら即決なのに」
そうだ。春翔の言う通りだ。昨年の俺だったら、もっと違ったことを言うはず。
俺 「もう、ノリノリの俺じゃないからな」
春翔「じゃあ、諦めるのか?」
俺 「諦めるかよ」
そんなはずがない。だったら、ここに戻ってきていない。
春翔「それでこそ、お前だ」
俺 「当たり前だよ。お前を活かすのは俺なんだから」
言い切ってやった。
春翔「逆だよ。俺がいるからお前が生きるんだよ」
言い返された。相変わらずコイツは。俺たちは、いつもの笑顔で満ち溢れていた。もう、あの頃の自分の迷いや弱さはない。後は、結果を出す。それだけだ。けど、それまてまの道のり遠くて険しいのだ。




