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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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9月15日 もう一度

 キャンパスの中庭を横切る。鮮やかな緑が目に入ってくる。俺は、講義棟Bへと向かっていた。夏の澄んだ空気は肌を心地よく刺激してくれる。サッカーがない日は久しぶりだった。サッカー部に戻っていくなんて、あの日は到底考えれなかった。大学を辞めて何者かになりたかったはずなのに、今こうして大学にいることが不思議だった。木の葉が風に揺れてサラサラと音を立てて私の耳に入ってきた。俺は、ため息が出た。なんで、ため息が出たのかよくわからない。本当は、大学を辞めたかったのだろうか?戻ってきたことが本望じゃなかったのか?自問自答しているのがなんとも不思議な気持ちだった。

 俺は、講義室へついた。すでに多くの学生たちで賑わっているみたいだ。どこに座ろうかな?前にいると、先生に当てられてしまうから、俺は後ろに座ることに決めた。他のサッカー部は、この授業を受けていないみたいだった。たいていのサッカー部は、勉強よりもサッカーの方が大事だ。当たり前だけど、スポーツ推薦で入学している人も多いからこそ、勉強に価値をおいている人は少なかった。

 だから、みんなのことがわからなかった。プロや社会人にすすめなかったら、彼らはどうするんだろうか?俺らの大学にいるサッカー部でプロや社会人にすすめる人は、おそらく2.3人だろう。俺たちの代で言えば、春翔、外山、久保くらいだと思う。俺は、おそらくこれ以上、上でやれることはできない。だったら、なんでサッカーしてるんだろうと思ってしまうのだ。さっきあげた3人以外もみんなサッカーに集中している今の状況を作っているのはすごかった。

 そんなサッカーのことを考えていた俺とは、対照に他のみんなは、講義の開始を待ちわびている様子だった。すると、先生がいつものように入ってきて、授業を開始した。10分ほど聞いていたが、授業は相変わらず、退屈だった。俺は、サッカー部のやつらより勉強はできたが、そんなに授業が面白いとは思わなかった。シャーペンを握りながら、男性の講師を見つめていた。また、明日からサッカーの練習が再開する。完全に足が回復したら、もっともっと練習できる。そしたら、監督にアピールできるし、試合に出るチャンスも増えるだろう。もう一度、もう一度。自分の中で強くレギュラーに出たいという気持ちが心の中を燃やしてくれる。結果さえだせればなぁ。俺は、そんなことを考えながら講師の方を見つめた。

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