9月13日 庶民シュート
春翔「どうするんだ、ここから?」
俺 「そりゃあ、12までに復帰して1月の本番には出るだろうよ」
年明けの公式戦には、何としてでも出たい。昨年のかりは、全国大会で必ず果たしたかった。
湊人「出れたらいいけどな?ハハハ」
俺 「随分、上からじゃねえか」
湊人の発言に納得いかなかった。
湊人「当たり前だろ。お前がいない分、パワーアップしてんだから」
俺 「ホントかよ」
俺たちは笑い合っていた。
湊人「ホントだよ。俺のミドルシュート見せてやりたいぜ」
春翔「なんだよ、ミドルシュートって」
湊人は、完全にいじられているみたいだった。
湊人「お前、知らないのかよ。こんだけ一緒にいて」
俺 「ハハハハ」
知るわけがない。サッカーしてる奴は、そんなミドルシュートなんて言葉をあまり使わない。
春翔「わかるわけねぇだろ、そんなもん」
湊人「なんでだよ」
春翔は、ボールで遊んでいるみたいだ。
春翔「お前らの庶民シュートなんて、俺みたいにスターにはわからないよ」
たしかに、春翔はスターの階段を上がっていた。昨年の全国大会に出場してから、俺たちより、ワンランク上にいるイメージだ。腹は立つけど、コイツのいうこともあながち間違いではない。
湊人「庶民シュートなめんなよ、まじで」
俺 「湊人は、いいけど俺は違うよ。コイツと一緒にすんな」
湊人と一緒はごめんだ。ボケでも訂正していく。
湊人「待て待て。俺が庶民シュートなら、お前らはもっとショボいだろ。進化した俺のシュート見してやりたいから、見とけよ、お前ら」
何やら意気込んでいた。
俺 「いいね、庶民シュート。俺も見とくぜ」
湊人「のぞむところだ」
湊人は、ボールを持ち、PKの位置から少し離れた、斜め右あたりにボールをセットしたみたいだった。当然だが、練習終わりでキーパーなどいない。
久保「何してんだよ?」
俺 「庶民シュートを見るんだよ」
呆れた様子を見せていた。
久保「なんだよ、それ?」
春翔「まぁ、見たけって」
俺と春翔に言いくるめられた久保は、湊人を見つめるのだった。ボールをセットした湊人は、勢いなく、走り出した。そして、湊人から蹴り出されたボールは、無回転で飛んでいく。あれは、、、。俺たちは、驚かされた。そして、大きく落ちてゴールネットを揺らしたのだった。




