9月8日 練習終わり
春翔「どうだ、脚は?」
俺 「それなりにだな」
ボールを手で回しながら、俺の方を見てきた。
春翔「そっかぁ。それより、今日また話そうぜ」
俺 「何を?」
即答した。
春翔「この前言ってた戦術だよ」
俺 「ああ、あれね」
まだ、春翔が本気にしていたのは意外だった。
春翔「お前が本気ならいつでも手伝うよ」
俺 「それはありがたないな」
春翔は、俺にいつも協力的だった。というか、単純に戦力ダウンになるから戻ってきてほしいのかどっちかだと思っていた。
春翔「もう、走れるんだろ?」
俺 「ああ。あとは、どうやって結果を出すかだよ」
今日の練習でも問題はなかった。後は、ここから走りこんで90分走れる体力をつくる。そこからだろう。
春翔「今からやるか?」
俺 「今から?」
春翔「やるなら手伝うよ?」
こんなトントン拍子に進んでいくとはな。この流れは話じゃなくて練習になるじゃねえか。
俺 「じゃあ、やろうかな。何の練習するんだ?」
春翔「まずは、キックの精度を高めるところからだな」
たしかにもっとも、今の俺に必要な力だ。
俺 「あぁ。そうだよな」
春翔「だから、とりあえずフリーキックからいくか」
俺 「いいぜ」
すると、横から湊人がやってきた。俺の顔を見ながらニヤリと笑った。
湊人「俺もやらせろよ」
春翔「いいねぇ。余裕なのか?」
この二人は、チームのメニューをきちんとこなしていた。しんどくはないのだろうか?
湊人「当たり前だろ」
春翔「当たり前なのか?」
湊人「旭、容赦外したらダッシュしろよ」
たしかに湊人な、チーム一の体力の持ち主でもあった。90分間走っても体力が落ちることは、ほとんどなかったのだ。しかし、スタメンになるには、監督の戦術にあてはめて動かないといけない。
俺 「俺をなめんなよ」
湊人「じゃあ、外したら外周な」
春翔「いいね、それでいこ」
二人は楽しそうに笑っていた。ホントにサッカーが好きなんだろう。この二人は。俺は二人を見ながら懐かしい気持ちになっていた。
湊人「おけー」
春翔「楽しみだな」
俺たち3人の話は勢いよく決まった。しかし、これでは終わらなかった。前から来たのは、外山や久保たちだった。一番めんどくさい奴らがやってきたと思いながら、心の中では笑ってしまっていた。




