9月3日 友だち
俺は、昨日、山本さんに会ってからすぐ傑に連絡した。山本さんは、俺たちが今日会えるようにバイトを入れてくれたのだった。それに応えるかのように、傑は、時間を作ってくれて、今日こうして会っていたのだった。
傑 「で、旅行行くんだ」
俺 「一応な」
話は、旅行になっていた。
傑 「喜んでるじゃねえの?」
俺 「さぁ、どうだろうな」
行くことが決まったことを両親はどう思っているのだろうか?
傑 「関西?」
俺 「うん。大阪とか神戸かな」
柚月と決めてから、親に言ったら喜んでいたらしい。
傑 「楽しそうでいいね」
俺 「傑の方は夏休みどうしてるんだよ?」
会ってもあいかわずの傑だった。やっぱり陸上をやめたからこういう風になったのだろうか?
傑 「相変わらずだよ」
俺 「遊んでるの?」
傑 「俺は、遊ぶことしかねぇよ」
高校までの傑は、ずっと陸上のことしかしていなかった。それが、陸上を辞めてしまうと、180度変わってしまっていた。
俺 「何してるの?」
傑は、アイスコーヒーを飲んでいた。
傑 「カラオケとかボウリングとか。飲み会とかたまにバイトとか。そんなのの繰り返しだよ」
さすがだな。言葉が出なかった。
俺 「楽しそうでいいね」
傑 「何も変わりばえしないよ」
傑は、どこか煮え切らない感じみたいだった。
俺 「やっぱり大学の友だちと遊んでるの?」
傑 「いや、意外と大学じゃない奴の方が多いかも」
普段、傑がどんな感じで遊んでいるかは知らなかった。
俺 「じゃあ、俺も知ってるかな?」
傑 「高校時代しらねぇだろ。ハハハハ」
俺たちは、叩きながら笑った。
俺 「まぁ、そうだけど」
傑 「高校の奴とかが多いよ」
俺たちは同じ高校じゃない。だから、あんまり深くはわからない。
俺 「陸上のやつ?」
傑 「そうね。陸上部もいるかな」
頭の中に髪の毛を染めた男の子が浮かんだ。
俺 「例の隼人じゃないの?」
傑 「アイツはちげぇわ」
俺 「違うんかよ」
大学生あるあるだろうか?傑の友だちだけど、全く知らなかった。
傑 「アイツはヤンチャやからほっとけ」
俺 「ヤンチャなの?」
傑 「めちゃくちゃヤンチャ。というかヤンキーやわ」
今日の傑は、いつも以上に迷っているように感じた。




