9月2日 復帰
山本は、笑顔で俺の方を見てきた。俺は、近くに行って頭を下げた。
俺 「お久しぶりです」
大きく手を挙げてくれた。
山本「サッカー戻ったらしいじゃねえか」
今日は、山本さんの農園に来ていた。どうなら、北條は来ていないみたいだった。
俺 「聞いたんですね」
山本「ああ。北條喜んどったぞ」
傑は、そんなことで喜ぶのか。意外だった。
俺 「そうだったんですね」
山本「働くのはいつでもできる。お前はサッカーを頑張れ」
さっき収穫したと思える野菜のカゴをおろした。
俺 「ありがとうございます。最近、傑は来てるんですか?」
野菜をわけながら、山本さんに質問をした。
山本「たまにな」
俺 「そうなんですね」
山本「あんまり会ってねぇのか?」
不思議そうに話をしてきた。どういうことだろう。
俺 「最近は、会ってないですね」
山本「まぁ、お前はサッカーやれよ」
北條も山本さんも俺には、サッカーしかないと思っているのだろうか?
俺 「はい。また、全国出て活躍するんで見といてください」
とりあえず、自信満々に答えといた。
山本「ハハハハ。それは面白いな」
山本さんは、軍手を脱ぎ捨て、軽トラックに向かおうとした。俺も慌てて山本さんについて行く。
俺 「ありがとうございます」
山本「自信ある方がお前らしいわな」
俺のサッカー復帰には喜んでくれているみたいだったが、それだけでは満足していないみたいだった。トラックに野菜を入れるように指示を出された。
俺 「そうですか?」
山本「最近までのお前は自信なさそうにしとったもんな」
全て見破られているということかぁ。まぁ、生きている年数も違うからな。車にのりこんだ山本さんは、何かしているみたいだった。
俺 「怪我してたんですから、仕方ないっすよ」
山本「お前は、北條に感謝しないとな」
俺の方を見た。
俺 「どう言うことすか?」
今度は帽子をとり、エンジンをかけた。
山本「北條が学校に来たこと知らないだろ?」
俺 「えっ?知らないです」
どういうことだ?頭の中がよくわからないことでいっぱいだった。
山本「内緒でお前らのサッカー部の人と会ってたみたいだぞ」
俺 「えっ、そうなんですか?」
この言葉は、俺にとって衝撃的事実だった。




