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日常で世界を変える(喜早編)  作者: mei


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8月31日 サッカー戦術


 俺の大学は、9月20日から始まる。大学が始まってしまうと今みたいな集中してサッカーができなくなってしまう。そうなったら、外山どころか今のポジションですら、太刀打ちできなくなるのだった。

 今日も、いつものように全体練習の端で個別練習に励んでいた。今日のフォーメーションは、4-3-3-1。ワントップには、大屋ではなく、2年の内山が入っていた。ここにきて、フォーメーションの変更かぁ。

 監督を見ながら、内山の動きを観察していた。内山が入ったことで、2列目には、春翔、久保、鎌田の3人。外山は、3列目に下がったのだった。このフォーメーションだと、カウンター中心で、積極的に攻撃をする機会が少ない。

 サッカーにはいろいろな戦略がある。特に、俺たち城南大学サッカー部は、毎年のメンバーによって戦術を変えていた。一つ目は、トータルサッカー。これは、ポジションに限らず自由に動いて、全員で攻撃し、全員で守備をするサッカーのことだ。しかし、このサッカーをするには、個々が幅広い技術を理解して動く必要がある。また、自由な動きをすることが多く、ポジションが複数こなせること、高いスタミナを持った選手が多くあることが理想だ。

 ムービングサッカーは、人もボールも動くという趣旨に基づいた攻撃のこと。選手は試合中に頻繁にポジショニングを変えていく。大屋がワンタップに入ると、このサッカーをすることになる。しかし、このサッカーが俺たちに合わないと春翔は主張する。

 前列の選手を中心にゲームの状況を激しく動かそうとしていくため、相手チームのプレーヤーにとって予測が難しいゲーム展開を作り出すことで起点を作る。しかし、大屋の動きがあまりにも自由なだけに2列目の選手たちだけでなく全体に影響を及ぼしていた。つまり、このサッカーを実現するには、ゲームの間動き続けるための運動量を支えるスタミナが必要な選手をどれだけ集めれるか。それが勝負だった。

 ポゼッションサッカーは、チーム全体でパスを回すことで、自チームが常にボールをキープすることで試合の主導権を握ろうとすること。これは、春翔が推していたサッカー戦術。これは、現代の多くの強豪チームで採用されているが、実際に行なうためには非常に高い技術が必要となっている。ただ、春翔がこうして話すのも無理はない。監督自身も大屋中心のチーム作りには限界を感じていたし、今もこうして見せていた。

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