8月30日 旅行場所
俺は、朝から柚月とこの前の旅行の話をしていた。親からは、いく場所は二人で決めるように言われた。俺は、できるだけ行ったことのない場所に行きたかった。柚月は、楽しそうにスマホで観光場所を探していた。
柚月「お兄ちゃん、九州は?」
俺 「九州は、遠いよ」
日本地図を思い浮かべた。
柚月「えー。じゃあ、四国?」
俺 「四国も遠いだろ」
柚月は、どこに行こうとしているのだろうか?
柚月「じゃあ、どうするのよ」
俺 「関西でいいだろ」
柚月「関西って、大阪とか神戸?」
笑顔で私の方を見つめてきた。
俺 「ああ」
柚月「私、神戸行きたいなー」
俺 「なんで?」
なぜ、柚月は神戸に行きたいのか?俺は、よくわからないでいた。
柚月「だって、あそこオシャレだし綺麗じゃない」
俺 「たしかに、オシャレなイメージはあるな」
俺は、スマホを見ながら旅行価格を調べることにした。
柚月「でしょ。じゃあ、大阪と神戸にしようよ」
俺 「おっけー。じゃあ、言っといてよ」
俺は、スマホを調べたものを柚月に渡して起き上がった。
柚月「えー。嫌だよ」
俺 「俺は、サッカーの練習があるから。柚月がやってくれ」
起き上がって、伸びをしながら足首を回した。
柚月「私もバスケの練習あるから」
俺 「もっと練習しないといけないんだよ」
柚月を突き放すように話した。
柚月「今以上にやるの?」
俺 「今のままやっても、勝てないからね」
この前の春翔の話を聞いた。ポジションを変えても、今の俺では勝てないことを理解していた。
柚月「そうなの?」
俺 「当たり前だよ」
俺は、苦しいけど前を向くことにした。
柚月「ああ、どうしよう。お兄ちゃんが試合に出なかったら面白くないじゃん」
どこか恥ずかしかった。
俺 「しょうがないよ。だって、相手がすごいんだから」
柚月「なんて言う人なの?」
俺は、限界に向かうことにした。
俺 「とりあえず外山かな」
柚月「外山さんねぇ。あんまり知らないわね」
外山広野。彼を追い抜かなければ俺のレギュラーはない。でも、俺は、そんな外山を追い抜く方法を探していた。見つからないしわからないけど、今のまま大学サッカーを終えたくない。それが本音だった。頭の中が旅行からサッカーでいっぱいになっていた。




