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8月3日 監督

 今日は、いよいよ監督に退部を伝える日となっていた。監督と話をする前に、全国大会三回戦で対戦した神奈川県代表の青堂学院戦をふりかえっていた。私たち、城西大学サッカー部は、三月に全国大会に出場したのだった。一回戦は、福島県代表の大蔵大学に三対一で勝利。

 二回戦は、佐賀県代表の雅乃大学に四対二で勝利した。一回戦、二回戦ともにゴールを決めていた私は、万全の状態で三回戦に、臨んだ。しかし、青堂学院大学は強く、3対0でなすすべなく負けてしまった。私は、ゴールはもちろん、まともにシュートすら打たせてもらえなかった。その青堂学院も、準決勝の風鈴大学に負けた。さらに、その風鈴大学も決勝で東京流通大学に負けたのだった。

 私が退部する理由は、負けたからでも実力が敵わないからという理由ではない。単純に、サッカーそのものが自分に合っていないのではないかと感じたからだ。城西大学サッカー部は、これまで全国大会に二度出場している。その二度目が三月の大会だった。チームの中心は、四年生の芹澤直人、大屋江。三年生の松林悠太。二年生の柴山春翔の四人だった。中でも、四年生の芹澤は、四月からJ2の福島オーシャンズに加入しているのだ。そんな城西大学サッカー部を指導するのは、興梠泰監督だ。

 興梠監督は、62歳。風鈴大学、名古屋名城大学で四度の全国制覇を達成しているのだ。監督の歴代勝利数も48勝で、阪井監督に次いで歴代二位の数字である。教え子には、スペインリーグで活躍する安斎尚、Jリーグで活躍している伊納祐馬、大友凱などがいる。

 私は、監督室をノックする。なかから中から、監督の声が聞こえてきた。


 監督「おっ、どうした?」

 私 「監督、実は今週で部活やめようと思っています」


 私は、いつもより大きな声で監督に話した。


 監督「なんでや?」

 私 「昨年の全国大会で自分の限界に気づきました」

 監督「お前が一番限界を感じたところはどこや?」

 私 「ドリブルです」 


 監督からの質問に迷うことなく答えた。


 監督「ドリブルかぁ。一二回戦は、限界感じなかったのか?」

 私 「そうですね。三回戦の、青堂学院戦で一番感じました。特に、トップの沖屋、サイドバックの峯島、センターバックの永井。この三人は、凄かったです」

 監督「確かに、あいつらは凄いな。」

 私 「私がしているサッカーレベルというものを認識できました」

 監督「お前は、どのレベルだったんだ?」


 この後も、監督の話は続く。私は、1時間ほど話すことになったのだ。

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