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8月23日 ベンチ

 今日は、朝から公園に来ていた。そして、ボールを蹴りながら、あの日のことを思い出した。


 ー8月21日ー


 俺は、2年の斉藤と一緒にボールを蹴り合っていた。ボールを蹴る時の感覚は、意外と鈍っていなかった。約5ヶ月ぶりくらいになる、なんだろうなこの気持ち。俺は、思い通りに蹴れるこのボールが段々愛おしくなってきた。

 一方、試合は、淡々と進んでいく。両チームともにゴールネットを揺らすことはできなかったが、見どころがある試合となっていた。普段、試合に出れない湊人や佐藤の奮起する姿は、チームにとってとてもいい影響を与えている気がしていた。普段から試合に出ている、大屋や春翔たちのモチベーションを上げるんじゃないかと思うほど、激しくせっていた。

 斉藤は、俺の方に何度も"ナイスです"と声をかけてくれていた。ダッシュをして、ボールを蹴って。あとは、ドリブルとスタミナだろうなと思っていた。斉藤に、ミニコーンを並べてもらって、俺はそこをドリブルしていく。怪我をする前と比べると、キレがない。タッチした感覚がよくない。それでも、つま先から神経を研ぎ澄ませてボールを蹴る。

 ドリブルを終えると、シュート練習を始めた。また、斉藤にミニゴールを用意してもらい、俺はボールをセットした。今、強いシュートを打つことができない。ならば、コーナーに走りこんで決めるのがいいのだろう。俺は、キーパーとの1対1を想定しながらシュートを放った。ボールは、見事ミニゴールのネットを揺らした。

 時刻を見ると、後半15分を回ろうとしていた。すると、湊人が右手を人差し指を挙げながら、外山たちと抱き合っていた。どうやら、ゴールを決めた様子だった。ゴールの歓声とともに、4年生も試合を見に来た。キャプテンの芹澤と久保だ。

 斉藤は、俺の近くにやってきて、ボールを渡してくれた。ボールと同時に、俺がこれまで使ってきたヘアバンドを持っていた。このヘアバンドは、3月の全国試合で使っていたやつだった。あの頃は、ゲン担ぎで1月からずっと髪を切っていなかった。俺は、斉藤からヘアバンドを受け取り、ベンチへ戻った。そして、湊人から借りたスパイクを履き、準備が整った。

 そして、後半20分になった時、選手の交代が告げられた。久しぶりにたつピッチ。やれるかどうか不安でいっぱいだった。俺は、真田に代わり、MFのポジションに入った。近くに同じチームだった春翔が声をかけてくれて試合が再開した。

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