8月19日 柴山春翔
サッカーをやめてからそろそろ20日が経とうとしていた。俺は、春翔から呼び出されて近くの公民館に来ていた。そして、公民館の部屋から見える公園を見つめながら話をした。
俺 「どう?」
春翔「お前が抜けてから調子悪りぃわ」
クーラーに当たりながら俺たちは、外を見つめていた。
俺 「そうか、、、、」
辞めた俺は、とても答えにくくっていた。
春翔「なんか、上手くボールも来ないし。なんか微妙なんだよな」
俺 「誰が今、出てんの?」
質問して、春翔の様子を見守ってみた。
春翔「大体メンバーは一緒だよ」
俺 「大屋、久保、坂口、鳥居が前と中盤だな。そこに、俺と芹澤さんがいる感じ?」
春翔「そうそう。でも、最近は、メンバーもコロコロ変わってるな」
メンバーがコロコロ変わるということは上手くフォーメンションが機能していないということだろう。
俺 「ふーん」
春翔「足はどうなの?」
俺 「うーん、、、、、」
俺は、右脚の太ももを触りながら答えた。
春翔「まだ、痛むか?」
俺 「走らなければ大丈夫だよ」
トントンと太ももを叩いた。
春翔「そうか。それは、よかった」
俺 「春翔、元気ないの?」
あれだけ一緒にいたのに、今ほど元気じゃないことは見たことがない。
春翔「ああ。迷走してるよ」
俺 「そっかぁ」
春翔「旭、、、」
俺 「ん?」
何か言いたそうだった。
春翔「もどってこねぇか?」
俺は、驚きで春翔の方を見れなかった。
俺 「えっ?俺も大学処理もしたんだよ」
春翔「らしいな」
俺 「あぁ。だから、もう無理だよ」
諦めるように話しかけた。
春翔「もし、まだ完全に手続きが終わってなかったらどうする?」
俺 「えっ?」
どういうことだ?
春翔「監督が止めてくれてるらしい」
俺 「ほんと?」
春翔の方を向いてしまった。
春翔「あぁ。俺も驚いたよ」
俺 「そう言われてもな」
春翔「そうなんだよな。俺もダメもとで来てみたんだよ」
春翔は、立ち上がり外を見つめていた。
俺 「‥‥‥‥‥」
まさか、監督が処理を待ってくれているなんて。
春翔「全く、サッカーする気持ちなかってねぇの?」
俺 「うーん、、、」
春翔「もし、少しでもあるなら、明後日3年で集まるから顔出せよ」
そう言って、春翔は、歩き出した。俺は、歩き出す春翔の姿を眺めることしかできなかった。