名探偵あなたとノーブラ少女
若干、推理ものっぽい感じにしましたが、くだらない内容には変わりないので、そういう要素は求めないよう、ご了承下さい。
ミステリーはミステリ、ミステリイとも表記されるみたいですが、ミステリーが最も一般的ですね。
女子高生のあなたが帰宅すると、見知らぬ少女が居間にいた。年齢は、十歳ぐらいだろうか。ベージュの絨毯の上に座っている。
「……誰?」
あなたは尋ねた。
「私は女の子です」
意味が分かるようで分からない返答が返って来た。
長い黒髪の少女は、薄青の半袖と白のミニスカートという服装で、体育座りをしている。膝を立てているため、スカートの内側が見えてしまっていた。ちなみに中は防御力の高そうな黒いブルマだった。スカートが白なので、余計に黒さが際立つ。
「なんでうちにいるの?」
「私のうちだからです」
そんなふうに答えられても、現時点であなたは、この謎の少女のことをまるで知らない。見たこともない。
「家を間違えて入って来ちゃったとかじゃない? 迷子なら、警察に一緒に行く?」
「迷子じゃないし。警察に行ったら、お姉さんが馬鹿を見るので、行かないであげます」
「……あなた、お名前は?」
「記憶喪失の子に聞いても、答えられないというのが、本音です」
「えっ、記憶喪失なの?」
「記憶喪失の子はそうだと説明しただけで、私は記憶喪失ではなく、うちの子です」
「わけが分からない……」
あなたは立ったまま、この少女の扱いに困っていた。
「お姉さんの知識を試すために、質問をします。いわゆるクイズです」
「クイズ?」
「はい」
急にクイズという展開になり、あなたは戸惑う。
「私の上はノーブラじゃないけど、下はノーブラ。下のノーブラって、どういう意味?」
あなたが思っていたよりも性的っぽいクイズだった。
ノーブラとはノー・ブラジャーの略で、ブラをつけていないことを意味する。ブラの代わりとなる肌着を着ている場合や、ブラをまだ必要としない女子に対しては、ノーブラとは言わない。
目の前の少女は胸部が全く目立たないので、つけていなくても問題はないのに、本人はノーブラでないと証言する。あなたはそこが気になった。
「上はノーブラじゃないってことは、そういうことなんだよね?」
濁して聞いたあなただったけれども、少女は頷いてから立ち上がり、半袖を捲り上げて証拠を見せた。
大人のブラジャーではなかったものの、女の子らしい白のジュニアブラだった。
ノーブラでないことははっきりした。その代わり、別の問題が生まれてしまう。本人が見せてきたとは言え、じっくりと少女の下着を見てしまったのだから。
「……警察に一緒に行く?」
恥ずかしそうに少女が言う。
「勝手にあなたが見せたんでしょーっ! 私に罪はない!」
そう主張して乗り切るしかなかった。
「さっき警察に行きたがってたじゃないですか、お姉さん」
「行きたがってたわけじゃないよ! むしろ余計な手間だから面倒っ!」
あなたの本音だった。
少女は半袖の裾をミニスカートの中に戻す。
「さて、ここからが本番です。お姉さんには、分かる? 下のノーブラのこと」
あなたは考える。下のノーブラは、ノー・ブラジャーではない。しかし、ここまでの性的な流れから、性的な答えが思い浮かんでしまう。
「……下に、……ブラブラするもの? が、ついていない女の子、というのが答えかな?」
推理を自分で言っておいて、真っ赤になったあなた。
「ぶー、はずれです。よって、お姉さんのブラジャーをちょうだいして、ノーブラになってもらいます」
情けないことに、あなたは少女に押し倒されてしまった。あなたはさほど胸部が大きくないけれど、ノーブラではない。
「ちょっと! そーいうことしないでっ!」
制服を今にも脱がそうとしている少女にあなたが言うと、少女は手を止めた。
「はい。お姉さんがノーブラになったらかわいそうだから、やめてあげましょう」
少女にすら力比べで負けかけていた事実が、あなたに重くのしかかる。
「お姉さんにはもう一度、チャンスをあげます。下のノーブラってなあに?」
あなたの上から退いた少女は立ち上がり、今度は逆にあなたがその場に座り込んだ。少女の黒いブルマが見える。
「ブルマーを穿いているから、恥ずかしくないもん」
自分でブルマを見せる女子がよく言うセリフ。
なぜかこの子は、古風にブルマーと言う。
そもそも、喋りかたが年齢よりも落ち着いた印象がある。
そこに、ヒントがあるのだろうか?
「……いや、ない」
あなたは小さく呟いた。
ブルマーと伸ばすのも、喋りが落ち着いているのも、こちらの判断を誤らせるだけ。つまりは、ミスリード。今回のクイズの本筋とはまるで関係ない。そうあなたは推測する。
少女はミニスカートを大胆にたくし上げて、黒いブルマを晒した。
ブルマは、とにかく壮大だった。穿いている部分の肌を完全に隠しており、黒い生地と白い太ももとの対比が激しい。
ここであなたは、ある点に気づく。閃いたと言っていい。
「ちょっといい?」
あなたは行動に出る。
少女のスカートの内側に入った半袖の裾部分をめくり、ブルマでよく見かける『あるもの』を探した。それが、ついていない。
名探偵あなたは、結論にたどり着いた。
「分かった! このブルマ、メーカーのタグがついてない。ノーブランド品、ということで、ノーブラ!」
あなたはノーブラと叫んだ。人が大勢いる場所だったら、つけてないほうのノーブラと混同され、おかしな人に思われるかもしれない。しかしながら、そのノーブラは和製英語であり、外国語しか分からない人に誤解されることはない。
ノーブランド品とは、製造者のブランドを提示せず、最低限の情報を記しただけの商品のことを指す。手間を省いて低価格にし易いのが特徴で、ブランド品に比べて低品質に思われてしまうのが難点でもある。
「正解です。ぱちぱち。……まさか、お姉さんからめくってくるとは思いませんでしたが」
「あっ、これは違うのっ!」
すぐにあなたは手を引っ込めた。
「私はお姉さんを許します。それが平穏への第一歩だからです」
少女はスカートを戻した。そして、あなたを見つめる。
「では、お姉さん。正解したご褒美として、私はお姉さんの妹になってあげます」
「……えっ?」
あなたに変なノーブラ少女が出来た。
(終わり)
黒ブルマがメインのお話でした。
少女に関しては、本編では語りませんでしたが、一応、主人公の両親が引き取ることになった……程度の設定を用意していました。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
もし良かったら、作者の別作品、『サキュリバーズ!』や『ホラチョコ! ~チョコミント好きな女子高生の恐怖体験談~』などもよろしくお願いします。