カワズの会(Pt.1)
車を走らせ暫く、一行は校舎ほどの広さで3階建ての建物の近くまで来ていた。
「それじゃあここら辺で」
黒金たち二人が車を降りようとしたところ、黒金の肩はとんと叩かれた。
「コレ、持ってって」
火曜は携帯端末を手渡す。
「このスマホは?」
「色々弄ってある奴、ここからオシゴトするのに必要だから」
「なるほどね」
「じゃあまた4時に迎えにくるから」
「了解」
黒金はショルダーバッグに端末を入れると、施設へ、しばらくして車も少し離れの駐車場へと向かって行った。
施設までの少し間のこと。
「で、彼女はどうなの?」
「どうって?」
「一緒に仕事してて、ってことだよ」
元々黒金が一人でこの仕事を始めた事を知っていた朱雀は彼が誰かと組んで仕事をしているのが意外であった様子。
「率直に言って頼りになる。技術と発想に関しては敵う気がしない。実際のトコ、利益もかなり上がったし文句無しだな」
「おお、普通に褒めるんだね」
「高給取りなとこ除いたらだが」
「ははは」
そんな話をしている内に彼らは施設へと辿り着き、中へと入っていった。
一方、カーテンの閉められた車内にはモニター複数台を設営したのち、自前のコンピューターの電源を入れる火曜の姿があった。
「照れくさい事言ってくれるじゃん。一言多いけど」
これで準備は完了。仕事が始まる。