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警備所に自分を引き取りに来たルシファーを一目見てライアはすぐにわかった。

この男は家にあったあの服の持ち主だと。




ルシファーは警備所でも、馬車の中でも一言も口をきこうとせず、目も合わせようとしないライアを、さすがリンカの弟だ、感じが悪いと思う。


こんな反抗的な態度をとられたのでは事情を聞き出すのは無理だな。

父に任せるしか無い。

まあ、自分に今できることといえば…




二人が屋敷に戻ったのは日没直後。

ライアは下水道を寝ぐらにする浮浪児のグループに入っていたので汚れた服を着ていて、臭いもひどかった。

ルシファーは雑務係のひとりにリンカの家に着替えの服をとりに行かせて、もう一人の雑務係に彼を風呂に入れるよう命じた。


風呂に入り身支度を終えたライアを見て、やはりこいつはリンカの弟だなとルシファーは思う。


ライアは賢さが顔に滲み出ている美少年だった。




ライア発見の報はリンカにまだ伝えられていない。

もしリンカの弟が発見されたら家出をした彼の言い分を聞いてからリンカに合わせようとルシファーと父親は申し合わせていたので。

だか、すでにリンカは宿直室で何となくいつもと違う屋敷の空気を感じ取っていた。


気持ちが落ち着かない彼女が部屋をウロウロと歩き回ってる頃、弟は仮の宿直室となっている屋敷の客間にいた。

そこでエマが運んできたオートミールを食べていた。


彼には一応ルシファーが付き添っている。無言で。

ルシファーには自分に反抗的な彼の機嫌をとる気など全くなかったので。




それにしても…

ずいぶん落ち着いたモノの食べ方だ。

空腹だろうに…


私はこの屋敷に来たばかりの時に父に食事についての指導を受けた。

たとえ一人で食事をとるときも、城の晩餐会に出るときと同じように背筋を伸ばしてテーブルに向かえと。

食べるスピードについても注意された。


うちの孤児院も食事の時の行儀に関しては厳しかったが、常に空腹だったためどうしても早食いになりがちだった。

自分はその癖がなかな抜けなかったのだが…


ルシファーはリンカの弟の観察を続ける。


…これはちゃんとした躾を受けた子供だ。

いや.幼く見えるがもう子供ではないか。私と二つしか違わない。

リンカが躾けたのか?

それとも血筋のせいなのだろうか。

彼らの両親が良家の出身だというのは嘘ではないのだろう。

リンカも彼もどことなく上品だ。


ルシファーは彼を眺めながらそんなことを考える。

そして彼が食べ終わるのを見届けてから部屋を出た。

後の付き添いをエマに任せて。




夜、城から帰って来た父親にルシファーはリンカの弟のことを報告した。


「リンカにはまだ知らせてないのだな?」と父親は確認する。


「はい」


「先ずは彼の話を聞こう。

彼の家出にもそれなりの理由はあるのだろうから」


「ずいぶん反抗的な少年です。

私に敵対心を見せています。

多分ひどく知らせの一族を嫌っているのでしょう」


「…そうか」


こんな会話の後に仮の宿直室に当主とルシファーが連れ立って向かうとベッドに腰掛けていたリンカの弟は慌てて立ち上がり、深々とお辞儀をした。


それを見た当主は先程ルシファーに聞いた話とは随分印象が違うとな思った。

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