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異世界電車の旅  作者: TOKU MATSU
異世界初日
7/99

異世界の商店街

ミナに手を引っ張られてホームへ降りた。


駅にはホームが二つあって、そのうち駅舎のあるホームには片側にだけ線路があった。

もう一方は線路がホームを挟むように配置されていた。

これを島式ホームと言う・・・鉄オタ以外にはどうでもいい話だけど。

向こうの方には留置線が数本引かれていて、貨物列車が止まっていた。

貨物列車は昔のニ軸・・・車輪が二つしか付いてない貨車で黒いのが数量、それに白い貨車、タンク車、丸太の積んである貨車、そして黒い車掌車が繋がっていた。

これだけでも鉄オタとしては素晴らしい。


駅舎は木造作りのようだけどちょっと洋風。どこかで見たような・・・。

そうだ。有名温泉地に行く某大手私鉄の遊園地最寄り駅だ。

駅舎は歴史的文化財に相当すると言う話だった。

でもあの駅はあまり情緒はなかったように思う。


改札口は鉄パイプで組んだ囲いで、猫人のおじさんが詰襟の制服を着て立っていた。

「切符を拝見します。」

そう言われて、硬券の切符を見せる。

「いってらっしゃいませ。戻られる時も拝見しますので無くさないように注意してください。」

いってらっしゃい?

それよりも、人・・・猫人だけど・・・のいる改札って新鮮な気がした。地方に行けばたまにあるけど、都会では自動改札しか見た事がない。

人のいる改札。これも味があっていい。なんか嬉しい。


駅舎の中は某遊園地最寄り駅とは違ってお洒落な感じだった。

切符売り場は機械ではなくカウンターになっていて、空港のチェックインカウンターみたいな感じだ。

その横には手荷物カウンターもあった。本当に空港みたいだ。

ただ空港みたいにモニターが光っているわけでも無く、綺麗なお姉さんもいない。

カウンターにいたのは、厳つい顔のオークの・・・おばさん。

えっと・・・頭に付けてるそのピンク色のリボンはどうかと・・・って思ったらギロッと睨まれた。

ひーすみません!


待合室にはベンチの代わりにソファが置いてあり、テーブルも置いてある。

まるで喫茶店のようだ。と言うか、喫茶店そのものだった。

メイド服の給仕さんがいるが・・・見ない方がいい気がする。

見てはいけない・・・。

見たら後悔する・・・。

ここはアキバではない・・・。

絶対違う物を見る・・・。

けどそう思ったら見たくなる。

見たらダメ!

けど・・・思い違いかも・・・綺麗なニーソお姉さんかも・・・。

ちらっと見る。


!!!!!


何あれ!?

カッパ?

カッパがメイド服!?

頭にお皿があるんですけど!

化学実験が良く分からない結果になってる!


唖然としていると、ミナから話しかけられた。

「大丈夫?まだこの世界に慣れない?」

心配そうにこちらを見ている。

上目遣い・・・

かわいい。

ジィーーーーー・・・・口直し・・・ミナを見続けてしまった。

「本当に大丈夫?」

ミナが微笑んで言った。

我に返る。

「う、うん。大丈夫。まだいろいろと慣れ無くて・・・。」

「外に出ましょう。」

ミナにそう言われて駅の表に出た。


駅前は小さなロータリーになっていた。

でも車とかバスは無く、人や獣人、亜人の類いが駅から出たり入ったりしている。

ロータリーの向こう側は商店街になっていて、いろんな店があるようだった。

食材らしき物を売っている店、服を並べている店。本屋もあれば魔道具らしい物を売っている店がある。

お店を眺めながらブラブラとミナと並んで歩いていた。

デートみたいだ。

ちょっと照れる。だけど、どんな会話を交わせばいいのだろう?

上手く話題を切り出せ無くて、沈黙してしまった。


商店街には飲食店もあった。

驚いた事にラーメン屋があった。

異世界のラーメン屋・・・どんな味なんだろう?

ラノベで日本人が異世界でラーメンを作った話しがあったが果てして?

「グ〜ゥ〜ッ」

ヤバイ。腹が鳴った。そう言えば朝から何も食っていない。

朝は気分が滅入っていて食欲が無かったし、突然異世界に転移して食事どころでは無かった。

今は何時なのだろうか?

「お腹空いた?」

やはりさっきの音、聞こえてた。

恥ずかしくてちょっと苦笑いした。

ラーメンは食べたいけど女の子と一緒の食事でラーメン屋ってどうなんだ?

「うん。朝から何も食べてないしな〜。」

ラーメン屋から美味しそうな匂いがしてくる。

ゴクリ。

「ラーメン食べようか」

ヤバイ。言っちゃった。

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