一日の最後
お弁当を食べ終えて、お茶をすすった。
やっと落ち着いた気分になる。
冷静になると、今起きている事が現実だと言うことに今一つ、頭が追いつかない。
これが夢でない事は事実だ。
こんなに長く、はっきりした夢はありえない。
今朝、くらい気分でベットから起きた。
起きたというより、兄に引っ張りだされた。
母が心配そうに朝ごはんを用意してくれたが、全く手につけられない。
それを見た兄は無理やり食わそうとしたが、母が止めた。
重い足取りで東京駅の集合場所に行った。
会いたくない人が大勢いる。
これから起きる事を思うと絶望した・・・。
それがどうして異世界に転移したのだろう?
一日経ったけど物凄く濃い一日だった。
ミナがウトウトし始めていた。
やはり疲れたのか・・・。
コテン。
ミナは椅子の上に横になった。
そして足を座席の上にのせ抱えて・・・。
ん!?
んんんんんん!?
や、や、や、やばい!
ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、絶対領域が広がって、見えない場所まで見えそうだ。
し、し、し、白くて眩しい領域とその根元の微妙なものが!
み、み、み、見てはいけない!
いや、見えてしまった。
けど見てません。
はい見ていませんとも。
本来なら隠てる黒いものが見えたけど、断じて見てません!
いや脳内ストレージに保存されてしまったかもしれないけど・・・。
パニックった僕は慌てて荷物から毛布を出して、ミナに掛けた。
心臓に悪い。
車掌さんが気をきかせて毛布を持って来てくれた。
靴を脱いで足を座席にあげた。
横になるだけの場所はないので、窓を背もたれにして毛布を被った。
ふぅーッとため息をつく。
本当にいろいろありすぎ。
ミナを見るとスースーと寝息をたてていた。
寝顔もかわいい。
寝顔を覗き見した事がバレたら殺されるかも・・・。
いやそれよりさっきの黒・・・。
いやお互い様だろ。向こうだってこっちのトランクスを・・・。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン。
もういいや。
僕は目を瞑った。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン。
電車は夜が更けても走り続けた。