真面目な眼鏡っ子は自分の恋に気づかない?!
この作品は香月よう子様の活報のお題「眼鏡」に私が書いたものを加筆修正して投稿しました。
香月よう子様、柿原凛様も『眼鏡娘とコンタクト』をテーマにして同日同時刻で投稿しています。
もしよろしければ、お二人の作品もお読みくださいね。
※2019.4.4に『眼鏡娘とコンタクト企画』となりまして、他にも作品が投稿されています。
『眼鏡娘とコンタクト』で検索していただけると、他の方の作品を読むことが出来ますよ~。
私こと戸田小浪は、教室に入る前に立ち止まって、深呼吸をした。昇降口からここまで、幸いにも、誰にも会わないで来れた。もう一度深呼吸をしてから よし! と気合をいれて、教室へと踏み出した。
「お、おはよう」
「おはよう。…‥って、えっ?」
「あっ? えっと?」
入口近くにいるクラスメートに挨拶をして、俯きがちにそそくさと自分の席へと向かった。後ろから戸惑った声が追いかけてくる。
「「「ええっ~!!!」」」
私が席に着いたら、驚きの声が聞こえてきたけど、何か驚くことでも起きたのかな?
俯いていた顔をあげて声がした方を見てみたけど、特に変わったことは起こっていないみたいだ。
私はいつものように鞄の中から本を取り出すと、しおりを挟んでおいたページを開いた。
だけど、周りが気になって、本に集中できない。
騒めきの中から「うっそ~」とか「信じらんない」とかという言葉が、切れ切れに聞こえてくる。
その言葉を拾ってしまう自分の耳を恨めしく思う。
ああ、やはり似合っていないんだ。
聞こえてくる声はすべて私に向けられているみたいに思ってしまう。少しイメチェンをしようと前髪を切ったのが、駄目だったようだ。だってみんながチラチラと私のほうを見てくるのだもの。
落ち込み気味に本へと視線を落として、何とかページを捲ったけど、内容なんて頭に入ってくるわけがなかった。
その時、また騒めきが起こった。何だろうと顔をあげると、同時に隣から声を掛けられた。
「おはよう、戸田さん」
「お、おはよう、相田君。えっ?」
隣の席の相田君が鞄を机に置いた状態で、私のことを凝視していた。というか、私も相田君の顔をじっと見つめてしまった。
「「眼鏡は(が)」」
言葉が重なった。一瞬呆けてから、問いかけられたと気がついた。
「えーと、昨日の夜に不幸な事故で、眼鏡をかけることが出来なくなってしまったの。だから好きじゃないんだけど、コンタクトにしてきたんだ」
「不幸な事故? 何それ。ほんと、戸田さんは面白いな~」
「面白がらないでくれないかな。こっちは切実なのよ」
そう言ったら、涙がポロリと落ちた。コンタクトは本当に合わなくて嫌になる。
「あー、体質的にきついんだったか。でも戸田さんなら予備の眼鏡くらい用意していそうなのに」
「それもクラッシュしちゃったのよ。ところで、相田くんこそ、なんで眼鏡をかけているの? いつもはコンタクトなんでしょう」
「ああ。こっちも不幸な事故で、全部ぱあになっちゃったんだ。仕方がないから放課後まで眼鏡をかけることにしたんだよ。でさ、そんなに辛いならコンタクトをつけるのをやめたらどうなんだい」
ぽろぽろと涙を零す私に、相田君が言ってきた。学校までは何とかなったけど、涙がポロリと零れたら止まらなくなってしまったのよ。
「でも、外したら見えないんだけど」
「つけてたって、涙で見えなきゃ同じだろ」
そこにそばに来た誰かが会話に加わってきた。
「あら~? 小浪、どうしたのよ。相田、まさか小浪を泣かしたんじゃないでしょうね」
「人聞きが悪いことをいうなよ」
声から小竹宏美ちゃんだとわかったから、涙を零しながら宏美ちゃんのほうを向いた。
「そうよ、宏美ちゃん。眼鏡が使えなくなってコンタクトにしてきたら、やっぱり合わなくて痛いのよ」
「それは大変だわ。保健室に行く?」
「ううん。外せば大丈夫だと思う」
宏美ちゃんに連れられて、トイレに行った。コンタクトを外してケースにしまう。ついでに顔を洗ったら、宏美ちゃんがタオルを渡してくれた。
「まだ使ってないから、気にせずにどうぞ」
バレー部の宏美ちゃんは部活で使うために、タオルをいつも持っている。それを持ってきてくれたようだった。
「ありがとう」
「いいえ~、どういたしまして。でも、本当に目が弱いのね。それってソフト中のソフトって言っていたよね」
ケースを見ながら宏美ちゃんが聞いてきた。
「そうなんだけどね。それでも、痛痒くなっちゃうのよ」
苦笑を浮かべて宏美ちゃんに答えた。これだけ近くにいても宏美ちゃんの顔はぼやけてしまう。でも、涙は止まってくれたから、いいとするしかないよね。
「あー、それにしても、私しか知らなかった小浪の可愛さが、バレてしまったわー」
「またまた~。私みたいな地味な女子に何言っているのよ」
「もう、本当に小浪は分かってくれないんだから! まあいいわ。誰が来ても小浪の隣は譲らないんだからね!」
何やら意気込んでいる宏美ちゃんと、教室へと戻った。自分の席に戻ったら、一番前の席の黒田君と話していた相田君に呼ばれた。
「戸田さ~ん、黒田が変わってくれるってさ」
「えっ、でも、悪いよ」
「いいって、気にしないで席を変わろうよ、戸田さん」
そばまで近づいたら、黒田君の声が裏返っていた。なんか黒田君は変に緊張をしている気がする。私は黒田君の顔を見つめながら言った。
「本当にいいの?」
「も、もちろん」
コクコクと頭が動くから頷いてくれているのだろう。自分の席に戻りカバンを持ってきて黒田君の席に座った。
「お前ら~、席に着けよ。あっ? えっ? 戸田?」
教室に入ってきた山梨先生が驚いたような声をあげた。席替えでもないのに席が入れ替わっていれば、先生が驚くのは当たり前よね。
「すみません、先生。眼鏡を壊してしまって自分の席だと見えないんです」
「あっ? ああっ。そうか、眼鏡がないと不便だな。……わかった」
なんか先生の声に動揺を感じられて、軽く首を傾けて先生のことを見た。
「……!」
先生が何か言った気がして、先生のことを見つめた。先生の手があがって顔の下、多分口元にあてていた。ぼやけて見えるから、先生の表情まではわからないけど。
「お、お前ら、戸田を助けてやれよ」
「「「はい!」」」
動揺した声の先生の言葉に、なぜか、とても元気な揃った声で、みんなは返事をしていた。みんなに助けてもらわないとならないほどではないんだけどと、私は思ったの。
けど、一時間目の授業が終わって、自分の認識が甘いことがよく分かった。一番前の席でも、黒板に書かれた文字が見えなかったからなの。
「戸田さん、どう?」
1時間目が終わると相田君がすぐに来てくれた。私は思わず縋るように相田君のことを見上げてしまった。
「せっかく席を変わってもらったのに、見えないの。どうしよう、相田君」
相田君はまだ片付けていない私のノートを覗き込んだ。
「ほんとだ。半分写せたかどうかだね」
「と、戸田さん。今の授業のノート、よかったら、見る?」
そう声を掛けてきたのは、三矢君。いつもクラス内で私と一位二位三位を争っている人。私のことをライバル視していた人なんだけど……。これは情けない状態の私に、塩を送ってやろうということかしら?
「ありがとう。でも、借りちゃうと三矢君が困らない?」
「だ、大丈夫だよ」
う~ん、どうしようと考えていると、三矢君のノートを横から取り上げた人がいた。そしてパラパラとページを捲って見た後、彼に言った。
「三矢さ、人にノートを貸すんだったら、もっと見られた字で書きなよ。これじゃあ読めないでしょう。ただでさえ小浪は見えないんだよ」
坂本恵美ちゃんはそう言うと、パンパンと手を打ち鳴らした。
「みんな、聞いて! 小浪は黒板の書き写しも、できないみたいなの。そこで、今日の授業のノートをまとめて、そのコピーを小浪に渡したいと思うのよ。今日の科目ごとに担当する人を決めたいと思うけどいい? 勿論一人じゃないよ。班に分けるから、ちゃんとやってよ」
「恵美ちゃん、そこまでしてくれなくていいから」
慌てて恵美ちゃんを止めようと声を掛けた。それが無駄だというように宏美ちゃんが言ったの。
「小浪、みんなはいつも小浪に助けられているんだよ。こんなことじゃお返しにならないけど、みんなもやる気があるみたいだから、任せてあげてよ」
「私、そんなに大したことはしてないよ」
「しているんだってば。本当に小浪は無自覚すぎるんだから」
宏美ちゃんと話している間に、誰がどの教科を担当するか決まったようだ。早速一時間目の古文のノートを広げて話し出した人たちがいた。
……というか、多分なんだけど。私からはノートを広げていることと、話している感じしかわからないから。
うちのクラスは仲がいい。それに団結力もある。それを私のために発揮されることに、疑問を感じたけど、みんなが楽しそうだからいいのかな?
そろそろ二時間目が始まるからと、私は後ろを向くのをやめて前を向いた。そして何の気なしに右横を見たら。
「なんでいるの、相田君?」
「この席でも、黒板は見えないんだろ。他の奴よりは俺のほうがいいんじゃないの」
しれっとそんなことを言われてしまった。確かに相田君は三矢君を含めた私と三人で、一位二位三位を争っているし、いろいろ聞きやすいけど……。
そこまで世話をかけるのは悪い気がしたの。そう言おうと思ったのに、二時間目の日本史の先生が入ってきてしまった。言えないまま授業を並んで受けたのでした。
二時間目が終わり、次は移動教室だ。科学の教科書を持って席を立つ。歩き出そうとして、目測を誤ってしまい隣の机に足がひっかかった。あっと、思った時には相田君に抱きついていた。
「ご、ごめん」
「大丈夫かい? 戸田さんって、そんなにドジだっけ?」
「う~、ぼやけるせいで目測を誤ったみたい」
「そっかー、それじゃあ、はい」
そう言って、相田君が左手を出して来た。
「えーと、これは?」
「危なっかしいから、手を繋いで行こう」
「そ、そこまで世話はかけられないから」
そう言って後退ったら、今度は後ろの机にぶつかりそれに驚いて、バランスを崩した。
「きゃっ」
「あっぶな~」
ひっくり返る前に、手を伸ばした相田君に腕を掴まれた。そのままぐいっと、引っ張られて抱きとめられた。思っていたよりも力が強いことに驚いて、私は固まってしまった。
「ほら、言ってるそばから。ねっ。安全のためにも手を繋ごうか」
相田君は私をちゃんと立たせると、再度手を差し出して来た。その手を取れなくて動かなかったら、左腕を誰かにつかまれた。
「それなら、俺が連れていってやるよ」
「おい!」
「えっ? やだ」
古館君がそのまま私を引っ張って歩き出そうとするのを、相田君が止めてくれようとしたようだ。でも、その前に腕を振り払って、相田君の後ろに私は隠れた。
「……なんだよ。そういうことかよ」
小声で古館君が呟いている。
「どうやらそうみたいだね。悪いけど諦めてくれよな」
相田君が嬉しそうな声で返していた。私は相田君の後ろから、古館君を見た。ぼやけているから表情はよくわからないけど、どうやら不機嫌にさせてしまったみたいだ。好意で連れていってくれようとしただけなのに、過剰反応をしてしまったと私は反省をしながら、古館君に声を掛けた。
「えーと、古館君、連れていってくれようとしてくれてありがとう。急に腕をつかまれたから驚いただけなの。大丈夫よ、一人でも行けるから」
そう言って私は二人から離れて、教室を出ようとした。が、廊下に出たところで、歩いていた人にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさ~い」
ぺこぺこと頭を下げて謝っていると、左手を取られて誰かの腕につかまさせられた。
「ほらー、言わんこっちゃない。眼鏡が出来るまで、俺のそばにいること! いいね!」
と、少し強引に相田君に引っ張られて歩き出した。その相田君の隣に古館君が並んで小声で話すのが聞こえてきた。
「なあー、もしかして戸田って、無自覚天然少女か?」
「どうやらそうみたいだ……」
その答えに古館君は相田君の肩を叩いた。
「お前も苦労してたんだな」
「そうだよ」
憮然とした相田君の声。
「そんなら、囲って美少女だってのを、隠してたことを許してやる」
その言葉に相田君は古館君に何かをしたみたいだ。古館君が相田君から距離を取ったのが見えたから。
だけど聞き捨てならない言葉が聞こえたから、私は古館君に話しかけた。
「あの~、古館君。訂正をいい?」
「おう、なんだ」
「美少女って、もしかして私のこと? 私は美少女じゃないよ」
「へっ?」
「美少女っていうのは、恵美ちゃんや三組の花井優羽ちゃんみたいな人のことを言うんだよ。私みたいな黒縁眼鏡をかけた地味系女子は当てはまらないからね」
そう言ったのが、移動先の化学室に着いたところ。教室内にいたみんなの顔が私達のほうを向いていた。さすがにぼやけた視界でも、顔の前後はわかるもの。
「はあ~」
誰かのため息が聞こえてきた。
「まあ、なんだ。他のやつに希望がないのは解ったから、がんばれよ、相田」
「もちろんだよ。だから、みんなもそこんところ、よ・ろ・し・く!」
相田君が晴れやかな声で言っているけど、もう少し意味が解るように会話をしてくれないかな。相田君のことを伺うように見たら、私の視線に気がついたのか、にっこりと笑ってくれた。
ぼやけた視界でもわかる笑顔って……。距離が近すぎない? これって。
このあと、宏美ちゃんと恵美ちゃんが、相田君となぜか火花を散らすような会話をしたり、他のクラスメイトも凄く気を使ってくれて、でも、主なお世話係は相田君ということに決まったりという、一日を過ごしたのよ。
放課後はコンタクトを取りに行く相田君に連れられて、眼鏡を作りに行った。
眼鏡が出来上がるまでの三日間も相田君のお世話になったんだけど、何かお礼をした方がいいのかな?
いや、やはりお礼をするのなら、みんなによね!
本文に書けなかった、設定のあれこれ!
戸田小浪 主人公 高校二年
今までは黒縁眼鏡を愛用していて、前髪の長さが目を隠すくらいあった。
学年が変わって三カ月。イメチェンをしようと思い、思い切って前髪を眉毛が見えるくらいに切った。
そうしたらその夜に眼鏡を兄と弟の兄弟喧嘩で壊されてしまった。
自分が美少女だと気がついていないのは、視力の悪さのせい。
眼鏡を取るとぼんやりとしか見えないので、鏡に映った姿もぼやけていたのだった。
相田聡 一応ヒーローポジ
小浪のことを知ったのは合格発表を見に行って。この時は彼も眼鏡をかけていた。
風が強く吹いて目にゴミが入った小浪が眼鏡を外したところを見て、一目惚れ。
一年の時から同じクラスだけど、小浪に合わせてゆっくり距離を縮めていた。
クラス中に彼の気持ちはバレていた。というか、地味子を好きなんてと思われていた。
それが実は美少女だったと知り、コノヤローとなりかけたけど、無自覚な小浪の行動に毒気を抜かれたクラスメイト。
今は鈍感といえる小浪に気がついてもらえるようにと見守られている。
小竹宏美 & 坂本恵美
小浪の友達。クラスメイトの中では、小浪と一番仲がいい。
相田が小浪に近づくのを、よく思っていない。
けど、気がついたらクラス中が相田を応援ムードになっていた。
古館
可愛い系美少女が大好き。小浪が眼鏡を取って目も見える髪型にしたら、好みドストライクだった。
でも、速攻で脈無しだと、気がついた。
恋心までいっていなかったこともあり、相田を応援する団長と化した……
山梨先生
二年一組の担任。特進クラスの担任で、神経をすり減らす日々。
小浪の可愛さに天使が舞い降りたと思った。
つまり好みドストライクだった。
けど、察知した相田に牽制され、古館達にも釘を刺された。
所詮生徒と教師じゃ恋愛にもならんと、諦めた。
2019.4.5書き忘れを追加
三矢
小浪と相田と三人でクラスの首位を争っている。……と見せかけて、科学と数学でのみトップを保つ。
親が医者な為、本人も医者を目指している。
なので、実際はクラス内では三位をキープ
小浪のことは最初「こんな芋娘に負けるなんて」と、思っていたけど、小浪から数学と科学の一位を称賛された時に、鼻筋が整っていて口元が小さいながらもピンク色で可愛い感じだと気がつく。
相田ががっちりガードしているから、少し距離を置いていた。
『眼鏡じゃない日』事件で、黒板が見えないと知ってノートを貸すことでアピールしようとしたけど、恵美に邪魔されただけでなく、小浪の態度から相田を応援ムードにクラス中がなり、結局言い出せない雰囲気になってしまった。
特進クラスは三年間クラス替えがないから、二人を見てはため息を吐く日々が、これからも続くだろう。
黒田&他のクラスメイト
特進クラスは三年間クラス替えがない。なので今の状態は一年からの持ち上がりで、気心が知れたクラスメイトと仲良く過ごしている。
一年の時はおとなしくお人好しな小浪に、掃除当番を押し付けるようなチョイ悪もいた。
けど、分からないところを訊くと、丁寧に教えてくれる小浪に、自分がしていたことを反省。(もちろん相田と宏美、恵美が目を光らせたのもある。けど、莫迦はこのクラスにはいなかった…‥ということだ)
何かお返しをしたいと思って過ごす日々だった。
だけど、黒縁眼鏡と前髪で、顔を隠す小浪のことは、はっきり言ってやぼったい今時じゃない子だと思っていた。
それが実は美少女なのを隠すためにしていたことだと、『眼鏡じゃない日』事件で発覚!
他のクラスや先輩後輩に目をつけられたことに気がつき、相田を応援する&ガードマンとして配置!
相田がそばに居られない時は、他のクラスメイトがそれとなくガードすることを決めた。
もちろん、そんなことには、小浪は気がついていなかった。
小浪の兄弟(作中には出てこないけど……)
戸田家は顔が整った家系。母も可憐な容姿をしていて若々しく、高校生の息子や娘がいるとは思えないくらい。
兄妹仲はすごくいい。というか、母に似て可憐な美少女の小浪を、溺愛している(ただし小浪は気がついていない)
というよりも、小浪が無自覚なのはこの兄弟のせい。
常日頃から美形(ワイルド系イケメンと爽やか系イケメン)の兄弟を見ていれば、自分はそれほどではないと思い込んだのだ。
それに自分たちの目が届かない学校で守る(残念ながら違う学校に通っているため)方法として、小浪が視力が悪くなり眼鏡をかけることになった時についてきて、少し縁が厚めの黒縁眼鏡を選ばせた。
ついでに他の人に見られなくするために、前髪を伸ばすように誘導した。
眼鏡を壊してしまった兄弟喧嘩は、小浪が前髪を切ったことによる。
それも弟が「もう少しクラスのみんなと仲良くなりたいけど、地味で暗い私と話すのも嫌よね」と相談されて「それなら少し前髪を切ってみんなと目を合わせて話すようにしたらどうかな」と、答えたことにより、素直に小浪が前髪を切ってしまったから。
ある意味自業自得だけど、この喧嘩のせいで眼鏡まで壊してしまい、二人は動揺をした。
危惧した通りに、次の日には相田に送られて帰ってきた小浪の、恋する少女の(少し頬をそめて相田のことを話す)姿に、ガクリと頽れた。ざまあである。