表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神を手に入れる僕の話  作者: 天川ひつじ
みんなでお出かけ
91/95

91.海の日

皆でピクニックする日がやってきた。

蒼と茜もやってくるけど、住んでいる地域が違うから、ガーホイの家で合流予定。

僕とユリは、畑や仕事をAIにお任せにして車で出かけた。研究所でリクさんとソルトとソウも乗せるし、僕の畑で取れた野菜とウズラの卵もあるので、大きめの車だ。


研究所、入り口で、すっかり準備を整えたリクさん、リクさんに抱っこされているソウ、ソルトが待っていた。

見るからにソルトがワクワクしている。


「おはようございます、ユリちゃん!」

「おはよう。車、ありがとう」

ソルトとリクさんとソウが乗ってきて、出発だ。


***


道中、ソルトの興奮はすごかった。

外出も、車に乗る、というのも初めてだったのだ。


見える景色について全てリクさんに確認し、窓に張り付くようになるので、途中でユリが気を利かせて助手席をソルトに譲った。景色がよく見えるから。


そっか、泣くほどの事だったんだな、と今更ソルトの気持ちを思いながら運転した。


ガーホイの家が完成したのは最近だけど、宿に泊まる事もできたのだから、もっと早く計画したらよかったな。


***


「よぅ、サク坊! みんな、来てくれてありがとよ!」

ガーホイが出迎えてブンブン大きく手を振ってくれている。


「大勢でお世話になります」

「おぅ。だけど言ったけどよ、俺、出迎えとかよく分からねぇから、色々教えてくれ。こんな大勢、初めてだしよ」

「はい。だけど、泊めてもらえるだけで他は特に大丈夫ですよ。あ、そうだ、野菜も持ってきました」

「おぅ」

「蒼くんと茜ちゃんは来てますか?」

「いや、まだだ」


茜には、僕の姿をカミングアウトしなくては。

茜は僕の大人の姿しか見たことが無い。

事前に、ユリが連絡をしてくれたそうだけど、ちゃんと僕からも伝えないと。


「グァーホーイー!」

ソウがガーホイを見て喜びの声を上げた。


余談だが、呼び名は一応『まんま』から修正済み。

ガーホイは気づいていないままだったけど、タイミングを見ていたというリクさんが、『あの人は「ガーホイ」だよ、「まんま」はお魚とか料理のことだ』と教え直した。

なお、ソウはしばらく『ぁーホぉーぃ』という発音で、リクさんが『早かったか・・・』と難しい顔をしていたので、どうやら『まんま』呼びには嫌がらせ以外の気遣いも含まれていたのかも。・・・どうだろう。


「おぅ、ソウ! 遠いとこ来たなぁ!」

「きゃーあああい!」

未だにソウはガーホイと超仲良しだ。高い高いをしてもらって歓声を上げている。


ソルトは、と見れば、ユリとリクさんの間に挟まれて、見えるものすべてに感動しているように見える。

普段の冷静さなんて微塵もない。頬が赤く染まっている。リクさんとユリが微笑ましく見守っていた。


***


蒼と茜も無事到着して、皆で海に遊びに出た。


ちなみに茜は僕を見るなり、

「こんにちはー、サクさん!」

と屈託なく言ったので驚いた。気にした様子が全くない。


「こ、んにちは」

と僕はかなり動揺した。


「楽しみにしてたんです、誘ってくれてありがとうございます!」

「はい。ありがとうございます」

なんだかホッとする。


その隣に立つ蒼は、

「よろしくお願いします」

と丁寧にあいさつしてくれる。


「こちらこそ。よろしくお願いします。一緒に遊べて嬉しいです」

と僕は返事をし、蒼も笑む。

「こちらこそ。僕も楽しみです」


その後、ガーホイやリクさんたちを紹介する。

リクさんたちとは初対面なのに、気さくに笑いあっている。


ユリと手と手を取り合うように会えたことを喜んでいる茜の姿に、なんだかほっと安堵した。


普通なら、僕の姿が違うことを、気になるものだと思う。ユリか蒼が丁寧に色々伝えたのかもしれないけど、それでも。

明るく親しみやすい子だって知ってはいたけど、茜ってすごいな、と僕はありがたく感心したのだった。


***


さて、茜の提案もあって、海辺にてバーベキュセットをレンタルし、持ってきた野菜やガーホイがとっておいた魚を焼いて食べる。


「リクさんリクさん! 波! 波よ!」

「うん、波だ。うわー、嬉しいな。僕も海って来たこと無かったんだよなぁ」

波打ち際で、ソルトがリクさんを引っ張ってはしゃいでいる。


「舐めて良いのよね、海水! しょっぱいのよね!」

「うん。でもちょっとだけにしなよ。指先につけたの舐めるぐらいで」


「リクさんも! リクさんも!」

「うん」


リクさんも嬉しそうだ。

ちなみにソウは現在、抱っこ紐でリクさんに張り付けられている。


一方では、

「ユリちゃん、泳ごうよ」

「えぇ」

ユリは茜と蒼と海に出て行くようだ。


「サク坊はいかねぇのかよ」

「むしろ僕たちも焼くのをやめて、泳ぎにいきませんか」

「あのよ、迎える俺が一緒に遊んで良いのか?」

ガーホイの心配そうな様子にびっくりする。


「もちろんです、遊びましょう。お世話なんて考えなくて良いです、僕たちはお家に招いて貰って、遊ばせてもらって、もうそれだけで十分嬉しいんです」

「そういうもんか?」

「そうです! だから泳ぎましょう! ・・・泳げますよね?」

「泳ぐっていうか、俺は沈むんだよな」

「え。意外、です」


「おぅ。だけどよ、水中でも1時間ぐらい問題ねぇんだ。なんか筋肉に酸素が取り込まれる体質でそれ使って過ごせるとかでよ」

「すごい」

「地下で使う事はなかったけどな」

「・・・あの、釣りの時とか、船から落ちないようにしてくださいね」


「おぅ。ま、泳いだら普通に浮かぶんだぜ」

「なんだ。じゃあ泳げるんだ」

「まぁな」

「安心しました」


***


海をみんなで楽しんだ。


夕暮れを見てから、ガーホイの家に帰る。

好きな部屋を使ってくれ、とガーホイが言うので、皆で家の中を見せてもらう。部屋は少しずつ作りが違って、見て回るだけで楽しい。

蒼と茜は、これがコルッタちゃんの設計かぁ、なんて感心してもいた。


僕とユリ、蒼と茜、リクさんとソウとソルト、と1室ずつ貰う。

だけど皆で広いリビングに集まって、購入したカードゲームなどをしてみることに。ユリたちは学校でこういうのでよく遊んだそうだ。


ルールがよく分からないので、ルールが分かっている3人とリクさん、つまり4チームに分かれて対戦する。

ついつい皆ではしゃいでいる。


夕食では、僕とガーホイでできる料理を作って出した。その様子を、興味があるといってほぼ全員が見学していた。

ちなみに、作ったものだけでは足りないので、普通に夕食を注文したのを、皆で食べた。


ワイワイと大人数で食べるのは、久しぶり。

僕は中央の店の事も思い出したりして、あそこに僕がいた時間があるから、今僕は、こんな風に過ごしているんだな、なんて変に感傷的な事も考えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ