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71.セキュリティ担当は蒼

『・・・まぁ後で良いか。サクさんで合ってるんだよね』

「え、はい。ただ、秘密に」


『うん。良いよ。そういう仕事だから、安心して』

「ありがとう」

蒼はなんという事もない様子に見える。

僕たちは一先ずホッとした。


『それで、迷子についてなのだけど。行き先をAIに「サク坊の家」と指定してるんだ。勿論どの登録情報にも合致しない指定でAIが処理できなくて。・・・ただ、この人たちが例の中央の人たちじゃないかなと思って。人数も合っているしね。顔を確認して貰おうと思ったんだ。サクさん、どう?』

「はい、中央で仕事していたチームの人たちです」


『じゃあ、このまま家に誘導して良い? 住所は、ユリちゃん、伝えないようにした方が安心だよね』

「えぇ。できるの? 蒼くん」


『大丈夫。こっち側から行き先指定するから、この人たちには住所詳細は分からないよ。じゃあ案内するね。到着は1時間後になるよ。良いかな』

「分かったわ。ありがとう」


『それから、サクさん。実は茜も心配していて、応接中の様子を、茜も見守って、何かあれば手伝いたいって言ってるんだけど、どうかな。実際は、茜に操作は無理だけど・・・もし茜が見守る事を許してくれるなら、サクさんは姿を変えた方が良いかもしれない』

蒼の案内に、また僕とユリとで顔を見合わせる。


「サク、大人の姿の方が、やっぱり強い?」

「うん。身体が大分大きいから」

「じゃあ、大人になって欲しいの」

「うん。・・・その方が安心?」

「えぇ。それに、そうしたら茜ちゃんも見てくれるもの」

「分かった」

「蒼くん。サクはね、色々事情があって、大人の姿でバスの運転手をしてたのよ。本当は私たちより年下だったの」

『そうか』


パネルを見つめているけれど、蒼は意外と冷静だ。少し微笑んでいたりする。

どうも蒼は、以前から、僕について普通じゃない事を察していた気が、する。


***


僕は大人の姿になった。

蒼は、AIに指示を出し、3人を車に乗せてくれた。同時に到着時間に合わせて、セキュリティの設定をしてくれている。


3人の到着を待っている間にパネルが増えた。茜が画面に出てきて、僕たちに向けて手を振ったので振り返す。

それからすぐに茜はパネルの外側に視線を向けた。


『ねぇねぇ、ユリちゃんの家、人型AIが2体あるんでしょ? どうせなら私たちそれにリンクしたらいいんじゃないの』

『どうして急にそんな提案をしてくるのかな。ユリちゃん家の人型AIには警備と威嚇いかく用プログラムを入れてあるんだけど』


『そうだけど、それとは別に私たちの画面を入れちゃえば、ほら、なんだっけ、抑止力よくしりょく、になるんじゃないの』

『・・・』

蒼が茜の意見に拗ねたような目を見せている。


「仲が良いね」

「えぇ」

と、僕とユリとがコメントしている間にも、蒼と茜は会話している。


『前に、蒼が言ったじゃない。この前イクエちゃんたちとAI使ってパーティした時、夜!』

『言ったけど。茜はその時怒ったよね?』

『違うよ! 私が怒ったのはパーティ楽しかったのに急に仕事の話するからだったの!』

『・・・。それ、今持ち出す話かな』

『違うから聞いてよもう! 今、蒼の言う事に賛成、リンクさせたら良いって私も思ったんだもん!』

『・・・もぅ・・・。だから僕あの時に言ったんだ、リンクさせることでAIが機械でなく人間の代替えだと認識されるから、不要な警戒が解けて加えて親和性が高まり』

『ストップ! 今そこまで聞いてないよ。良いの? あと1時間でお客さん来ちゃうよ』

『そうだった』 

『設定間に合う?』

『その前に。茜、意見くれるの嬉しいけど、僕の仕事なんだから。僕が担当だから』

『うん! 蒼はプロだよ!』


一方で、車にのって移動中の3人の様子の映像も僕たちに提供されている。

僕にとっては懐かしいチームの3人は今、まるで子どものように目を輝かせて、周囲の光景を眺めてワイワイと声を上げていた。本当に楽しそうだ。


なお、来てくれるのは、ヴェド、ガーホイ、そして夕食のお店の店主みたいになっていた人。


ヴェドとガーホイはチームで一緒に行動していた人だ。ガーホイについては、僕の第1発見者でもあるし、お見舞いにも来てくれている。

チームには大勢の人がいたけれど、交流があった方の人たちだ。


一方。店主の人が来るなんて意外だ。

名前も知らなかった。とはいえ、表示が出ている。ダブルセブン、という名前だったようだ。

何かのシリーズの77番なのかもしれないなぁ、と思ったりする。


トーナメントが開かれたってドーギーは言っていたけど、なんだか不思議なメンバーだ。


一方で。まるでケンカのように意見をすりあわせていた蒼と茜の話もまとまったようだ。


『ユリちゃん、サクさん』

と蒼が呼びかけてきた。

『茜の案も取り入れることにするよ』

「えぇ」


『人型AIを、僕たち個人にリンクさせる。相手の圧迫を軽くするけど、他の人の目もあると分かりやすく認識できるから、問題行動の抑止にもなると思うんだ。万が一の時のAIの機能は阻害しないから、安心して』

「えぇ」


『どうせなら僕たちを紹介して欲しいのだけど、良いかな。サクさんが中央で行方不明になった時、それぞれ僕たちは協力したからね。きちんと自己紹介していくのも良いかもしれない。・・・サクさん、どう思いますか? つまり、あなたたちの顔合わせの場に、僕と茜もAIを借りて参加する形になるんですが』

「え。はい。・・・それで構いません」


と僕は答えた。

とはいえ具体的に、よくイメージがついていないのだけど。

蒼が考えた案なので、きっとお任せした方が良いんだろうと思っている。


一方で、僕の救出の時に協力しあったというけど、例えばどんなことだったんだろう。



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