七話
「聖羅さん、それでは、また……」
聖羅と呼ばれた二十半ばの女性と、富豪らしき長身のイケメン紳士は口付けをして、別れた。それを嘲笑しながら隠密で見ていた少年が、声を掛けて来た。
「相変わらず、パトロン男性に身体を売っているんですね……。誰かに見られていると思わなきゃ、大胆にもなりますよね……、クスクス……、元・聖女サマ?」
驚いたように見せる女性。
「別に、驚いたように見せなくても良いですよ? まあ、流石に興醒めです。聖女でなく売女と改めた方が良いんじゃないですかね? 貴女が誓約を破り続けるならば、僕も反故にしましょうかね? 僕にとって、彼女はただ、同じ学校、同じクラスを時間を共にするだけで、死のうが生きようが興味ありません。貴女に限って言えば、最初に受けた印象からすれば裏切られた、しかありません」
踵を返す少年に対して、止めようとする女性。
「待って、零君!」
「いや……、もう貴女の言葉は、僕の胸には届きはしません。どうぞ、パトロンの男性と宜しくやってください。年下のガキより、貴女の事解ってくれると思います、お幸せに……。元・聖女サマ、いえ、売女サマ! (“転移”!)」
少年は、黒い幕に包まれ、その場から消えた……。
「零君……」
女性は、膝を落として泣き崩れた……。