六話
「零兄ちゃん、何で、黒服なのさ」
白夜が、そんなネガティブな感動詞を使ったのは、学院から制服が届いての事だった。
合格発表と入学手続きが終わって一週間後、学院から制服や教科書が届いた。そして、制服を見て、先程の白夜の発言に至る。
届いた制服の色は、入学試験において下位の成績を修めた者に着用が認められる黒い制服、いわゆる黒服だった。色と階位を示すと、赤→ 紫→青→黄→黒となっていて、赤は特待生、紫はSクラス、青はAクラス、Bは黄、以下は黒となっている。
「そうだな……。まあ、僕には、学院の成績なんて関係ないし、手を抜いたからね……。僕が本気でやったとしよう、学院が破壊されるだけで、しかも目立たない事が僕達には必要な事だよ。」
僕は、苦笑しながら答えた。
「そうだよね! 僕達、夜鷹家は、目立たない事が本分だもんね?」
白夜も同調して答える。
「でも、学院にはクラス特権というのがあるんじゃなかったかしら?」
母さんが尋ねて来る。クラス特権というのは、クラスによる序列だ。Sクラスになれば、食堂が無料で使えたり、トレーニング施設を優先的に使えたり……という特権がある。
「問題無いよ、食事は弁当持って行けば良いし、僕自身は、家でもトレーニング出来るから」
「そうだね。零兄ちゃん、魔物や魔獣を沢山狩っているもんね?
僕も、お兄ちゃんみたいになれるように頑張るぞ!」
僕の返答に、気合いを入れる白夜……。僕の血も交じっているから、行けるんじゃね?
「親ばか子ばかはやめてちょうだいね……」
母さんが、僕の耳元で呟いた……。
「母さん……、それは禁句だよ?」