五話
一週間後、入学試験の合格発表とクラス分けの貼り出しがなされるという事で、僕は、学院に足を運んだ。混雑を避けようと早めの時間帯に来たのだが、合格及びクラス分けの発表を見ようという受験者でいっぱいだった。
「(あぁ、面倒くさいな……、こんなにいっぱい集まっているとはね……)」
僕は、発表の掲示板の前に立ち並ぶ受験者の集団に、うんざりして溜息をついた……。
「貴方も受験者の方ですか?」
受験者の集団が割れるのを待っていると、横から
、髪を肩までストレートで伸ばした少女が声を掛けて来た。
「突然、失礼致しました。私は、天道寺愛華と申します、以後お見知りおきを……」
なるほど……、この娘が現・聖女か、聖羅さんと同じような魔力を感じる。聖女というのは、治癒魔術の使い手というのが第一条件になっているらしい。
「僕は、夜鷹零、こちらこそよろしく(聖女サマ?)」
僕も挨拶を返した。
「やあ!聖女様に……」
「夜鷹零です」
「夜鷹零君か……。僕は、火の名家が次男、炎堂護だ。よろしく!」
割って入って来たのは、火の名家次男名乗る少し長身で髪をツンツンに立てた男だ。というか、聖女って言って良いのか?まあ、わかりきっている事だけどね、彼女が聖女っていう事は……。
「僕は、残念だけど、君とよろしくするつもりは無いよ?」
「えっ!? 何でさ?」
「暑苦しいから、離れてくんない? シッシッ……」
「僕は野良犬かよ!」
「夜鷹君に同意です……」
ガクッと擬音をつけられる位、大袈裟に項垂れる炎堂家次男坊……、放置だ。
「(合格はわかりきっていた事だったが、Cクラスとはね……、魔術試験は上手く調整出来たみたいだね?)」
受験者の集団が割れたので、掲示板の前に並び、確認した。
「夜鷹君は、どのクラスでしたか?」
天道寺さんが声を掛けて来た。
「Cクラスみたいだ……」
僕はわざと溜息をつきながら答えた。
「そうなんですか? 私はSです。夜鷹君は、Cクラスとはとても見えないですが?」
「人は見かけに依らず、という諺がありますよ?」
「確かに、それはありますが、私は逆のように見えます……」
僕の返答に、天道寺さんは困り顔で答えた。わかる人にはわかってしまうみたいだね……。
「後、天道寺さんって言うのは長ったらしいですから、愛華とお呼び頂けますか?」
「わかったよ、愛華さん」
「ありがとうございます、じゃあ、私も零君で」
「いいよ!」
笑顔で話す愛華さん、もとい聖女サマ。癒されるわ、聖羅さんとはまた違う癒しだ。
「僕は……」
「天道寺でお願いします!」
炎堂家次男坊には笑顔で否定の返答をしていた。