三話
入学試験当日……、
「零……、気を付けて行ってらっしゃい!」
「零兄ちゃん……、行ってらっしゃい!」
母と弟の白夜(アルビノである事から……、単純だが)に見送られ、入学試験会場となる第3魔術武術学院に向かった。
僕が、学院に着いた頃には、多くの受験生が集まっていた……。
「(さて……、今回の試験では、名家がそれなりに集まっているらしいし、何てったって、セイジョサマ、聖女様がいるらしいからね……。まあ、聖羅さんには彼女を見守って欲しいって言われているからには、見守って行く訳だけど、彼女の人間形成や諸々の事に関して干渉する事はしないし、ただ、危害加えようとする者に対しては殺す、というか、僕の剣の餌になって貰うけどね……。聖女を狙う者達のバックには権力やら利権の争いがある筈だからね……。まあ、聖羅さんには言ったさ、僕は聖女の人間形成には関わらないから、コテコテな教会人間になったとしても、承知してくださいって……)」
学院に着いた僕は、受験番号順に割り当てられた教室に入り、席について開始の時間を待った。最初は筆記試験、次に武術試験、最後に魔術試験がある、という日程である。筆記試験は全く問題無い。
筆記試験は滞り無く終わった。次は、武術や魔術の実技試験が行われる為に、訓練場への移動となった。中には、かなり緊張した面持の者からそれなりに自信を持った面持の者……、と様々な受験生が見られた。僕は、かなりリラックスした感じでいた。
武術試験では、徒手空拳から弓矢、斧、槍、剣等、自分の得意な武器を使用し、模擬戦を行い、評価するという事である。
僕は、徒手空拳でも、剣でも、弓矢でも扱える訳だけど、剣を選んでおく。そして、僕の順が来た。
リンクに入り、学院指定の模擬剣を中段に構え、担当教官と相対する……、教官は槍を扱うようだ。槍は突き、薙ぎ払い等、近中距離において有効な武器である。相手は、僕を間合いに入れさせないようにするだろうと思われる。
「始め!」
審判担当教官の合図と共に、教官が攻撃を仕掛けて来る。僕は、突きを弾き、薙ぎ払いを避ける。
「(なかなかの速さではあるけれど、まだ余裕綽々の範囲内だ……。そろそろ、こちらも仕掛けて行くかな……)」
僕は、突きを大きく弾き、懐に入り突き、離れる、薙ぎ払いを軽く避け、斬るを繰り返した。勿論、相手教官も狙いがわかり慎重になり、にらみ合いとなった。
「止め!」
時間切れとなったようだ。
「ありがとうございました!」
僕は礼をして、リンクを出た。教官は肩で息をしているのがありありと見受けられたが、僕は全く余裕だった。
さて……、次は魔術試験だ。