一話
少年は、小学校、中学校、といじめを受けて来た……。ノートや体操服、内履きや運動靴を捨てられる事は日常茶飯事、机への落書きや履き物の中に画ビョウ、トイレ中にバケツで水をかけられたり、ひどい時には呼びだしをして暴行を受けたりしたが、カツアゲは拒否して更に殴られた……。
家族は学校や教師達に訴えたが、自分達の保身に走る学校や教師は相手にせず、いじめを行っていた者達の親はPTAの役員をしていて、当然の事ながら自分達の子供をかばうばかりで全く相手にしなかったし、議題に取上げられる事すら無かった。そして、クラスメイト達すら、というか、クラスメイトがほぼ全員、いじめ側だった。
僕は、報復の手段として、証拠の映像を撮影するという手段に打って出た。
死角になる部分に、小遣いを貯めて購入した小型カメラを夕方に設置して、朝からの様子を撮影し、いじめの様子を撮影する事に成功、それをコピーし、地元新聞社、テレビ局、ラジオ局、地域の学校、教育委員会に送りつけ、大手動画サイトに迄送りつけ、問題を大きくさせた結果、学校には一時、マスコミが押し掛け、学校や教育委員会、PTAはてんやわんやとなった。
そして、その年の同中学校の高校への推薦は入試すら拒否される事態となり、いじめに加わっていた生徒は進学校や名門私立はおろか職業高校において厳しく査定された……らしい。
そして、卒業式を終え、彼らと会わなくて済むと安心した帰り道、目の前にナイフを持った彼らの使い走りだった少年が現れ、無言でナイフを突き立てた……。
「グハッ!」
「てめえのせいで俺たちはめちゃくちゃ……」
「何……、ぬかしとんねん……! 最初に……、てめえ達が……やっとんやが! 報いじゃ!」
「てめえが大人しくしとりゃあ……!」
更に、あいつはナイフを奥に押し込んだ。
「ざまあ……見ろ……!」
少年はそれを最後に意識を手放した……。