フー.アー.ユー?
目の前の男は
「わたしは家電量販店の店員だ」
と言い、そのすぐ後に
「わたしはコンビニの店員なのであります」
と、なぜか古臭い語尾を用いたと思ったら
「わたしは靴を販売することに生きがいを感じる!」
と熱気を全身に纏ったように叫び
「わたしはスーツに体を覆われている間は無敵なのだ!」
と、おまえはスターをゲットしたスーパーマリオか、と思われるような台詞を発し
「わたしはこの自らの頭脳をもって世界をぎゃふんと言わせてやる」
と涼しげな顔して言い、でもぎゃふんなんて実際に口にする人間いるのか、あ、今目の前にいるわ、あ、でもこれは音声としての言葉ではなく、書かれた言葉だから除外か、などと僕が考えていると
「わたしは一体誰なんだろう」
と独り言のような呟きを残し僕の前から消えた。