異世界転生キャンセル
思いつきで書いた駄作です。
※2017.6.23 女神様のセリフを少し付け加えました。
ーー唐突だが、俺はトラックに轢かれて死んでしまったようだ
そして目の前に女神を自称する存在がいる。
「こんにちは、✕✕ ✕✕(俺の名前だ)さん。唐突ですが貴方死んでしまいました」
そんなことは知っている。
「ですが貴方は異世界に転生する権利を得ました」
「はあ……」
なんだこれは、新手のアポイントメントセールスなのだろうか?
「異世界に転生する権利を貰える人は十万人に一人なんですよ」
そんなことはどうでもいい。
「その内の九割がトラックに轢かれてしんでいます」
なんだ、トラックに轢かれて死んだ俺への慰めのつもりなのか?それとも当て付けか?
「なので貴方はとても幸運なのですよ?」
追い打ちのつもりか、コイツ?
「なので…どうです、異世界転生、してみませんか?」
「嫌です」
というか異世界ってそもそもなんなのだろうか、そんな場所に転生して幸せに慣れる気がしない。
「本当に良いのですか、それだと元の世界に転生することのなってしまいます、その場合は今までの記憶は残らず、消えてしまいます。本当にただの生まれ変わりになってしまいますよ?異世界に転生するならチートスキルとか主人公補正とかも付けてあげますよ、本当に良いのですか?」
だからなんなのだ、その「ちーと」やら「主人公補正」は。
別にそのような得体の知れないものはいらん。
だから最初から答えは決まっている。
「結構です」
「………まあ、良いでしょう。それならば元の世界のそれなりに裕福な家庭に転生させてあげましょう」
「ではそういうことで、宜しくお願いします」
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「オギャー、オギャー」
「おめでとうございます!元気な男の子です!」
ーーとあるそれなりに裕福な家庭に生まれた男の子はすくすくと育っていった。
両親は大企業の取締役として忙しいながらも子供に愛をもって育てていった。
「行ってきまーす」
それから月日がたち、男の子は十六歳となっていた。
彼は有名な難関私立高校に通っていた。
そんなある日、彼の両親はトラック事故に巻き込まれて亡くなった。
しかし彼はそれほど動じなかった。
「生活するためには金がいるな」
幸い彼には才能があった。なので彼は両親の遺産を株で増やした。
彼は二十歳になる頃には人間一人が一生生きるには充分過ぎる財を保有することとなっていた。
彼はその後、とても裕福な家庭の一人娘と結婚し、娘と息子を一人ずつ授かった。
娘と息子も大きくなりやがて自立すると、彼は趣味である読書して余生を過ごした。
そして妻と娘と息子、そして娘の子どもである孫に看取られて彼は九十歳の長寿を全うした。
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「貴方はそれで本当に良かったのですか?」
ーー意識が沈む前にそんな女の人の声が聞こえた気がした。
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ーー女神の世界
「くっ…なんなのだあやつは!?あの様に欲望のない奴は初めて見たわ!!本当はあやつを我の管理している崩壊しそうになっていたもう一つの世界に転生させることで崩壊を防がせようと思ったのに…結局我が直接世界の崩壊を防がなければいけなくなったのだぞ…」
「我の世界の死んだ人間を連れて来るのに必要なエネルギーを溜めるのには十年もかかるというのに…今回は本当に無駄なことをしてしまったではないか…」
「しかもなんなのじゃあやつ!?転生した後は普通に幸せを掴みおって!やはり元の世界に転生させる時にも主人公補正くらいは付けておくべきだったのか?」
「また失敗してしまったがまあいい、次は絶対に失敗せんぞ」
ーー女神の試行錯誤はまだまだ続く……