暗黒エイチャーズ
閲覧ありがとうございます!
”グローアップ! タンポポ!”
私の跳び蹴りが炸裂し、スピリンテントは発散した。
「やったわね、命」
「うん」
後ろで別のスピリンテントを倒していた因が、声をかけてきた。それに返事をして、私達は変身を解除するために、ベルトのバックルに手をかけた。
すると、どこからかアスファルトを叩く足音が迫ってきた。
辺りを見回し、その正体を視認した私達が見たのは、普通ではありえないことだった。
「もうひとりの、自分_?」
私達には二人とも双子なんていない。よほどのそっくりさんでもない限りこの状況は生まれないはずだが、その可能性もないだろう。
ただ、答えはおのずとわかった。その歪んだような侠気が、全てを物語っていた。
彼女達は、人ではない。
私達の、虚像。ニセモノだ。
「_変身」
”ダークチェインジ・エナジー!”
”別離! ダンダンダン・ダダンダン! ダン・デ・ライウォォォン!”
”ダークタンポポラァンドゥ!”
「変身」
”ダークチェインジ・エナジー!”
”遠慮! メイプルッ! トゥルルン・トゥルルン・トゥルルン・トゥルルン!”
”ダークカエデラァンドゥ!”
「変身した_!」
「さあ、己に手向ける花を選べ」
「深緑に_埋もれろ」
「来るわよ!」
私達は、それぞれが自分のニセモノと交戦した。
◆
タンポポランドとダークタンポポランド、両者の攻撃はまったく同じタイミングで繰り出される。パンチも、キックも、銃も、剣も、その全てが正面からぶつかり合う。同等のスペックだ。ほとんど進展がないまま、ただ体力を消耗するばかり。
勝ち目は、あるのだろうか。
この戦況に勝機を見出せず、私の動きに隙が生まれた。ダークタンポポランドが、渾身のチョップを繰り出そうとしていた。そこに、より大きな隙が生まれた。私はそれを見逃さず、反撃の必殺ビームを懐めがけて撃ち込んだ。
「あっ_やられた_」
_私、そんな間抜けな言い方しないと思う。
ダークタンポポランドはそのまま後ろに倒れ、爆発四散した。
「なるほどね」
私の戦い方を見ていた因が、苦しみながら跪いた。ダークカエデランドは、とどめをさすために近づき、そして。
「無用心だったわね!」
”グローアップ! カエデ!”
因の振り上げた拳が腹部に命中。
「くやしっ_」
ダークカエデランドもまた、爆発した。
突然の襲撃者をなんとか迎撃した私達は、今度こそ安堵して、変身を解いた。
「あいつら、頭はそんなに良くないみたいね」
「それにしても、一体なんだったの_?」
「ワタシにも、よくわからないワ」
「「え!?」」
私達は驚き、声のした方向を見た。
「エンマ_」
「アラ、名前覚えていてくれたのネ」
「一体どういうこのなのエンマ。死霊を導いているあなたでさえわからないなんて」
「だからわからないものはわからないのヨ。一つのことを除いてネ」
「一つの、こと_?」
「実はネ、奴らと一緒に、まだ転生していないはずの霊魂がやってきたノ。つまり_」
「あいつらは未来から来たってことね」
「そう。だからこれから、その根源を倒しにいってくれないかしラ」
「お断りします」
「ちょっと、命_」
「だって、これから千鶴のお見舞いに行こうと思っていたから」
「_仕方ないわネ、ことが済んだら、こことまったく同じ、この時間に帰してあげるワ。それでいいかしラ?」
「それなら_」
「決まりね」
「それじゃあ、いってらっしゃイ」
「え? 待ちなさい落ちるなんて聞いてきゃあ!」
私達は、エンマが足元に形成した穴に沈み込んだ。
どうも、壊れ始めたラジオです。
2が未だに完結していませんが、おそらく大丈夫です。
それでは。