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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺達シリーズ

俺男なのに・・・

作者: 琥珀

俺の20歳の誕生日、彼女がこのバーに連れてきてくれた。

1つ上の彼女のオススメの場所らしい。


「店長~、この人あたしの彼氏」


「初めまして。」


「初めまして、ここの店長をやっています夏目です。

如月様ですよね、いつも藤岡様からお話は伺っております。」


「店長、そこまでは言わなくていいのに~

今日ね唯人、20歳の誕生日なの。

なんかいい感じのお酒ない?」


「それはそれはおめでとうございます。

ではこれはサービスとして無償で提供させていただきます。」


「店長やる~、ありがとう。」


「ありがとうございます。」


「こちらはラズールオレンジといいまして5月11日のバースデーカクテルなんですよ。」


「へぇー、カクテルにも誕生日とかあるんですね。」


「そーですね。」


「いいなぁ~唯人、バースデーカクテルあるんだ。

あたしなかったのに。」


「美波ちゃんにはないの??」


「バースデーカクテルは365日あるわけではございませんので。」


「そーなんだ。ん、おいしい。お酒って感じがしないね。」


「ありがとうございます。」


「もしよろしければこれもどうぞ。

お誕生日のかた限定のスイーツでございます。

これもサービスなので無償で提供させていただきます。」


「あ、しずちゃん、久しぶり。」


「藤岡様、お久しぶりで。

本日もご来店ありがとうございます。」


「やっぱりしずちゃん、その格好似合うね。」


「ありがとうございます。」


「あ、唯人、この人、店長の甥っ子なんだって。

あれ?あたしより1つ上だよね??」


「そーですね、今年で22なので。」


静間さんと目が合ってしまった。

静間さんは美波ちゃんから目線を俺に移した。


「お誕生日おめでとうございます。

ここでバイトをしています静間です。

本日はご来店ありがとうございます。」


うわぁーなんかカッコイイな。


「でも唯人もあの格好似合いそうだよね。

唯人、イケメンだし、背高いし。」


「そんな褒めないでよ、美波ちゃん。」


「えー、だって自慢したいんだもん。」


「藤岡様、そろそろお帰りになられたほうがいいのでは?

明日もお二方学校があるのではないでしょうか。」


「そうだね、いこっか美波ちゃん。」


「えぇー、まぁ唯人がいうなら。

ねぇ今日あたしの家泊まらない?」

ほーらせっかくだしヤっていこーよ。20歳迎えて第1回目。

唯人の家でもいいよ??」


「俺ん家は散らかってるからね。それに明日までにやっておく課題がまだ終わってないからやらないといけないし今日は帰るよ。」


「えー、つまんない。

唯人ってさぁ絶対自分の家に入れてくれないよね。

掃除ならするのに」


「ごめんね。美波ちゃん。」



彼女なら今まで何人もいた。その2~3倍ヤッてきた。

それでも今だ家族以外誰ひとり家に入れたことがない。

俺の家は唯一の休息場だからだ。

幼稚園、小学校低・中学年。

その時の俺は暗くて地味で無口でよくからかわれて同じクラスの男子に泣かされていた。

今思えば本当につまらないやつだったと思う。

友達といえる友達もいなかったから。


父の転勤で新しい学校に転入したのが小学5年生。

そこからは理想の自分を演じた。

イケメンで優しくて気が利いてクラスの中心になる人物。

緊張はしたけどうまくいった。

この顔で産んでくれた両親にはお礼を言わないとさえ思った。

まぁ結局いってないが。

友達も増え、皆俺を頼って、人気者となった。

それでも何故か寂しかった。

家族以外誰も俺を理解してくれないことが寂しかった。



「おはよ、如月。」


誰かが後ろから勢いよくぶつかってきた。


「ちょ、え?!」


あまりの勢いで俺はドミノのように前の人を巻き込んで倒れてしまった。


「あ、悪い。」


いやそれだけで済まないだろ高橋!


「ちょ、重い。」


前の人を下敷きにしてしまったみたいだ。


「す、すいません!大丈夫ですか?!」


素早く下りる。


「あ、あぁ大丈夫だ。」


その人はゆっくり立ち上がる。

その顔に見覚えがあった。


「あれ?静間さんですよ??」


「え?」


「やっぱり!

昨日藤岡美波ちゃんとバーにいった如月なんですけど。」


「あぁ、昨日誕生日を迎えた・・・」


「はい!いや、まさか同じ大学とは思いませんでしたよ!!」


「そうですね。では失礼します。」


「あ、待ってください。

その・・・迷惑料としてなんか奢らせて下さい。」


「いえ、大丈夫なんで。」


「いや、こーいうとこはちゃんとしろっていわれてるんで。

ちゃんとしとかないと落ち着かないですし。」


「千尋?どーかしたか??」


「たか、別になんでもないよ。いこっか。

あの、本当に俺お礼とかいらないから。」


「・・・えっと、俺のおかげで会えた感じ?」


「いいや、高橋、お前は悪い。危ないだろ。」


「ごめんじゃん。」


まぁ静間さんと会えたのは高橋のおかげだけど、これをいうとすぐ

調子乗るから絶対言わない。


「あ、静間さん、いつ食べに行きます?」


静間さんを見つけると駆け寄った。

普通は断られたら諦めるんだけど静間さんと何故か話してみたいと思ったのでガンガンいった。


「あのさ、お礼はいいっていってるよね?」


静間さんの敬語がとれていった。

これが静間さんの普通らしい。


最初は静間さんのの友達も諦めるよういったんだけど


「千尋、こいつは1回付き合わないと一生ついてくるタイプだ。

1回くらい食べにいってやれ。どうせ奢りなんだしラッキーと思って高いもの食べまくればいいだろう。」


「ちょ、たか!・・・ハァー、1回だけな。」


「はい!」


二人とも折れてくれた。



「あ、静間さん、こっちです。」


「やっぱり帰らせてくれねーよな。」


「ここまできてなに言ってるんですか。

さぁ行きましょー!どこ行きます??」


「ファミレスでいいよ。」


ということで近くのァミレスになった。


「じゃあ改めて青葉大学2年、如月唯人です。」


「・・・青葉大学4年、静間千尋です。」


「千尋さんってあのバーの店長の甥っ子さんなんですか?」


「え、あぁまぁね。」


「いつからバイトしてるんですか?」


「20歳になって1週間後だったかな。

20歳未満はバイトできないから。」


「そーなんですか、なら俺もバイトできますかね?

昨日の静間さん、めっちゃ格好よかったんですもん!

大人の男って感じで。」


「大人の男・・・ま、まぁね、基本バー自体が大人って感じだし。

そう思うのもわかるっていうか。

バイトは・・・叔父さん次第だな。」


なんだか嬉しそうだ。

大人の男っていわれると嬉しいのだろうか。

 

「てゆーか藤岡様には気をつけろよ。如月君。」


「唯でいいですよ、俺も千尋さんって呼んでいいですか?」


「え・・・まぁいっか。なんていったって大人の男だしな。」


「で、美波ちゃんがどーかしたんですか?」


「あぁ、藤岡様は・・・」


「ねぇねぇみてみて、まー君、この俳優格好よくない?」


斜め向かい側から美波ちゃんの声がした。

そちらのほうをみると美波ちゃんと知らない男がくっついて座っていた。


「も~、やだなぁ、まー君より格好いい人はいないよ。」


二人はファミレスの中だというのに長いキスをしていた。

もはやただの馬鹿っプルだ。


「ねぇ、まー君、今日まー君の家泊まりにいってもいい?」


「あぁ、もちろんだぜ。」


「あーいうことを平気でファミレスでやるのは子供もたくさんいるなか教育上よくないだろう。」


生々しいシーンをもろ見てしまった千尋さんは顔を真っ赤にしている。


「あの千尋さん?大丈夫ですか??顔真っ赤ですよ。」


「う、うるさいな。

世の中には縁がなくてまだ未体験のやつもいるんだよ。」


なんだか可愛いらしい。

自分より年上な人を可愛いはどうかと思うけど。


「てゆーかお前はそれでいいのかよ?!」 


「というと?」


「彼女が浮気してんだぜ?!それを見過ごせるのかよ。」


「まぁ浮気されたらされる俺にも原因があったわけですし。

別れるのも時間の問題ですね。」


「やっぱり冷たいなぁ、お前。

誰かを本気で好きになったことないだろう。」


「え?」


「告られたことはあっても自分から告ることはなかっただろう。

告られていいなぁと思った子とは付き合って、最終的に彼女が愛想尽かしてフラれるみたいな感じじゃねーの?」


「すごい、当たってます。」


「昨日見たとき思ったよ。

お前作り笑いしか浮かべねーんだもん。」


「つくり、笑いですか?そんなことは・・・」


「断言する、誰かを家に入れないのも家にいてまで自分をつくりたくないからだろ。」


「あはは、昨日の話聞いてたんですね。」


「た、たまたまだよ・・・。

藤岡様は飽きっぽいからな。彼氏が出来たと思ったら一週間後には新しい彼氏作ったり、浮気だってしょっちゅうらしいぜ。

一回彼氏に浮気がバれて暴力受けたとか傷だらけの格好でバーで愚痴ってた。まぁお客様の悪口をいうのは良くないと思うんだが。」


なんだろう、なんかドキドキする。

誰も本当の俺を理解してくれない。

なら俺は皆から求められてる俺を・・・いつでも笑顔でいなければいけない。そう思ってた。

求められてる俺を演じただけであって誰かを本当に好きになったことなんてないし、告ったこともない。

だからかな。こうして俺を理解してくれる人があらわれたからこんなにドキドキするんだろうか。

でもこんなの恋としか言わないんじゃないのかな。

でも千尋さんは男で、俺も男なのに・・・


「・・・い、きいてるか?唯??」


「すいません、考えことしてました。」


「まぁいいんだけどさぁ。そろそろいくか?藤岡様と鉢合わせしたら気まずいだろ。」


「そーですね、行きましょうか。」 


会計を済まし店を出ようとした。


「ちょ、どこいくんだよ、唯。」


千尋さんが呼ぶ声が聞こえたけど無視をして美波ちゃんのいる席にいった。


「あれ、美波ちゃん、奇遇だね。」


「唯、人、こ、これは・・・」


美波ちゃんの顔はひきつっている。


「そちら彼氏?仲いいねぇ。

そうそう美波ちゃんに伝えたいことがあって。

俺も好きな人ができたんだ。友達として応援してね。

じゃあそろそろ行くね。バイバイ、美波ちゃん。」


店の外で千尋さんは待っていくれた。


「まさかあの場面でいくとは思わなかったよ。驚いた。」


「俺もです、なんかフラれるのも嫌だなって思って。」


「ははは、まぁお前顔はいいし、背高いし、彼女なんかすぐできるだろう。そう落ち込むこともって落ち込むほど好きではなかったんだよな。」


「千尋さん。」


「ん?」


「俺が本気で好きになったら、その人も俺のこと好きでいてくれると思いますか?」


「まぁ、そうだな、思うよ。」


「千尋さん。」


「なんだよ。」


「俺、千尋さんが好きです。」


「へぇー。ん?!お前なんの冗談だよ!!」


「本気です、初めて告白しました。

なんか、照れますね。」


「いやいやいや、俺ら男同士だから!」


「俺、絶対諦めるませんから!

千尋さんも本気ならすきになってくれるっていいましたし。」


「それは女の子の立場から考えてであって俺の意見では・・・」


「あ、すいません、そろそろ帰らないといけないんで失礼します。」


「ちょ、ちょっと!ったくなんなんだよ、あいつ。」



~次の日の夜~


「こんばんは。」


「よぉ千尋、今日もしっかりやれよ。」


「わかってるよ、叔父さん。」


「そうそう、新しいバイト雇うことにした。」


「へぇー、珍しいね。」


「お前のが先輩なんだからしっかり指導してやれよ。」


「せ、先輩かぁ~、ま、任して下さい。」


「じゃあはいって」


「え?!」


「新しくバイトに入った如月唯人、最近20歳になりました。」


「昨日ここでバイトがしたいと熱心に頼むから採用したんだよ。

なにしろ顔がいいし、初めてにしては手際もいいし、接客も完璧だった。それに千尋の後輩なんだろう?それはもう採用するしかないだろう。」


「よろしくお願いしますね。千尋さん」


「だ、誰か嘘だといってくれーー!」


                                         (おわり)







































































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