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RENGOKU  作者: 香村 麗
1/12

Prologue

 顔が潰れた女を穏やかな表情で抱き寄せる男の頬に触れながら、彼女は男を見下ろしていた。

 ――あなたの心に私はいないの?



 彼は少年を抱え、村を見渡した。

「もう、俺達を傷付ける奴はいないんだ」

 彼は白い顔の少年の頬を撫でながら言った。

「俺達は2人で静かに暮らそう。な?」

 しかし、返事は返ってこない。

 ――お願いだから独りにしないでくれ!!



「どうして……どうしてよ。2人共……信じていたのに……」

 女は血で染まった2人を見下ろしていた。

「私のどこがいけなかったの?そんなに魅力ない女だったの?」

 ――神に誓ったあの言葉は嘘だったの?



 1人、教室の隅で少女は震えていた。

「いやああああ!!!」

 少女は近くにあった椅子を少年に向かって投げた。

「なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ――」

 ――ただ守りたかっただけなのに。



 ゴギッ

 太い何かが折れたかの様な低く鈍い音が部屋に響いた。

「そ、そんな……じょ、冗談はよせって……」

 ――違う……違うんだ。

「うわぁぁぁぁぁ!!!」



 彼女は眺めていた。真っ赤なソレを。

「なんて綺麗なの」

 真っ赤なソレはどんどん大きく広がり、彼女を包んでいく。

「もっと。もっと大きくなって。私を包んで」

 ――そして、私をアナタと同じにして。


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