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神の涙  作者: 森乃 雅
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 〜第二章〜

                


真っ白な雲が広がる空間で、何かを必死に探すジュリアがいた。


「私は何を探してるんだろう・・・」


ただひたすら、白い雲を掻き分け、掻き分け、必死に漠然とする何かを探していた。

走りながら探しているうちに、真っ白の雲の隙間から・・・

差し伸べられた手を遠くに見つけた。

その手を見つけ、そこへ必死に雲を掻き分け走る。


「早く・・・あの手を掴まなくちゃ!」


心の中で叫びながら一生懸命走った。

やっとの思いでその手に辿り着いたジュリアは、

雲の隙間から飛び出すように差し伸べられていた大きな手を、ゆっくりと掴んだ。


「暖かい・・・・」


そう呟いたジュリアはビクッとして目覚めた。

ビクッと目覚めたジュリアは、本当に手の温もりを感じ、慌てて自分の手を見た。

手を見たと同時に聞き覚えの無い男の声がした。


「やっと目覚めたか・・・・」


ジュリアは驚いて、ガバッと起き上がった。

目を丸くしながら視線を男に向けた。

ベットの横には・・・・

黒髪の長身な男が佇んでいた。


「えっ?・・・・」


ジュリアはベットの横に佇む見たこともない男の手しっかりと掴んでいた。

慌てて男の手を離した。


「あっ・・・・ごめん・・・なさい・・・」


ジュリアは自分の手を握り締めて、うつむきながら言った。

次の瞬間、脳裏に疑問が突如浮かんできた。


「あれ?・・・・誰この人・・・??えっ?・・・・・・・・」


「確か・・・お風呂場で・・・・あれ?・・・・服着てる・・・」


自分の置かれている状況がおかしいことに気が付いた。

慌てた様子で辺りを見渡すと、部屋の様子は明らかに自分の部屋と違っていた。


「えっ・・・ここどこ?・・・・・」


思わずポツリと言葉を口にした。

呆然さと混乱の表情を浮かべ、ベットの横に佇む男にまた視線をやった。

ジュリアが男を見た瞬間、体がガクンとベットに倒れた。


「ドサッ!」


一体何が起こったのか解らないジュリアの体に、押さえられる感触と重さを感じた。

その重さに全身を硬直させた。

時間が止まったように思考回路も体も止まっていた。


自分の体に何が起こったのか認識しようとジュリアが見た先には・・・・


先程ベットの横に佇んでいた男がジュリアの上に圧し掛かっていた。


「・・・・・・」


ジュリアは言葉など発することはできず無言で、その男を凝視した。

男はジュリアの肩を押さえながら、四つん這いになるように上に乗っていた。


ジュリアの止まった時間がゆっくりと動きだした・・・


段々と男の体重を感じながら、押さえられた肩に痛みを感じた。

男は無言のまま、前髪から覗かせる冷酷な漆黒の瞳はジュリアを見つめていた。


ジュリアはその瞳に恐怖を感じ始めた・・・


ジュリアの表情が恐怖のあまりに歪んだ瞬間、男が動いた。

切れ長の目と、鼻筋の通った整った顔が、

ジュリアの恐怖に歪んだ顔にゆっくりと近づいてきた。


ジュリアは蛇に睨まれた蛙の様に身動きすることができなかった・・・


そのまま男の薄い唇がジュリアの柔らかな唇を覆った。


「!」


ジュリアは必死に抵抗しようとした。

細い両腕で男を跳ね除けようと男の胸に手を当てた時、男はジュリアの両手首を掴み、

ベットに叩きつけるように押さえつけた。

男の圧倒的な力に更に恐怖を感じた。


「ん〜〜〜!」


口を塞がれたままのジュリアが発せられない声を喉元で鳴らした。


一生懸命抵抗しようとするジュリアをあざ笑うかのように・・・


男はジュリアの口内に自分の舌を押し込むように入れてきた・・・


ジュリアは顔を顰めて、身動きの取れない体を動ける範囲で動かし激しく抵抗した。

呼吸が止まりそうになるくらい息苦しさを感じた時、

男の口がジュリアの口をやっと解放した。


「はぁ・・はぁ・・・」


ジュリアは息を荒げて呼吸を整えようとした。


「やはり・・・このままでは駄目だな・・・」


そう呟くと男は無表情でジュリアの着ている服を掴み胸元から引き裂いた。

静けさが漂う部屋の中に服が引き裂ける音と、ジュリアの悲鳴が響き渡った。


「ビリビリビリィィィ!」


「きゃあぁぁぁぁ!!」


ジュリアは耐えられないくらいの恐怖に涙を滲ませた。

引き裂かれた衣服の下から、色白の細身な体とは対照的な豊かな胸が剥き出しになっていた。

涙ながらに剥き出しになった体を必死に隠そうとした。

男はまたもや先程と同じくジュリアの両腕を掴み押さえつけた。


「いやぁぁぁぁ!離してぇぇぇ!!」


ジュリアは抵抗しながら泣き叫んだ。

男は躊躇の欠片も見せず、ジュリアの首筋を味わう様に舌を這わせた。

その瞬間、ジュリアの背筋に悪寒が走った。

男の舌はそのままゆっくりと下へと下がり、ジュリアの胸元へと辿り着いた

次第にジュリアは恐怖から憎しみへの気持ちへと変貌していった。

涙を流しながら男を睨みつけるように見た。


その視線の先に飛び込んだ光景に目を見開いた・・・・


男の黒髪はいつの間にか銀色の長髪に変わっていた。

銀色の髪の隙間から、ジュリアの様子を伺うその瞳は、

サファイアを思わせる様な蒼へと変わり果てていた。


ジュリアは一瞬にして憎しみをも忘れ、息を呑んだ。


目が合った瞬間、今まで無表情だった男はニヤリと含み笑いをした。

ジュリアの背筋が凍りついた。


「な・・・・な・・・なんなの・・・・」


男はニヤリと笑ったまま胸元にある、

色鮮やかに輝く赤い宝玉にゆっくりと舌を這わせた。


あれは・・・・・


宝玉を見たジュリアは頭の中で少し前の記憶を一気に思いだした。

ゆっくりと舌を這わせ終わった男が、宝玉に聞いたこともない言葉で囁いた。

その瞬間、宝玉は部屋の隅々まで照らす程の強い光を放った。

部屋の中は夕焼けに照らされた様に真っ赤に染まった。


急にジュリアの胸に激痛が走った。


「うっ!」


ジュリアはうめき声を上げた。

顔を苦痛に歪ませながら宝玉を見た。

男も凝視するように光輝く宝玉を薄笑いしながら見ていた。


激痛は治まることなく、更に激しくなった。


ジュリアは思わず後頭部をベットに押し付け、胸を突き出す様に反り返った。

あまりにも激しい痛みに声さえ失い、遠退きそうになる意識を保つのが精一杯だった。


激痛が頂点に達した時・・・・


宝玉がズルリと胸の中に少し埋まる感覚を感じた。

5センチ程飛び出す様に埋まっていた宝玉は、少し胸に沈み3センチ程の大きさになっていた。

宝玉が埋まったと同時に、激痛が嘘のようになくなった。


「はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・」


息を切らしながらグッタリとうな垂れているジュリアの額には、

激痛に耐え抜いた為に汗が滲み出ていた。

宝玉が埋まるのを確認した男は、

腰以上まで伸びている長い銀髪をなびかせベットから降りた。


「今は、これくらいにしておくか・・・」


そう言って男は何事も無かったかの様に部屋を去った。

ジュリアは男が去った事を認識すると、脱力感と安堵の中、意識を失った。


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