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Demise ~終焉物語~  作者: メルゼ
『Notturno capriccioso』
31/72

その24 「SIN」

「SINとは、概念・第一契約・心具の3つを束ねた状態を指す。神と呼べる状態になるだけならば契約だけでも事足りるが、それは飽くまで肉体だけじゃ。真の意味で神になるのであれば己の残りの部分である精神と魂の神化、つまり概念と心具の具現・具象化じゃ。第三神と戦った時、主様は契約と概念はまあ、ギリギリもギリギリの及第点じゃが、使えておる。じゃが、心具、これに関して言えば点でダメじゃ」

「ダメじゃ、と言われてもな。その『SIN』とやらが使えないと相手に概念干渉出来ないんだろ?」

時間が迫る中、俺はパフェに俺の選んだ道を実行する為のやり方を聞いていた。

俺の選んだ道、即ち第九神を倒す術。

パフェ一人では第九神を倒す事は理論上詰んでいると言う。

これは求心型という特性上仕方の無い事であり、これを覆すには新たなる攻撃手段が必要となる。

終焉神に効く最も有効的な攻撃手段は概念心具による概念干渉だ。

契約や終焉神と言う存在もアレだが、正直に言うと概念干渉が一番反則技と言えば反則技だ。

競技でも試合でも殺し合いでも、概念ルールの押しつけに勝る攻撃手段はない。

要するにパフェとは別の概念干渉で第二契約が切れる前に敵を塗りつぶす事。

この選択をパフェは俺に言わせたかったわけで、その別の概念とはすなわち俺の概念ルールになる訳だ。

ここで問題が一つ浮上してきた。

手段が解っているなら後はご都合主義の気合で何とかしろ、普段ならば言われそうなのだが珍しくパフェは俺がそれを今現在出来ない理由を教授してきた。

それが冒頭のあれに繋がる訳である。

「出来ぬ。そも概念は魂の指向性を表すものであり、それ単体では武器になり得ぬものじゃ。契約により心具に概念を同化させて初めて概念干渉出来るのじゃ、ここで何れかが欠け、三位一体で無くなると各々とのバランスに支障をきたし仮に扱えたとしても『SIN』の力の数割も引き出せんようになる。じゃから吾は先に心具から練習させたのじゃ。主様が心具を創れない事は目に見えていたのでの」

俺は契約さえ結べば概念干渉出来ると思っていた。

なので第三神との模擬戦では第一契約が結べるよう心がけていた。

しかしパフェは心具・契約・概念の三つの独立した要素を高めた状態『SIN』と言うものを使わないと出来ないと言う。

おまけに俺が心具を創れない事をあらかじめわかっていたみたいだ。

「……どう言う事だ?」

純粋な疑問としてパフェに尋ねる。

また思考放棄と詰られそうだがとにかく今は時間が無い。

「幾ら主様に潜在能力があろうとも、昨日今日の切羽詰まらぬ鍛錬で出来るはずが無いじゃろ。概念と第一契約が及第点なのは主様の魂と体が吾と半ば同化しておるからじゃ。故に心具さえ完成できれば形上『SIN』が使えると言う事になる」

「だったら俺は第九神との戦いの中で心具を創ればいいと言う事か」

パフェはYESと言う様に片目を閉じる。

「一度言ったかもしれぬが心具とは心象風景を具現化させたものじゃ。即ち心具として出てくるものはその者の心象風景にそれが存在すると言う事じゃ、剣ならば剣、槍ならば槍、銃ならば銃とな。それは……そうじゃな、主様らで言う祈りに似ておる。宗教の神の正体が何であるか知っておるか? 信仰者の祈りじゃよ。アレは主様らの様々の思いの混ざり合った集合体じゃ。だからここまで人にとって都合のいい存在なのじゃ。もちろん全てが全てとは言わぬが、幾つかの神は主様らが作り出した心具なのじゃ」

パフェはもう一度俺へ心具の説明をする。

よく考えるととんでもない事を言っている。

場所が場所なら火刑にされても仕方が無い位の事は言っている。

だいたい、神は魂の差分の帳尻合わせで出来るのでは……。

と思った所である事を思い出す。

その差分で生まれる神は肉体を持たぬ神だとパフェは言った。

肉体を持たぬ神。

雑霊、妖怪、精霊、そして神などが信仰により『幻想』から『現実』へ定着した存在。

それが俺の知るこの世界の神の定義。

だが、パフェたち終焉神を見て思い知った。

なんだ、コレと比べたら塵屑じゃないか、と。

だが、よく考えてみるとパフェはそれらを一度も神ではないと否定しなかった。

言った言葉は一つ、肉体を持たぬ神。

言わばそれはパフェがそいつらの事を神として認めていると言う事。

つまりその力はパフェたちの力と同種だと言う事。

その身に刻まれた歴史の数で強さが決定する何とも他人任せな能力が、だ。

ならばその歴史とは何か。

それは宗教とは何か、人々は何のために祈るのか、を考えればわかる。

宗教とはすなわち人を救う為にある。

祈りとはすなわち人を救ってほしいから行う。

大前提、この二つは窮地に立たされない限り発生し様が無いのだ。

極論、人が大勢死ななければ発生しないのだ。

救ってほしい、幸せになりたい、助けてほしい。

神の歴史とは奇跡の御業に他ならない。

詰まる所真偽偶然関係なく、救われた、幸せになった、助かったと祈った本人が思えれば、それは神の御業、即ち奇跡となる訳だ。

俺は肉体を待たず、物理法則を無視してこの世に存在できるがゆえにそいつらは神なのだと思っていた。

だが違うのだ。

パフェは俺に契約は身体のみしか神にならないと言っていた。

ならば何がこいつらを神としているのだろう。

概念たましい契約からだ心具せいしん

この三つを神格化させてこそ『SIN』が使えると言ったのだ。

即ちそれぞれの神格化があるはずなのだ。

そう、パフェが言った様に祈りで生まれる神とは精神の神格化。

つまり心具の具象化なのだろう。

一人では創れぬ心具も、何十何百何千何万と言う人が同じ事を祈れば真となる可能性が出てくる。

問題はこれを俺一人でやらねばならないと言う事だろう。

つまり――。

「つまり、心具を創り出す最大の鍵は『祈り』と言う事か?」

やや興奮気味の思考を落ちつけて、パフェが俺に伝えたかったであろう言葉を確認する。

先程達した結論は胸の奥底にしまったままで。

この時の俺は迫る時間との焦りで結論を急いでしまったのだ。

だからこそ次のパフェの言葉を履き違えてしまった。

悟るのではなく理論的に解釈してしまった。

窮地に陥った時の祈りこそ心具へと昇華するのだ、と。

「そう『祈り』とそして『覚悟』じゃ。言葉で詳しく説明できるものではないが……祈りとは刹那で永遠じゃ。次がある、まだ時間がある、何とかなる。―――そんな覚悟で臨んでくれるな、高根の花は手が届かぬから高根の花なのじゃ、それを摘み取ってしまってはそこらの野花と変わらぬ。己が祈りを卑下するものに心具は創れぬ、そこだけは覚えてほしい」

―――そうだな、要はそう言う事だよな。

パフェの言葉を朧げながら理解する。

俺が思った事もあながち間違いではない。

行動には変わりはないだろう。

あぁ、行動は間違ってはいない。

だが、自分を追い詰め、時間を稼いだところでそれは結局逃げでしかない。

何時か出来るが、今は出来ないと言っている様なものだ。

『SIN』を使える可能性を極限まで上げる?

そんなもの掴み取れなかった者の言い訳に過ぎない。

一度失わなければ、失いかけなければ覚醒出来ない主人公など偽善で欺瞞以上の何があるのだろう。

『祈り』とは神聖視する何かと対話する行為だ。

先程までの俺の困った時の神頼みと一緒にすること自体烏滸おこがましい間違いなのだ。

何故『SIN』を使おうとも使わなくても俺が倒すと思わなかった?

実力差? 契約の差?

そんなもの言い訳に過ぎない。

精神ですら奴に勝てないと思っている俺の『祈り』が高尚な訳が無い。

それこそ結局最後はパフェが何とかしてくれるだろうという甘えに他ならない。

俺一人では奴を倒せないと信じ切っている心象こそが、俺の『祈り』を邪魔しているのだ。

だから俺が祈るの対象はご都合主義の神様ではなく、心の中の神。

良心、善意、正義、丹心、信義、心奥。

どれでもいい。

どれに該当するかなどに意味はなく、該当しなくてもかまわない。

見方など千差万別なのだから。

重要なのはそれを『幻想』と烙印を押されても揺るがぬほどの妄信をする事。

『現実』を跳ねのけて俺の心象領域は存在できるのだと信仰する事。

故に時も風景も匂いも音も攻撃も……。

―――見えぬ聞こえぬ感じぬ効かぬ。

己が祈りこそが至高と信ずるがゆえに、それらの事象は俺の中で意味を為さない。

その瞬間、何かがパズルの様にカチリと嵌った。

思えば始めからパフェは解っていたのだ。

自分一人ではどうあがいても勝てない事に。

冗談めかして何度かそれらしい事を言ってはいたが、パフェは一度だって俺に行動の強制はしてこなかった。

有無を言わさぬ言葉遣いも多々あったが、それでも最終的には俺の自由意思に委ねていた。

それはなぜか?

パフェの性格的なものもあるのだろうが、そうじゃない。

俺が他人の『祈り』に共感しても意味はないのだ。

それでは心具は創れない。

所詮借りものにすぎない心象領域など不確かで具現できるものではないのだから。

だからお前はそれを言わずに黙って見ていたんだよな。

ありがとう、もう迷いはしない。

「必ず俺自身の腕で護りきってみせる」

誓いの言葉を口にする。

その瞬間景色は太陽が織りなす大灼熱地獄の最中に戻ってきた。

――それを実行する為にまずは……。

全マナを動員して周りの爆炎を弾き飛ばす。

その代償として漆黒の外套を殆ど失う。

俺達を護る楯はもうない。

「――――何を……ですか?」

案の定球の外で待ちうけていた第九神が無防備となった俺へ神器を射出する。

「――――――ッッッッッ!!!!」

針鼠の様に俺の体を神器が貫く。

一つ一つが部位を破壊する為ではなく、俺をその場に繋ぎ止める楔の様に打ち込まれている。

「――――主様っ!!?」

パフェの悲痛な声が聞こえる。

痛みで体が傾いていきそうになるのを、踏みとどまる。

倒れはしないが、今折れれば二度と立ち上がれなくなる。

これで『次への道』は捥がれた。

次に来るアレを防ぐにはもう飛翔シンしかない。

――――天の瓊矛。

混沌を殺す為の神器。

パフェの概念でアレを防いではだめだ。

飲み込めば飲み込むほど猛毒の様にアレの概念ルールが体に染み込んで混ざり合ってしまう。

相討ちかそれ以上には出来るが、その先に未来はない。

故に俺の概念で止めるより他はない。

極限にまで停滞した時の中、天の瓊矛が迫る。

掴みかけてはいるが、心具は未だ完全に具現化してはいない。

その上で俺は『SIN』を使わねばならない。

結局、ぶっつけ本番しかないのだ。

努力で辿りつこうとするのなら時間がかかり過ぎるから。

「―――――」

と、俺は一抹の不安がよぎる。

祈りは今も揺るぎなくある。

『SIN』を使う事に疑念も一切無い。

ただ、何かが足りないのだ。

この心象うでを世界に流れ出させる何かが。

『そうやってギリギリまで延ばして死にかけて覚醒、の。出来なければ出来ないで死ぬだけ。やはり夢を見過ぎじゃろ。守りたいんじゃろ? 力が欲しいのじゃろ? ならばその為に何を捨てれる、何を捧げれる。わたしが見たいのはそう言う覚悟じゃ』

ふと『混沌の闇』の言葉が甦る。

そうだ、パフェも言っていた、必要なのは覚悟だと。

あの時は意味が解らなかったが今なら解る。

心の壁を開き心奥を晒す覚悟。

俺の心具がここに存在するのだから触るな、穢すな、邪魔するな、見ろ、讃えろ、評価しろ、と。

誰も触れさせたくない、でも誰か見てほしいと言う相反する感情。

傷付けられたくはないが、見もしないで無価値だと断じられたくも無い。

人の根源に存在する潜在的欲求。

即ち自己顕示。

これこそが心象具現礼装への最後の一歩なんだと。

最後のピースが嵌り、絵が完成する。

――取り零したくない、掬いあげたい、この腕で掴みたい。

己が腕が取り零すのを知っているから。

己が腕が小さく、誰も彼もに届かぬと知っているから。

故に―――大きく取り零さぬ腕が欲しい。

「概念心具第一契約『Ⅰstファースト-SIN-』」

『祈り』と共にシンへ繋がる詠唱を口にする。

刹那、俺の伸ばした腕が天の瓊矛を捕らえた。

                †

静寂―――。

カノンが伸ばした腕は確かに天の瓊矛を捕らえていた。

空間から転移した場合であれば間違いなく受け止められたであろう。

彼は間違いなく奇跡を起こしたのだ。

彼らに唯一誤算があるとすれば、第九神もまた奇跡を信じていた事だろう。

神の御技を彼が使うと読みきったのだ。

槍自体を転移させるのではなく己自ら転移し、貫きに行った。

幾ら概念心具を創ろうとも、契約の差により身体能力が違う。

単純な力比べで第二契約に第一契約が勝てる道理はない。

故に槍はカノンの腕を振り払い、目標を貫いた。

慢心しない強者とは斯くも強い。

弱者の知恵と強者の力を兼ね備えているからだ。

それは第九神の微妙な立ち位置の所為だ。

終焉神ではあるが終焉神の中では下から数えた方が速い部類。

どんな敵でも圧倒する強さも無く、かと言って弱い訳でも無い。

必然的に第九神が戦う為には創意工夫と不測の根絶が必要であった。

その二つの要因が第九神ティルロイン=コミットを九と言う数字を維持できている理由だ。

だからティルロインが違和感に気付いたのも当然のことだった。

「―――第二神が……いない?」

先程まで妖精の様にカノンに付随していたパフェの姿は何処にもいない。

僅かに視線を周囲に向けたティルロインが出した答えは再び『偽物ダミー』だと言う事。

室内で人間を操っていた時は気付けなかったが、同じ手は喰らわない。

そう思い、ティルロインは天の瓊矛を抜こうとする。

「―――っ!?」

心臓めがけ突き出された腕を体を捻り、肩へと逸らす事でダメージを軽減する。

ソレを逸らせたのは勘、と言うよりも幾度も繰り返し行ってきた反復ゆえの反射行動。

心臓を天の瓊矛で貫かれたままのカノンが攻撃を行ってくるなど、ティルロインの思慮外の事だった。

何故―――。

と思うよりも速く、ティルロインはその場を離脱する。

肩へのダメージは僅かに裂け、血が滲む程度。

その油断が命取りと言う事ティルロインはいやと言うほど思い知っている。

故に一時離脱。

その慎重な選択は時として読まれ、相手に踏み込まれる悪手となり得る。

『吾が業を写し取り、現世へと再現せよ。――――アクセス』

嬉々とした声と共に躍り出るのは漆黒の髪を揺らす少女。

妖精と揶揄される程の大きさだが辺りに渦巻く神気は今までの比ではない。

何故なら今、このタイミングで彼女は第二契約を結んだのだから。

第二神パフェヴェディルム=ヒアス=ファノレシス。

ティルロインが離脱する事を解っていたかのように出現し、渦巻く漆黒を叩きこむ。

それを防ぐため、反射的に右手に持った概念心具で斬りつけようとする。

「は?」

その瞬間ティルロインは完全に思考が停滞した。

カノンが生きていた事が意表であれば、それが反撃した事もパフェが待ち構えていた事も立て続けに意表を突いた形となる。

だからこれが極め付けだった。

突然の事態に右肩が動けなくなるなど、彼にしてみれば完全に想定外の出来事であろう。

「こんなはずじゃなかった、かや? 解っていたはずであろう? 吾らが今この瞬間だけを狙っていた事に」

押し寄せる漆黒の波をギリギリのところで転移が間に合い、回避する。

ここでやっとティルロインはこの逆転劇は天の瓊矛を掴んだ所から始まっていた事を理解した。

動かない右肩、混沌殺しの役目を果たさなかった天の瓊矛。

それら全てカノンの右手に触れたモノばかりがこの異常を引き起こした。

即ち概念干渉。

つまり彼は己の概念を知っていたのだ。

その上で、まるで奇跡の様に間一髪で発動した様に見せかけた、と言う事。

相手が慢心しないのであれば、己を過小評価させ、見誤らせる。

見事な演技だとティルロインは感心せざる負えなかった。

勿論ティロインはそれらの可能性も考慮していた。

事実ティルロインは彼を成り上がりの神では有り得ないほどに過大評価していた。

ならば何故見誤ったのか。

何が命運を分けたかと言えば数時間前の第三神、第七神との遭遇である。

もし、カノンが第三神と模擬戦をしなければ結果は変わっていただろう。

模擬戦が彼に概念の性質を理解させる手助けとなった。

結果彼がここまで出来るだろうと大きく見積もっていたティルロインの予想を超え、この逆転劇を生みだしたと言う訳だ。

「これは――――っ!!」

迫りくる漆黒の波を次々とかわしながら己がワンテンポ遅れた事に気付くティルロイン。

『皆既日食――――朔夜の姫プリンセスオブイクリプス

パフェの声と共に辺りの空間全てを漆黒の闇で覆い尽くされる。

歪んだ表情を直そうともせず、ティルロインは僅かな光すら許されない空間での戦況を再演算し始める。

「随分待たせてしまったな」

ゆらりともう一人の気配が出現する。

空間転移などではない。

当たり渦巻く混沌の闇でこの距離まで近づかないとティルロインは感知できなくなったのだ。

闇とは視覚を奪うだけのものでは無い。

ましてや影と混同するものでも無い。

闇の本質とは全てを覆い隠し、認識不能にするところにある。

箱の中身を見なければ猫が生きているか死んでいるか解らない。

確認しなければ物事の正誤は解らない。

即ち確認さえさせなければ幾らでも自由に想像することが出来ると言う事。

この闇の本質と言うのはつまるところそう云うモノだ。

「――逃がしはしない。妥協はしない。取り零しはしない。俺達とお前はここで死ぬか生きるかのどちらか一つだ。さあ、ここから本番と行こうじゃないか」

光の絶えた空間の中、右腕だけが陰影を浮き彫りにし、カノンは第九神をパフェと挟む形で佇んでいた。

その右腕の形状はいつか見た純白のかいなを彷彿させ、またソレとは相違である事を示していた。

異形でありながら漆黒の美しい装甲に包まれてソレは存在している。

――――概念心具第一契約Ⅰstファースト-SIN-。

概念たましい心具せいしん契約からだ

全てを組み合わせ、創り出される対神兵器『SIN』

ここに舞台は整おり、第二幕が幕を開けた。

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