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Demise ~終焉物語~  作者: メルゼ
『Notturno capriccioso』
20/72

その13 「創地夢渡」

「何なの君? 他人が首突っ込まないでくれる?」

明らかに邪魔されて苛ついている様子の不良A。

今にも殴りかかりそうな勢いで小柄な夢渡の胸倉を掴み上げる。

「他人じゃねーぞ、カノンは俺の友達だ。な?!」

そんな状態になりながらも、にかっと気持ちいい笑顔をしながら俺に同意を求めてくる夢渡。

そしてさらっと個人情報流しやがった。

これで以後俺もこいつらに付きまとわれたらどうしてくれるんだ。

ますます教師の評価が悪くなる。

「いや、人違いです」

「ひでぇっ!!」

俺が真顔ですぐさま否定すると明らかに肩を落とし落ち込んだ。

根は悪い奴どころかいい奴なんだが、本当にこう言う空気読めない所は何とかしてほしい。

「なぁ、嘘だと言ってくれよカノン。この前飯奢ってやったじゃんか。えーと、あれはいつだったっけ? 確か…」

と、本人すら何時かも解らない話を持ち出してくる。

ほんと、空気読んでくれ。

「何、無視してんだよ、てめぇ!!」

遂にキレたのか、夢渡を掴んだまま、不良Aは振りかぶる。

「っ!!」

そしてそのまま不良の右手が上の空だった夢渡の顔面に綺麗に入る。

思わず左手が反射的に動くが、パフェに止められる。

視線をパフェへと走らせると小さく首を振った。

こんな奴らに使うなという事か。

それならそれで構わない。

右手一本だろうが脚一本だろうが、こいつらを這い蹲らせるのには十分すぎるほどのスペックはある。

「痛ってぇ…。なんだよ、なんでいきなり殴るんだよ。話し合いで解決しようって言ってるじゃないか」

「ぁ? ごちゃごちゃウルせぇんだよ。話し合いで許してほしかったら土下座しながら金でも出せよ」

無抵抗な振りしてなぁなぁで済ませようと思ったが、これ以上は流石に限界だ。

ここで友人を見捨てられるほど、人間皮肉れてはいない。

俺は足を踏み出した。

いや正確には踏み出そうとした。

言葉では理解できないが、何らかの違和感を感じ取って俺の足は自然に止まっていた。

まるで地震の前触れの様な、ごく僅かな違和感。

夢渡を知らない人間ならば声を小さくしただけに感じる程度の違和感。

感じたのは恐怖とかそういう感情じゃない。

言うならばそう、諦観と言うべきだろうか。

夢渡から先程とは違う、小さいがはっきりと聞こえる声が出る。

「―――嫌だ」

それは明確な拒否の意思表示。

それ以上踏み込む事を許さない境界線。

「……なんだって?」

夢渡の妙な雰囲気には一切気付かず、不良は不機嫌そうに唾を吐き捨てる。

「そんな事をする必要はないと言ったんだ、加害者のためになぜ被害者が謝る必要がある。俺がそんな事すれば被害者はみんな加害者に泣き寝入りしなければならないだろ?」

顔つきが鋭くなるとか、怒りの形相をしているとか、そんな素振りを一切見せず、夢渡は真面目な表情で不良Aに問いかける。

能面の様に薄っぺらい表情ではなく、夢渡は本当に真面目に不良Aに尋ねているのだ。

何処かデジャブを感じる。

この場合普通は憤慨するなり恐怖するなりする。

普通とは然る時然る反応をするから普通なのであって、どんな時でも通常と同じ反応をする奴を普通とは言わない。

今の夢渡には姉貴やパフェに通ずる異常性を感じる。

「何気取ってんの? 恐怖で電波でも受診したか? 弱い奴が何言っても同じなんだよっ!!」

何所から取り出したのか、不良Aは木刀の様な物を取り出すと、思いっきり振りかぶった。

本当なら駆け出して不良を蹴り飛ばすべきだろうが、俺はそんな気分になれなかった。

何故ならば、どうあっても今の夢渡がそれを喰らうヴィジョンが見えなかったからだ。

昔、と言ってもそんな何年も前の事じゃないが、赤城が言っていた事を思い出す。

『お前、喧嘩に強い奴ってどんな奴か知ってるか? 腕っぷしが強いとか、タフとか、がたいがいいとか、武道経験者とかそういう事を言いたいんじゃねぇ。そーいうのは前提条件だ、貧弱な奴が喧嘩するんじゃねぇって話だ。じゃあ、どーいうのが強いかって? 心が強い奴って言やぁ熱い青春話になるんだが、生憎そうじゃねぇ。むしろ逆だ、心が冷てぇ奴のが強い。喧嘩にルールがない以上どんな手段でも相手を倒せればいいからな。お前も喧嘩するなら最悪殺さなきゃ何してもいい覚悟で行きゃいい、っとこれはお前に言うべき言葉じゃないな、お前は極限まで平気で痛めつけれそうなタイプだからな。まあ、要するに手段を選ばないって事だが、勘違いしてほしくないのが、それは単に相手の人体を無差別に破壊するって意味だけじゃねぇって事だ。例えばだが、そこらに沸いてるチンピラどもに囲まれたとする。人間ってのはどれだけ個が強くても、耐久力が変わらない時点で数に負ける生き物なんだよ。囲まれて、改造エアガンなんかで遠くからぼこぼこやられたら、俺だってたまらねぇ。だからまず、喧嘩するときは負ける場所で戦わねぇ。囲まれたとしてもいったん引いてタイマン状態に持ち込んでから確実に殺してく冷静さがいる』

俺はなんのリアクションもせずにラジオの様に右から左へ聞き流していた。

俺が当たり前だと思っている事を思ってない事を前提で話してくるのだ。

これ程煩わしい事はないだろう。

『とまあ、これが賢いやり方だと、ここに来る前は考えてたわけだ。今でもそっちの方が賢いとは思ってるがな』

俺の沈黙は意に介さないのか、そのまま話を続ける赤城。

『でもな、本当に強ぇ奴はそんな事しねぇんだよ。本当の強者ってのはな、いつでも、どこでも、どんな条件でも勝者なんだよ。それ以外は有象無象の弱者でしかねぇんだ。ってな暴論をこっちに来た時聞いたんだよ。なあ、誰に聞いたと思う?』

『………………』

俺は無言のまま背後で如月と馬鹿騒ぎしている紅天に目線を向ける。

こんな変な事を云うのは十中八九あいつだろう。

『よく解ってんなぁ、流石というべきか、何と言うべきか。まあ、その通り紅の奴が言い出した事だ』

話は終わりかと、見返す。

『まあそう急かすな、紅はあれで文武両道、容姿端麗の完璧超人の様な女だ。そこらの男なら腕相撲で勝つ事すら出来ないだろうよ。なら、この紅の言葉は自分を指した言葉か? いや違うな、それなら強者は自分の様な人間だと言えばいい。あいつならそれくらい言うだろ? だからな、これはあいつがそいつに完全敗北したからこそ出る言葉なんだよ。一体誰に負けたんだろうなぁ』

にやにや笑いながら赤城はその先へ視線を送る。

俺もつられ視線を送る。

はっきりとその時の光景が脳裏に浮かぶ。

追憶と現実の視線の先の人物が重なる。

一切音も立てずに木刀が夢渡の手に吸い込まれる様収まる。

「はぁ、なんで話し合いで解決できないんだろうな。――――――俺、弱い者いじめは嫌いなんだけど」

溜息と共に夢渡の拳が不良の腹に入っていた。

そのまま崩れ落ちる不良A。

あぁ、今思い出した。

普段馬鹿なことばかりやってそんな素振りを一切見せないが、そう言えばこいつ。

赤城や紅天より色んな意味で強いんだった。

反応が遅れて唖然としている不良たちを見てちょいちょいと手招きをする夢渡。

ご丁寧に木刀まで放り投げて丸腰をアピールしての挑発だ。

安い挑発に乗せられ、襲いかかってくる不良たち。

夢渡は構えもせずに呆然とそれを見送っている。

先手を譲ってやるとでも言っているかのように。

不良たちの先頭にいた奴が夢渡を殴れる距離まで接近した事によって、その勢いのまま振りかぶる。

その瞬間事が切れた様にそいつは走った勢いのまま夢渡の横を滑って行った。

少なくとも俺とパフェ以外はそう見えただろう。

あまりにも夢渡の手刀と足運びが鮮やかすぎたから。

呆気にとられているうちに二人、三人と昏睡させられていく。

夢渡は一切自分から先に手を出す事はない。

攻撃するのは明確に攻撃しようとして走ってきた奴らだけだ。

それすら気付かず、不良たちは手に手に武器をとり、囲んで襲いかかってくるだけ。

結果など言うまでも無いだろ。

相手が振りかぶるのを見てから手刀を叩きこめる奴が近距離戦で負けるわけがないのだ。

「ぐぇ!!」

斜め後ろから苦痛の声が上がる。

見るとパフェの後ろに奴らの仲間が一人胸を押さえて転がっていた。

俺がやったのでないなら犯人は一人しかいない。

おびえた表情で俺にしがみ付くパフェに呆れる。

さっきからコイツの演技にはいったい何の意味があるのだろうか。

「猫被る必要あるのか?」

パフェとほぼ変わらぬタイミングで迫ってきた不良の腕を捩じり、地面へ這い蹲らせる。

普通に脱臼しただろうが、知ったこっちゃない。

それより、パフェがやった奴の方が呼吸困難で今にも死にそうだ。

口から血を吐き出してるあたり、折れた肋骨が肺にでも刺さったのではないだろうか。

流石にそっちは同情しないことも無い。

同情するだけで助ける気など毛頭ないが。

「随分酷い事を言うもんじゃな、こんなか弱い乙女を捕まえて。疵物にされたらどうし…いや、既に疵物じゃったか、主様に無理やり初めてを奪われてしまったからの」

と、自称か弱い乙女は下に転がってる不良を軽く蹴り飛ばす。

俺すら見えぬスピードで攻撃した奴が何をぬかしているんだろう。

パフェによって手持ち無沙汰になった俺は、蹴り飛ばされたそいつを視線で追う。

本人はそこらの小石をちょんと蹴る感覚だったのだろうが、夢渡の足元までごろごろ転がっていった。

「あれ? まだ残ってたっけ。――――まあ、いいや」

俺がちょっと目を離したすきに夢渡の周りには死屍累々していた。

やっと終わったと肩の力を抜く。

「こんな所に何の用じゃ? 第六神様、最後の英雄と謳われたそなたがこんな辺境の世界の治安維持とは精が出るのう」

先程までの猫被りの雰囲気は何所へやら、俺の前へ出て夢渡と対峙する。

まるでここからが本番とでも言う様に。

ただならぬ雰囲気に俺は口を噤む。

明らかに旧知の間柄に見える二人に嫌な予感が溢れてくる。

というか、今普通に第六神って言ったよな?

パフェが自分の事を第二神と呼んでる所からこいつも終焉神なのか?

まあ、パフェに校内で出会った人物が怪しいと言われた時から、その可能性は考えてなかった訳じゃない。

むしろ俺の周りの友人全てが人間じゃないと言われても、あぁそう、で納得できるくらい人間すれすれの奴が殆どだ。

が、心の方は思ったよりショックだったのかもしれない。

何処か気落ちしている体をなぜか冷めた目で見つめた。

「それ、恥ずかしいからやめてほしいな。あと治安維持は人間創地夢渡としての役割だからな」

「ならば、もう役割は終わりじゃ。吾と主様はここを離れてもかまわんよな?」

「もう一個だけあるんだ。悪いんだけど、ちょっとカノンと話させてもらってかまわないか?」

「断ると言ったら?」

パフェがその言葉を発した瞬間、夢渡から発せられる気配ががらりと変わる。

背筋がぞくぞく震えあがり、知らず知らずのうちに後ずさる。

刃物を見るときに感じる恐怖。

あれを極限まで研ぎ澄ませればこんな感じになるだろう。

目の前の存在の殺傷能力に自らが既にビビってしまっているのだ。

その様は普段から見る夢渡からはかけ離れており、だからこそ今の夢渡がパフェと同じベつの生き物なんだって事がゆっくり理解出来た。

「終焉の第六神としてその質問に対する回答を拒否する…事になるかな」

顔は笑っているが、目は本気だ。

夢渡は俺達に主導権を握る事を一切許さず、YES or NOの二択以外の問いは全てNOと見なす意気込みだ。

「………こんな所で…本気かや?」

己の足下の影を伝い、震動が伝わってくる。

威圧? 地震? 歓喜?

いや、違う。

恐怖している。

パフェも俺と同じでこいつに恐怖しているのだ。

まだ戦ってすらいないのにパフェは俺の前で虚勢を張るだけで精いっぱいなのだ。

そんな馬鹿なと否定したくなる。

だが、この左腕と背中にあるアレに伝わってくるものはまぎれもなく恐怖。

「…………」

パフェの質問に夢渡は答えない。

恐らく次似たような事を聞けば即決裂するだろう。

交渉の余地など無いと言う事か。

「―――わかった。話を聞こう」

パフェの肩に手を置き、警戒を形だけといてもらう。

それを見て、夢渡はありがとうと言うと、にへらと笑った。

「あー、突然で何言ってるか解らないと思うけど、カノン…俺と一緒に来ないか?」

フッと、真剣の様な気配を解き、俺へと向き直る。

「まだ、そこの第二神以外の終焉神にあってないから解らないんだと思うけど、終焉神はカノンが考えてるほどまともじゃない」

「そんな事はこいつ見た時十分思い知った。これは俺の手に負えるものじゃないってな。だが、俺にも守るべき家族がいる。その家族が終焉神に狙われてるんだ、逃げる訳にはいかないだろ」

俺がそう言うと、すぐさま反論しようとした夢渡が口を閉じ、考え込むような素振りを見せた。

「えと、家族って妹さんだっけ? それならまとめて俺が保護するけど」

思わぬところで宝くじ一等当たり確定くじのような選択肢を出される。

俺がパフェと外に出ざる負えないのは待ちだと決定的に詰むからだ。

だが、こいつらが守ってくれると言うのなら話は別だ。

夢渡かパフェ、どちらかを攻防に回せる。

これなら十分以上に勝機が見える。

話がうま過ぎて思わず尻込みしてしまう。

「その代わり、吾と離れろ。という事じゃな」

俺がどう答えようか考えているとパフェは苦笑いしながら口をはさむ。

そうなのかと、夢渡に視線を送ると重々しく頷いた。

流石にそこまで美味しい話ではなかったか。

むしろ一変して不味い選択肢の様な気もする。

「それは……」

何故ならそれはパフェにとって死を意味するのではないだろうか。

いや、そもそもそれは俺の死も意味するのではないだろうか。

俺はパフェと運命共同体と聞いた。

だったらこの選択は端から論外だ。

「案ずるな主様、例え吾と離れたからと言って直ぐに死ぬような事はない。そやつらの治癒術なら恐らく半年以内には前と変わらぬ体に成れる筈じゃ」

俺がNOと答える前にパフェが口を開く。

目を瞑り、息を吐き出すと、パフェは淡々と語る。

俺の心内は簡単に見透かされているようだ。

「どうしてそれを…」

思わず心の声が口に出る。

どう考えてもこれはパフェが不利にしかならない。

俺が逆の立場なら最後まで茶を濁したいはずだ。

これによって客観的に見れば俺がパフェを手放さないメリットが見えなくなった。

ここで俺がパフェを取れば夢渡たちを敵に回し、更には天羽を狙う終焉神とも激突する羽目になる。

ただでさえ生き残る道が少ないのにこれ以上生存率を下げてなんになるのだろう。

だから、自ら不利になると知ってこの事を俺に伝えたパフェの回答には興味があった。

「言ったじゃろ? 吾と主様はパートナーじゃと。一方への依存を吾は望まぬ。例え己が不利になろうとも主様とは対等で居たいのじゃ。先程の件で吾が選ばれ難くなったことなど重々承知しとる。じゃが、これでもし主様が吾を選んでくれるのなら」

パフェは眼を開くと見かけ相当の少女の顔で優しく笑う。

「それは神や利害など関係なく吾その者をを選んでくれたってことじゃろ」

俺はその様に忘我し、ただただ見つめていた。

何か言葉を返さないといけないと解っていても、声が出ない。

言葉が考えられない。

夢を見過ぎだと、断ずることもできた。

パフェが言ってるのはただの感情論だ。

人はだれしも損得勘定、いやもっと言ってしまえば苦か楽かでしか選択できない。

そして大半の人間は楽を択ぶ。

だから、良心の呵責さえ降り切れれば夢渡を選んだほうが楽に決まってる。

決まってるんだが…。

あー、くそ。

あんな顔で笑っている奴を振り切れる訳がない。

後頭部をがしがしと掻くと、俺は盛大に溜息をついた。

「悪いな。――――コイツには貸しがある。だからお前たちの所へは行けない」

パフェはその言葉を聞いてむっとしていたが、頭をくしゃくしゃ撫でて黙らせた。

夢渡は俺の言葉に反対せずに、そうか、と呟くと祈る様に目を瞑った。

「なら、人間創地夢渡の要件は終わりだ。これからは第六神として用件を伝える」

スゥと目を開いた時には、もう俺の知ってる夢渡の気配はなかった。

「これ以上あの学園を探るのはやめろ。そっちの第二神の目的が何だか知らないが、素直にこの世界から退け」

月明かりを受けて黄金の髪が瞬く。

深碧の目が刃の様に細められる。

ばれていないと思って抜け出してきたが、向こうにしてみればどうやらバレバレだったようだ。

「探るも何も、俺は学校に忘れ物取りに行っただけだ。確かに警備まがいの事はやったかもしれないが、職業柄許してくれてもいいだろ?」

無駄な足掻きだとしてもやらないよりましと思っていい訳でもしてみる。

「これは最終警告だ。それでも尚この世界に残り、害を及ぼすと言うのであれば―――」

無造作に突き出した右手に身の丈より大きい大剣が出現する。

その切っ先がそのままパフェへ向けられる。

「排除させてもらう。――――はたして今の力で俺とまともに戦えるか?」

パフェが歯ぎしりし、夢渡を睨みつける。

勝算が無いのか、それともプライドが傷付けられたのか、今の俺にパフェの心境は解らない。

俺にとって一番の問題は今ここで戦いを起こされないようにする事だ。

勝てるとか勝てないとかそういう問題じゃなく、今戦ってはいけない気がする。

「待て、俺達は今ここで闘う気は…」

「いや、それも悪くはない…か。理解しているつもりでしていないカノンに何に挑もうとしているのか、思い知らせるのも悪くない。その上で答えが変わらないかどうか…いいよな? 試しても」

俺の声を無視しながら視線を天に向け、夢渡は俺たち以外の誰かに語る様に独白する。

その様を見てパフェが舌打ちする。

もう無駄じゃ、という声が虚しく響いた。

どうやら本格的にまずい方向へ向かっているようだ。

「「概念心具第一契約『Ⅰstファースト-SIN-』」」

パフェと夢渡の声によって戦いの火蓋は落とされた。

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