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2-2、友情と理

孝弘と道彦は理会純りかす学園で再び同級生となる。


 13歳という年齢は、生活のほとんどが小学生から中学生への橋掛けの様な暮らしである。つまり専攻科目を前に、小学校から復習と宿題に向かわないといけない。それが例え塾を介したとしてもだ。


「君達、宿題は常にその脳裏に置いとくようにね」


 その学園で専攻科目を選ばなくては、次の進路が決められないという、運命の一択。つまり、孝弘は数学で道彦は理系と道が別々となるが、やがて宇宙の真理に従って方向は同じところへと向かうだろう。そう、信じて・・・


「よ、道彦。また、同級生になったな!」


「孝弘、僕と同じ学級で会えたね――」



 お互いが少しずつ呼び方を変えたようである。それはそれで親が成長を認めた証だとして、再び同じ学園で勉強を通した付き合いが出来る安心感を灯した。


 例えば、暗がりの夜更けに従って、せっかく先行した科目が間違っていたかも知れない。それでも、まだ頑張っていなくてはまた、異なる道を選んでしまうかも、と不安と焦りとその調律によって、別れてしまうだろう。


「先生、数式の計算が・・・例えば204分の809x=aがbxになるという・・・」


「これはねぇ―――」


 孝弘が教師に数学の勉強を教えて貰う時に、道彦は自ら解決していく。だから教師は付かないが、教材だけは与えられる・・・。そのようにして、せっかちながらも宇宙も”微笑んでくれている”のだと、誰かは言っていた様だ。反抗期など無い世界での出来事。


 勉強ばかりしていて結局、友情たる言葉はどこへ向かっているのだろう、とある科学者は教師として招かれるのであった。


「生命医学理論では、マウスの細胞を水溶液へ混ぜ、そして培養される方法が取られるのですが――、それは時間を掛けて”ふやかした”という表現よりも、別の生命に変化するという、細胞の形式を変えてしまう出来事だと思えばいいのですよ――」


「うう、分り難い・・・溶けない生命は・・・語源を介して・・・」


 数学も数式を介して問題を解かなくてはならない。だが、理系は数式、語学、分裂式を合算し、研究素材を活用しなくては何ら生命理論について言葉を投げかけることすら出来ない。


 それ等を理解し、追及するのも14歳から15歳に掛けて学ぶ事になるのだが、学園で二人が顔を合わせ、お互い家の中で同じように問題を解くヒントを与えるのであった。



「孝弘?」


「一見単純だけど・・・奥が深い場所まで到達すると・・・」


「君は語学が得意だったり?」


「あん?数式だけど・・・」


「迷ってるなぁ・・・僕もそうなんだよね」


「道彦が迷う時は人に教える時だけだろ?」


「こらこら、孝弘に道彦君!言い合いするならもっと集中しなさい」


「・・・また、怒られたな?」


「そうだね・・・」



 だが、お互いがお互いで居られなくなる日もそう、遠くは無かったと誰が教えてくれるだろう?反抗期の問題は空港の事件によって表されると、二人の友情は一時期だけ別れる事になる。それもほんの一滴の水で細胞をふやかした様に、難しい事は難しいと言えない事が起きていた。



≪――彌汲治具流みくみ・じぐる――死者は数名――犯人の逃走劇は、警察官らによって――≫



――彌汲家――


「っけ・・・親父のやつ・・・俺が進む前に、勝手に進んじまった・・・馬鹿だなぁ、ほんっとうに大馬鹿野郎だッ!」


「孝弘・・・僕達は親に育てて貰った・・・だから一時だけでもいい。傍に居させてくれ・・・」


「つまらねぇんだ。何か勝手に詩集にハマって投げ出された気がして、結局あの預言書は何だったんだ?俺達が”同じ道に灯された時に宇宙は笑う”と書いていたのは何だ?」


「治具流じぐるおじさんは、宇宙の理に命令は絶対ありはしない、生命の従う道によって変化は起きる・・・そう、言っていたに違いないよ、」


「ああ―――くっそぅ!!」



 折角、理会純りかす学園に入ったというのに、僅か一年以内に親が居なくなる。それも頼るべき者が居なくなるという事は、これまで世話をした側の方へ頼りを与えてしまうという事だ。それが例え、最古では親で、子で、息子だった者へ対する意志の表れだったとしても、命は、魂は何事にも代えられないでいる。


―ピンポーン―


「孝弘、少し弘美ひろみおばさんの手伝いをしてくる。君は何かあったら、僕を呼んでくれよ?」


「・・・古民家みたいに、ボロボロになっちまえ・・・いや、インターホン一つに怒っても・・・」


 成長に従って、その態度は変化する。次第に変化をするという事は仲の良かった時間を少しずつ溶かすという事だ。それは失った者の大切さ、大事な言葉。何れ忘れるであろう事がまとまると、新たな道へと向かうための前段階を掴むという事になるだろう、と周りは言ってくれない。


「――なぁ、待てよ・・・僕だって、隠し事の一つや二つ・・・例えば黙って親に言えない事をしているって――!」


「うるせぇッ!!・・・お前はだから臣子家の恥さらしと呼ばれるんだよ・・・」


「なに?もう一度行ってみろよ・・・それといい加減、前を見ろよ――あ・・・!」


「どうしたんだよォ―ッ!俺に掴まれると逃げられない癖に・・・、次は殴るぞ?」



―ドッ、ガッ―


 それで道彦の母に『臣子家の恥さらしと言われたんでしょう?』とか『そう言われるという事は、唯一無二の親友という事よ!』と仲を念押しされる場面もあって、一瞬で関係が修復される事もあり、その意志は曲げられずに居た。


 かつてブレトルという親とインシュビ―という息子が民を並べて瞬時にして決闘を終えたのと同じように。


「道彦ォ―・・・。こないだは、ごめんなぁ・・・俺、親父の言い残した事にカッとなってて・・・」


「はははっ・・・怖かったよ。君がもしも変になったら、僕はこのままの関係でいいのか迷った・・・仲直りしよう・・・それと僕の勝ちだ。ごめん、それと――、これからもよろしくな!」



 その友情と理会純学園の合間に起きる、一時の理解を紡ぎ直す瞬間なのに、宇宙は穏やかに微笑んでくれた。


 孝弘の次は道彦にも起き得ることだが―――。

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