32、人工生命体技術の発展・進歩
長い歴史から、人工生命体について話を盛り上げています。
プロト人工生命技術が発案された850年後にあたる阿歴150年以降に、医学・機械学が誕生していた。既に文明であった人工生命転移科学が神野転志によって語学・生命脳科学・人工成体の技術として蘇る。
それを神野研究所創設者の父、俊儀が超文明・人工生命科学理論として発案した。その俊儀の意向を神野科学ラボ代表の越子のもとで人工生命体として初期開発される。
一方、脳から全ての内臓に関する技術はエコジウニバー宇宙研究所で波戸衛満の生命の再生理論が適用され、ブラックホール生態理論により人工生命体の臓器開発が抜擢された。
また、ダゾイ衛星で光の欠片が発見されると別の研究ラボで解析される。そのデーターを地上で観察し最古の文明”神の信託”の著書を基に神経科学論理回路が機械工学へと変換され、和華乃看護師学園でもそれが義肢の推進特効剤として選ばれた。その技術がマーナル・ジパン医学センターで採用されると医療外科部門へ適応される。
そこから人工生命体化学病院シュラムが設営されるようになると、人体に及ぶ自然領域の頂点へと目指すとされる各スポーツ業界部門にも注目を浴び、人工生命体の技術進歩の道標となる。
――そして異歴。
それを手に取ったのが臣子道彦だったのだ。
相木自身、自らの研究材料を我が物とせんばかりの勢いで、成長させる素材として扱われるとは思っても居なかった。
まさかヒカリノキョウカイから転身した時に会社を設立したメンバーが博士号を取る程の才能を得ていたとは、全く理解に乏しい様子を自身に投げかけていた。それも、時間と共に自ら病に追いやる程の出来事に遭遇するとは、実験・研究・実用の繰り返しで宇宙の理論を覆す時が来るとは、それは逆に喜びであったとは、自分でも気付かなかった。
だが、その表情は儚くも浮かないものだった――――。
「お前が皆を人工生命体にしてから僕の元から誰も居なくなったこと、教えてやるよ」
「相木会長・・・俺は、自ら人を殺めてしまった様な気がする。そして、彼の周りに居る皆を機械生命体に造り換えてしまった・・・取り換えと同じことを・・・」
「初螺富士男 君だね?全く誤解を与えるばかりか、酷い事をした・・・本当に、すみませんでした・・・」
彼は詫びた。
バス事故での惨劇で、多くのクラスメートの体が砕けてしまった。それも半身や、体の一部が千切れ飛び、溶けては焼けて何とか一命を取り留めようとしたものの、蘇生術すら行えず、集中治療室に補完しようにも場所が足りず、有り余りの人体の部位や人工生命体になる媒体の一部を移植、注入する等して蘇らせる事が先決だったのに、まさか、自分らしい意識すら残らないとは思いも寄らなかった、と説明していた。
―――古びた文明を蘇らせるのでなく、
「機械生命体の理論は人工生命体が基本なんでしょ??」
新人類へ自らを確かめたいが故に・・・。
「お父さん、俺は・・・高く昇り過ぎたんだ!あいつのォ言う通りだったんだぁ・・・」
相木にあれほど謝罪を繰返されていた側が、逆に謝罪を始めた。そんな事が起き得るのは、助かって長い時間を過ごしていた時だけであった。自らを省みず謝らず、犯してしまった罪をも認めた時に、ようやく開花する出来事が現れる。それを報いたる報われというのだろうか、と相木は床に伏せる様に空を眺めていた。
【光学フォン】
≪ええ・・・ええ・・・あなたの理想と現実が臣子博士に引き継がれまして・・・はい、本当に助かっています・・・ええ、お陰様で娘を授かりまして・・・≫
人工生命体技術の発展と進歩。誰も助からないと信じて神にすがる様に、夜な夜な宇宙を眺めていたら、本当に願いが叶った時に人は礼儀を覚えて、再び現れる。そんな時を相木は祖先と共に持っていったのだろう。その病に伏せた表情からは創造も出来ない笑顔が見られたのである。
「会長・・・生きて居ましたら、私の研究理論は完結していたのかも知れません。核融合生命体を、非核融合生命体へと迎えた時に闇の災厄なる、伝記には触れる事は在りませんでした・・・花・・・添えておきます・・・」
報われた。時を経て次第に報われたのは、病に時伏せて間もない頃だった。そこには人工生命体と機械生命体理論における、推論が掲げられていた。まるで、祖先が残りの人生を自らの跡継ぎへと託される時の笑顔に近い。
「ごきげんよう・・・そして有難うございました・・・」
残されしそれは、墓石に立つ唯一の男の“浪漫”であった。
ようやく人工生命体の実用に成功した相木俊郎チームは、医療分野にも手腕を発揮しました。
それでも完全に蘇らせる事は出来ず、報われない日々を送っていたのです。
ようやく報われる頃には道彦が代替わりしていて、礼を言われる立場になります。




